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「希望のかなた」 [映画]

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〔2017年/フィンランド〕


フィンランドの首都・ヘルシンキの港に着いた船の、
石炭の中から、
煤で真っ黒になった青年が出てくる。


彼は、シリアからの難民・カーリド。
激化する内戦で妹以外の家族全員を失い、
ハンガリーの国境では、
妹ともはぐれてしまった。


一方、フィンランドで暮らす
中年男・ヴィクストロムは、
酒浸りの妻と別れ、
仕事も辞め、
心機一転、レストランを開店する。


難民申請を却下されたカーリドは、
強制送還される寸前、逃げ出し、
ヴィクストロムの店で働きながら、
妹からの連絡を待つ事にする。


そんなカーリドに、
近所のネオナチの3人組が目を付け、
彼を見かける度に暴力を振るい・・・。





もう、これ、
1億2千万人の日本人、
全員が観た方がいいんじゃないのか(笑)。


・・・と思うくらい、
ある場面が可笑しくて、
劇場の皆さん全員が、
スクリーンに反応しているのが分かる。


というのも、
ヴィクストロムの経営するレストランの業績が
イマイチ振るわず、
ヴィクトロスと従業員たちは、
今、巷で流行っているらしい、
「スシ」というものを店で出そうと決める。


しかし、どうやら彼らは、
「スシ」の名前は聞いた事があっても、
見た事も、食べた事もないらしく、
日本文化の本を沢山買い込んで、
それらしいものを作る。


その、出来上がったものが、
日本人なら全員が、呆気にとられるような代物で(笑)。


看板につられて、
店は、日本人の客で満員になるけれど、
次のシーンで、
全員が無言で出て行くという、
シュールさ(笑)。


あぁ、本当に、その場面だけでも、
皆様に観てほしい。


可笑しいといえば、
このポスターにしても、
ヴィクストロムとカーリドが殴り合った直後の写真で、
二人の鼻に、
鼻血止めのティッシュが詰まってるし(笑)。


アキ・カウリスマキ監督の映画を観たのは
数本だけなので、
分かったような事は言えないのだけれど、
この言いようのない笑いの感覚は、
監督の他の映画同様、
まったくブレていない。
さすが、フィンランド映画の巨匠と言われている
だけの事はある。


本当は、
難民問題、雇用問題、
ネオナチの問題、
夫婦の問題など、
様々なテーマが盛り込まれているのだけれど、
遠いフィンランドの事、
日本人の私が口出しするには、
状況が違い過ぎる。


日々、ニュースを見てると、
「私って、純血主義者なんだなぁ」と、
(純潔主義者とは違う(笑))
思い知る事が多々あるのだけれど、
それだって、日本が島国で、
今までの歴史、
鎖国や、戦争や、近隣諸国との複雑な関係などが
あるから、
そういった思想に至ったという部分もあると思われるわけで。


国の事情は、それぞれ全て違う。
国と国とが陸続きになっているヨーロッパは、
日本とは根本的に精神構造が違っているのだろうなぁ。


評価 ★★★☆☆

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