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「ブルークリスマス」 [映画]

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〔1978年/日本〕


1978年。
国際科学会議の席で、UFOの存在を語った
兵藤教授(岡田英次)が何者かに連れ去られ、
国営放送「JCB」の職員・南(仲代達矢)は、
その調査を命じられる。


南は、友人・木所(岡田裕介)から、
木所の恋人で新人女優の夕子の血液が青いと
相談されるが、
一笑に付す。
そして、その事をJCBの局長・五代(小沢栄太郎)に話す。


一方、国防省の沖(勝野洋)は、
現在、世界中に出現している血液の青い人間は
抹殺の対象だと知らされる。
ところが、恋に落ちた女・冴子(竹下景子)の血液が青いと知り、
苦悩する。


クリスマスの夜。
冴子は沖を待っている。
生まれて初めて、恋人と過ごすクリスマス。
ケーキにご馳走、
キャンドルに火を灯し・・・。





こんな粗筋しか書けない自分が嫌になるが、
本当はもっともっと深く、
様々な出来事がある、
色々、考えさせられる映画。


ジャンルは、SFという事になるのだろうか。
「血液の青い人間」が、
世界各国に現れる。
どうやら、彼らがそうなったのは、
UFOを目撃して以降らしい。
しかし、宇宙人は出てこない。
UFOも、ハッキリとは映らない。


そして世界は、「血液の青い人間」の
抹殺に動き出す。
日本は、
国民全員の血液検査をし、
血が青かった者は、シベリアに送られ、
その後は番号でしか呼ばれず、
人体実験をやロボトミー手術を施す。


それはナチスドイツにおける、
ユダヤ人の扱いを彷彿とさせ、
空恐ろしいような気持ちになる。
人は、理解の出来ないもの、
自分と違うものを
決して受け入れようとはしない。


竹下景子が、
「血液が青くなった時から、
 嫉妬したり、
 イライラしたり
 人を憎む気持ちが、
 嘘のように無くなった」
と告白する。


なんて羨ましい。
そんなどす黒い感情が心の中から消え去るなら、
私も青い血液になりたい。
それは、青い血液の人間が、
赤い人間より一歩進化した、
高潔な気質になった証拠ではないか。
そのような「新人類」を敵と見なし、
排除しようとする、
人間の浅はかさ、早計さ。


この映画は、
SFと一言で片づけられない、
重厚な意味を含んでいると思う。
公開当時、殆どヒットしなかったらしい。
勿体ない事だ。


評価 ★★★★☆

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