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「ガーディアンズ」 [映画]

GUARDIANS.jpg
〔2017年/ロシア〕


冷戦時代のロシア。
「パトリオット計画」の名のもと、
遺伝子を操作され、
特殊な能力を持つに至った4人の人間。


しかし、科学者・クラトフが、
国を裏切り、研究所を爆破、
4人も行方不明となる。


50年後。
クラトフ自身が超人となり、
国を滅ぼそうとする中、
ロシア政府は、
ひっそりと暮らしていた、
「パトリオット計画」の4人を集結させる。


4人は、クラトフと対峙するが、
クラトフの強大なパワーに苦戦する。
果たしてロシアは守られるのか・・・。





試写会で観た。


面白い、面白過ぎる!


「ロシアが作ったヒーローもの?」
と、出掛ける前は半信半疑でいたのだけれど、
やっぱりロシア、侮れない。


もう、全てが、適当すぎ、いい加減すぎ(笑)。
科学者・クラトフが、
国を裏切るようになった経緯や、
4人の超人が、
超人になる前、
どのような人生を送ってきたのかなどが、
全く描かれない(笑)。


さらに、国に集結を呼びかけられた4人が、
まるで迷う事もなく、
ゴタゴタもなく、
あっと言う間に再結成し、
クラトフとの対決姿勢になる。


一切の無駄を排した、
このストーリーこそが、
面白さの原点。
余分なサイドストーリーなんて、いらない。
89分という、上映時間からも、
いかにサクサク話が進むかが分かる。


4人のキャラにしても、
レア(男) ⇒ 石を操る
ハン(男) ⇒ 風のように動き、丸型の剣で相手を切る
クセニア(女) ⇒ 透明になれる
アルスス(男) ⇒ ヒグマに変身できる


という設定なのだけれど、
なんか・・・あんまり強くないし(笑)、
レアの「石を操る」というのが、
「周囲に石がないと、役に立たないわね」と簡単に言われ、
途中から、
電子鞭(?)の使い手に変わっちゃってるし。
だったら、最初からそう設定しろよ(笑)。


オチも、実に呆気ない。
「え?敵はそんな簡単にやられちゃうの?」って(笑)。
でも、そこがいいの。
あと一捻りも二捻りもされたって、
敵が死ぬのは同じなのだから、
むしろスッキリしていていい。


ポスターに、
「ロシア版X-MEN」とあるけれど、
メンバーの構成などから、
「ファンタスティック・フォー」に近いかな、と感じる。


これ、私はつい、
「ロシアのアメコミ」と言ってしまいそうになるけれど、
「アメコミ」の「アメ」って、
「アメリカンコミックス」の「アメ」だよね。
だから、正確には「ロシコミ」?
うーん、なんか変だ。


それから、映画のあと、
トークショーがあったのだけれど、


なんとなんと、
一昨年、映画「マックス・スティール」の試写会で、
トークショーをしてくださった、
杉山すぴ豊さんが、登場。


あの時は、
「杉山すぴ豊さんの、“すぴ”って何?」と
映画の内容より、
そちらの方に関心がいったものだが、

http://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2016-11-24
まさか、またお目にかかれるとは、
思っていなかった(笑)。


すぴさんは、あの時より多少、
ネットにも情報が増えていて、
昨日検索してみたら、
“すぴ”の理由が分かった。
「スパイダーマン(SPIDER-MAN)」の最初の3文字、
「SPI」からきているのだそうだ。


良かった、
やっとこれでスッキリして、
今夜からよく眠れそうだ(笑)。

sugiyamaspiyutaka.jpg
杉山すぴ豊さん


評価 ★★★★☆

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「ジオストーム」 [映画]

geostorm.jpg
〔2017年/アメリカ〕


世界各地で異常気象が起こり、
災害が続発するようになった地球。
人類は、一丸となって、
この問題に取り組む事になった。


そこで開発されたのが、
「ダッチボーイ」と名付けられた、
「気象コントロール衛星」。


世界中の天候は、
この「ダッチボーイ」で完璧に管理され、
自然災害は、
過去のものになると思われた。


ところが、
「ダッチボーイ」が暴走を始めた。
世界で異常な災害が起き、
大多数の人間が死亡する。


「ダッチボーイ」の開発者、
ジェイク(ジェラルド・バトラー)は、
その原因を探るべく、
宇宙ステーションに飛ぶが・・・。





試写会で観た。


映画の前に、
吹き替えを担当された、
上川隆也さん、
山本耕史さん、
ブルゾンちえみさんによる
舞台挨拶があった。

geostorm2.jpg
※映画ナタリーさんより


ブルゾンちえみさんというかたは、
今、大変な人気だというのは
知っているのですが、
私は、ほぼ見た事がないと言っていいくらい、
見た事がなく、
今回の舞台挨拶が、初めての対面(?)と言っていい。


やっぱり、人気があるというのも分かります。
滑舌がよく、
お話がとても面白い。
「今年の目標は、攻めること」と仰られていました。
「攻め」か。
私も頑張ろう(笑)。


