「パイレーツ・ロック」 [映画]
〔2009年/イギリス〕
1966年。イギリス。
24時間、ロックを流し続けるラジオ局「ラジオ・ロック」は、
船上から発信されている。
当時のイギリスは、ロックは1日45分しか流せない法律があり、
治外法権の北の海からの放送に、
若者たちは熱狂している。
そんな「ラジオ・ロック」に、
18歳の少年・カール(トム・スターリッジ)がやって来る。
ドラッグと煙草で学校を退学になった彼は、
母親が「ラジオ・ロック」の運営者・クエンティン(ビル・ナイ)と
知り合いという縁で、
ここに預けられたのだ。
DJたちは、
個性的な面々ばかりで、
日々、騒動が絶えない。
カールは、まだ女性経験もない少年だが、
刺激的なDJたちに接し、
少しずつ成長してゆく。
そんな中、一人のDJが言った。
「母親がこんなところに息子を放り込むなんて、
それはこのDJの中に父親がいる証拠だ」と。
カールは、面会に訪れた母に、
その事を追及する。
一方、国の大臣・ドルマンディ(ケネス・ブラナー)は、
風紀を乱す「ラジオ・ロック」を目の敵にし、
なんとかここを潰すよう、
部下に指示を出し・・・。
これは中々面白い。
海上から発信されるラジオという設定がまず良いし、
そこにいるDJたちが
一癖も二癖もある連中で、
騒動が起こる度に、
笑わされる。
DJたちは、
おそらくは、一般社会からしたら、
はみ出し者なのだろうけれど、
船の上なら、そんな事は関係なし。
むしろ破天荒なくらいの方が、
DJに向いてるってんで(笑)。
それに彼らは、
陸と完全に断絶されているわけではなく、
時々は上陸するし、
面会人もやって来る。
殆どは、グルーピーみたいな女の子たちだけど(笑)。
ここに預けられたカールの母親も、
過去はそういった少女の一人だったようで、
父親がこの中にいるらしい、という設定が面白い。
こういった、深刻でない親探しって大好き。
途中、一人のDJが結婚するのだけれど、
初夜から一夜明けた朝の、
花嫁の告白が強烈。
「そりゃないよ~」と、私までぼやきたくなったわ(笑)。
シリアスドラマだったら、刃傷沙汰にでもなりそうだけど、
それでも笑って済ませてしまう所が、
この愛すべきはみ出し者たちの良い所で。
この内容だから、
当然、音楽もたくさんかかる。
ただ、残念な事に、
私には、タイトルの分からない曲も多い。
古いロックに詳しいかたなら、
より一層楽しめるのではないかと思う。
もう一度観てみたいな。
評価 ★★★★☆