「赤ちょうちん」 [映画]

〔1974年/日本〕
都会の片隅で出会った、
22歳の高岡健二と17歳の秋吉久美子は、
いつしか同棲を始める。
線路脇の高岡のアパートは、
電車が通る度に揺れ、
間もなく取り壊しになるため、
2人は渋谷区幡ヶ谷のアパートに引っ越す。
しばらくすると、
秋吉の妊娠が分かる。
高岡は、堕胎しろと言うが、
秋吉はそれを拒否し、
お腹は次第に大きくなってゆく。
調布に引っ越した2人は、
そこで男の子を授かる。
幸せいっぱいであったが、
大家の樹木希林の嫌がらせに遭い、
今度は葛飾へ・・・。
かぐや姫の歌「赤ちょうちん」は知っていたけど、
この歌の主人公のカップルが、
歌の2番で別れてしまう事は知らずに、びっくり。
ちゃんと聞くと、
なんと悲しい歌詞なんだろう。
親密にしていた2人が、
何かの事情で別れる。
多分、大喧嘩したわけでもなく、
心底憎み合ったわけでもないのに、
その時の状況で、
別れざるを得ずに、別れる。
私の一番苦手なパターン。
ストーリーは平凡だけど、
なんとも言えない哀しみでいっぱい。
若い頃の恋愛、
お金がなくても愛があれば・・・という
ままごとみたいな2人が切ない。
一箇所、時代を感じるびっくりな場面があった。
ある日、幡ヶ谷のアパートに、2人が帰ると、
見知らぬ男・長門裕之が、
部屋にいる。
なんと彼は、以前この部屋に住んでいたそうで、
懐かしくなって、
管理人さんに鍵を開けてもらい、入った、と言う。
う、嘘でしょ。
現代では考えられない。
今は、住人が変わる度、
ドアの鍵まで変えて用心するというのに。
40年前の日本って、なんて呑気だったのかしら。
評価 ★★★☆☆