上川さんも山本さんも、
驕ったようなところのまるでない、
素敵なお二人でした。


で、映画。


よく、
「この地球上から戦争をゼロにするには、
宇宙人から戦争を仕掛けてくれるのを待つしかない」
などと、揶揄にも似た例えを聞いた事があるけれど、


なるほど、そっか、
宇宙人の来訪など待たなくても、
地球規模の異常気象でも、
人間は一致団結するしかなくなるのだな、
と思ったのが、まず最初。


でも、それでも、
「気象コントロール衛星」の権利を巡って、
人間同士は、争うようになるという、
流れなわけで、


結局、最後は、
全て人災。
そして、アメリカ万歳へ(笑)。
まぁ、アメリカ映画だから特に文句はないけど。


この「ダッチ・ボーイ」、
世界各国の力を集結させて作ったそうで、
「日本もちゃんと協力できてるんだろうな」、と思って
見ていたら、
胴体に世界各国の国旗が描かれている中に、
ちゃんと日の丸があった事にホッとする。


それから、
現実だったら、日本が異常気象の影響を受けるなんて、
嫌に決まってるけど、
でも、映画は別。


東京の場面もちゃんとあるのよ(笑)。
銀座よ、銀座。
銀座に、直径何メートルもあるような雹が降るのよ。
試写会の会場も銀座だったのよ。
他人事じゃなかったわ(笑)。


アンディ・ガルシアが、
アメリカ大統領役だったことに、ビックリ。
私の中で、彼は、
胡散臭いオッサンというイメージしかなかったから。
いや、馬鹿にしているわけではなく、
ついに彼が大統領にまで上り詰めたかと思うと、
感慨無量で(笑)。


それから、大統領の側近役の俳優さんが大御所で、
割と好きなはずの人なんだけど、
どうしても名前が思い出せず、
ストーリーを追いながらも、モヤモヤする。


で、「あ」から順番に考えていったら、
「え」まできて、
「エド・ハリスだ!」と思い出した。


「わ」の付く人じゃなくて良かった(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「お尋ね者七人」 [映画]

otazunemonoshichinin.jpg
〔1966年/日本〕


片目の柏木半次郎(鶴田浩二)、
片腕の鉄砲松(藤山寛美)、
片足の一貫(山本麟一)、
めくらの勝(待田京介)の四人は、
もうすぐムショから出てくるという、
一貫の弟・鉄山(若山富三郎)の
出所祝い金を作るのに懸命。


山道を歩いていた四人は、
金森木材の材木が荷崩れしているのを
手助けしてやったことがきっかけで、
女主人・あき(藤純子)の
もてなしを受ける。


金森木材は、
やくざが経営する岩崎木材とライバル関係にあったが、
金森木材が、県有林の払い下げを落札した事が
きっかけで、
岩崎木材のあからさまな嫌がらせが始まる。


さらに、あきの弟で、
放蕩者の林太郎が、
岩崎木材の組長の情婦と出来上がってしまった事から、
話はこじれてゆく。


その上、出所してきた鉄山が、
岩崎木材の用心棒に雇われ、
一貫は苦悩する・・・。





昨日書いた、
「博徒七人」の続編。


「博徒七人」が、
人物の紹介と出会いに時間が割かれていたのに対して、
本作は、
メインの障害者たち四人がすっかり打ち解け、
仲の良い様子を見せてくれるので、
楽しい。


ストーリーも、面白い。
何と言っても、
一貫の弟が参戦した事により、
やくざの組との対立の他に、
兄弟間の葛藤が加わり、
深みが増している。


さらに、
途中で殺人事件が起こり、
状況的に考えて、
警察が林太郎が犯人だと決め付けるなど、
ちょっとした、
サスペンスな流れになるのも、面白い。


一貫の弟、若山富三郎さんが登場した瞬間、
え?勝新さん?と思うくらい
似ていた。
お二人は、もう絶対、
兄弟であることは間違いないわ(笑)。


メインの四人がそれぞれ、
キャラ立っていて、
全員、大好きだけど、
いつも、女問題を起こす
藤山寛美さんには笑ってしまう。


とにかく、調子が良く、口が上手い。
見た目は鶴田浩二さんの方が、
絶対的に上なのに、
藤山さんの方が、なぜかモテる。
彼の持つ雰囲気に、
女性はつい、気を許してしまうらしい(笑)。


ところで、この映画の特徴は、
障害者が七人出てくる、という所にあると思うのだけれど、
今回の七人って、
誰だろう。


メインの四人は分かるとして、
顔に痣のある、林太郎が一人。
で、残りは?


