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「ブラック・スキャンダル」 [映画]

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〔2015年/アメリカ〕


サウスボストンで育った、
ジミー・バルジャー(ジョニー・デップ)は、
アイリッシュ系のギャングのボスとして
君臨するようになる。


一方、ジミーの弟・ビリー(ベネディクト・カンバーバッチ)は、
政治家になる。


また、ジミーの幼馴染・ジョン(ジョエル・エドガートン)は、
FBIの捜査官となり、
イタリア系マフィア一掃のため、
ジミーにある提案を持ち掛ける。


それは、ジミーがFBIに情報を流す代わりに、
FBIはジミーの犯罪を見逃すという、
トップシークレットの密約だった。


それにより、
ジミーは絶大な力を得、
また、ビリーも、
ジミーの力で権力を得る・・・。





映画好きの友人たちが集まると、
たまに、ジョニー・デップの、
「かぶりもの映画」について、
話題になる。


「かぶりもの映画」とは、
私が勝手に言い出した言葉で、
何らかの扮装やメイクをしている映画の事を言うのだけれど、


ジョニデは、本当に「かぶりもの映画」の出演が多い。
有名な所では、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ、
古い所では、「シザーハンズ」などなど、
「かぶりもの」をしていない映画の方が少ないくらいだ。


で、先日も友人たちと集まり、
この映画の話になった際、
「今度の新作のジョニデは、
 珍しく“かぶりもの”をしていない」と誰かが言い出し、
大笑いになった。


女性の体型の事をとやかく言うのはセクハラになるように、
男性のある特徴を殊更にあげつらうのもセクハラになるのは
分かってはいるけれど、
この映画を語る時、
ジョニデの頭部について無視するわけにはいくまい。


確かに頑張ってはいる。
スター俳優が、
あんな風に髪を薄くしての役作り。
実在の人物を演じるからと、
あそこまでする役者魂は凄い。


ただ、役作りしすぎ、とも思う。
どの場面を見ても、
なんだか彼の存在だけが浮いている気がする。
それに、あの頭って、
いつも綺麗に整い過ぎじゃない?(笑)


いくらなんでも、
いつも全く乱れていないというのが不自然で。
やっぱり今回も、
「かぶりもの映画」だったという事かしら(笑)。
(最後まで頭部の話題ばかり。すみません)


評価 ★★★☆☆

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「質屋」 [映画]

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〔1964年/アメリカ〕


ソル・ナザーマン(ロッド・スタイガー)は、
美しい妻、可愛い2人の子供と
幸せに暮らしていたが、
ユダヤ人であるが故、
ある日、ナチスに強制連行され、
妻と子供は殺される。


1人生き残った彼は、
今は、ニューヨークの貧民街で、
質屋を営んでいる。
もう何も失うもののない彼は、
誰にも心を開かず、
客に対する応対も冷たい。


そんな彼の店で、プエルトリコ系の若者・ジーザス(ジェイム・サンチェス)が
働く事になった。
ジーザスは、元は不良だったが、
将来を考え、真面目に生きようと決意したばかりだ。
ソルから仕事を教わり、いずれは質屋を経営したいと考えている。


しかし、ジーザスの不良仲間が、
そんな彼を放っておくはずもなく、
仲間にそそのかされたジーザスは、
店の金庫を狙って、
数人で強盗に入ってしまう・・・。





どんなに辛い事があっても、
もう生きていても仕方がないと思えるくらいの
出来事があっても、
それでも人は生きていくしかないんだと、
思わされる。


だって、生きる以外に何ができるだろう。
愛する家族全員を失い、
生き残ったのは自分だけ。


ソルの腕には、
忌まわしい記憶を蘇らせる、
収容所で彫られたナンバーが刻まれている。
戦争を知らない若者は、
「おじさん、この刺青は何?」と尋ねてくる。


物語の中では、
フラッシュバックが多用され、
ソルが昔の事を語らなくても、
過去に、何があったかが分かる作りになっている。
ソルは、何を見ても、何を聞いても、
フラッシュバックが起こり、
全てが辛い過去に結びついてしまうようだ。