いや、私が勝手に障害者七人と思っているだけで、
別にそういった定義はないのかもしれない。


評価 ★★★☆☆

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「博徒七人」 [映画]

bakutoshichinin.jpg
〔1966年/日本〕


片目の極道・柏木半次郎(鶴田浩二)は、
遊郭で寝ているところを、
2人組の男に狙われるが、
綺麗に片付ける。


それを見ていた、
片腕のやくざ・鉄砲松(藤山寛美)は、
半次郎の腕に惚れこみ、
兄弟分の盃を交わそうと申し出る。


一方、片足の坊主・一貫(山本麟一)は、
無銭飲食で吊るしあげられているところを、
めくらの按摩・勝(待田京介)に助けられる。


半次郎ら四人は、
沖ノ島の井戸政一家の組員に、
用心棒になってほしいと頼まれ、
島に渡る。


島には、
顔のただれた安(大木実)、
せむしの弥吉(小松方正)と
その息子で聾唖者の五郎(山城新伍)がおり・・・。





今日は、放送禁止用語満載。


なにせ、この「博徒七人」の「七人」というのは、
全員が、
体のどこかに障害を持つ者たちで、
そんな内容のせいで、
DVD化もできない、
貴重な作品らしい。


けれど、DVD化はできなくても、
ここはブログだ。
ド素人が書く、
自由なブログだ。
だから書く。
(と開き直る(笑))。


片目に、
片腕に、
片足に、
めくらに、
ただれに、
せむしに、
おしでつんぼ・・・


こんな面子が結束して、
悪をやっつける。
小気味いい話ではないか。
観ている側だって、
彼らを差別の対象だなんて
1ミリも思っちゃいない。
変な気遣いは、
むしろ、世の中を歪ませる。


粗筋は、ものすごく簡単に書いてしまったけど、
本当はもっと、色々あって、
説明するのが難しい。


沖ノ島の石切り場の採掘権を巡る争いをメインに、
鶴田浩二の過去や、
藤山寛美の女性問題が絡んで、
ごちゃごちゃと(笑)。


ここはもう、
ストーリーより、
7人の障害者の演技を楽しみたい。


とはいえ、
七人が一堂に会する場面は、
思い出す限り、一度もなく、
多くても4ショットくらいだった気する。
一度くらい、勢揃いの場面が見たかった。
ちょっと残念だ。


すごくいいと思ったのは、
彼らの言葉。
彼らは皆、
それぞれの出身地のお国言葉で
話している。
関西弁やら、名古屋弁やら、博多弁やら。


障害も、
一人一人違っていて個性的だけど、
言葉も個性的。
みんな違って、みんないい。


評価 ★★★☆☆

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「地獄花」 [映画]

jigokubana.jpg
〔1957年/日本〕


平安時代。
琵琶湖に近い高原地帯で、
貴族の一行が、
二組の盗賊、
「麿の党」と「御坊派」に襲われる。


姫君が捕らえられ、
「御坊派」の頭・馬介(山村聡)が連れて行こうとするが、
それを見ていた「麿の党」のステ(京マチ子)は、
姫を可哀想に思い、
馬介に、
「後日、何でも望むものをあげるから、姫を譲ってほしい」と言い、
もらい受ける。


姫を都に逃がした数日後、
馬介がステを訪ねてきた。
「望むものをいただきにきた」と言う馬介は、
ステに襲い掛かった。


数か月後、ステは懐妊している事に気が付いた。
ステの夫で、「麿の党」の頭・袴野は
狂喜乱舞するが、
腹の子が、馬介の子だと知り、
怒り狂って、ステを追い出した。


山中で死のうとしているステを
袴野の手下・勝(鶴田浩二)が助けた。
勝の家で暮らすようになったステは、
可愛い男の子を生んだ。
しかし、ある日、袴野がやって来て・・・。





これはいい。
私好み。
特にラストが好き。
やっぱり大映の映画はいいなぁ。


これは許しの映画だ。
いや、許しといっては語弊があるか。
だって、許されるもなにも、
ステは何も悪い事はしていない。
むしろ、被害者だ。


今の時代なら、
性暴力の被害者として、
訴えてもおかしくない状況だけど、
でも、遠い昔の物語、
たとえ暴力といえども、
「貞女、二夫にまみえず」との諺通り、
それは、あってはならない事だったのだろう。


物語の展開が素晴らしい。
全てのエピソードが自然で、
話がスムーズ。
普段、私も生きている中で、
「あの出来事があったから、
 ああなって、こうなって、そして今がある」
と思う事がよくあるけど、
そんな感じ。


鶴田浩二さんのセリフがいい。
死のうとしているステに、彼は、
「袴野と生活していても、懐妊しなかったあなたが、
 馬介との一度の交わりで子を宿した。
 お腹の子は、必要だから生まれてくるのです」と。


鶴田さんは、
ステに惚れているんだろうけれど、
彼女の出産前も、出産後も、
指一本触れる事のないストイックさ。


そのおかげで、
物語は、
ギリギリ恋愛物にはならず、
ステの行動の基本は、
母性から来るものになっている。


私は、
恋愛物も大好きだけれど、
この映画に限っては、
そうではなくて良かった。


もちろん、
この物語に続きがあるなら、
鶴田さんと京さんは、
その後、結ばれるんだろうけど。


評価 ★★★★☆

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