彼の店で働きだした若者・ジーザスは、
改心した気持ちを母親に誓うなど、
決して悪い若者ではない。
観ているこちらにしても、
「仕事が見つかって良かった。頑張れ」と思うのだけれど、
「何かが起こりそう」という不安が
どこかにある。


案の定、事件は起こる。
悪の誘惑というのは、
それほど強いものなのか。


ラスト、ソルの心は、
ほんの少し救われるけれど、
決してハッピーエンドではないのが悲しい。


評価 ★★★☆☆

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「無法松の一生」 [映画]

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〔1965年/日本〕


明治時代。
九州小倉で人力車夫をする、
富島松五郎(勝新太郎)こと通称・無法松は、
あだ名の通りの暴れん坊で、
型破りな男。


そんな無法松は、ある日、
怪我をして泣いている少年・敏雄を助け、
家まで送り届ける。
それが、無法松と吉岡家との、
一生続く、縁の始まりだった。


主の吉岡小太郎(宇津井健)は軍人で、
無法松とは身分違いであったが、
なぜか気が合い、
家に呼んではもてなすようになる。
ところが、ある日、
風邪をこじらせた小太郎はあっけなく死んでしまう。


無法松は、
未亡人となった小太郎の妻・よし子(有馬稲子)と敏雄を
何かと気にかけ、
家族同様の付き合いを続けていく。


よし子は敏雄の内気な様子を心配していたが、
無法松に触発されたように、
次第に元気な少年に成長してゆく様子を
嬉しく思い・・・。





4回映画化されたという、
「無法松の一生」。
阪東妻三郎版と、三船敏郎版は観ているのだけれど、
ソフト化されていない勝新太郎版は未見で、
観たいと思っていたところに、
国立フィルムセンターにかかったので、
嬉しくて出掛けた。


あとは三國連太郎版だけ。
こちらもソフト化されていないようで、
名画座にかかるのを待つしかない。
かかった時は、
絶対に見逃さないようにしなくちゃ。


で、勝新太郎の「無法松」。
観る前から、
無法松のイメージって、
なんて勝新太郎に合っているんだろうと、
思っていた。


阪妻と三船敏郎のを観ているので、
無法松のキャラクターは知っている。
型破りで破天荒で、
悪さもするけれど、
子供のように可愛くて、
自分が悪いと思ったら
きちんと頭を下げられる、
そんな無法松は、勝新太郎そのもののような気がして。


観始めて、
すぐにそれが間違っていない事を知った。
冒頭の芝居小屋での悪戯など、
いかにも勝新太郎がしでかしそうな事で、
可笑しくて笑ってしまう。


運動会で飛び入り参加し、
必死になって走る姿も
とってもいい。
なんだか、
勝新太郎は、無法松を演じているのではなく、
無法松そのもののように思える。


クライマックスの祇園太鼓の暴れ打ち。
魅入ってしまった。


評価 ★★★★☆

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「ドリーム ホーム 99%を操る男たち」 [映画]

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〔2014年/アメリカ〕


アンドリュー・ガーフィールドは、
母親と、小学生の息子と暮すシングルファザー。
今まで働いていた建築会社が突然潰れ、
給料も貰えないまま、家に帰る。


家のローンが滞り、
なんとかせねばと思っていた矢先、
不動産ブローカー・マイケル・シャノンが、
警察官を伴い家にやって来た。
2分以内に荷物を纏め、出ていけと、
立ち退き請求をされたのだ。


泣いても喚いても、
ガーフィールドたちの言葉は聞いてもらえず、
仕方なしに、家族はモーテル暮らしをする事に。


なんとかして、
家を取り戻したい。
そう切望するガーフィールドは、
シャノンに誘われるまま、
彼の不動産業を手伝うようになる。


かつて、自分がシャノンからされたのと同じ、
ローンが払えない人を強制退去させるという仕事に
手を染めるガーフィールド。
高額の報酬をもらい、
前の家よりはるかに高級な家を手に入れるが・・・。





アンドリュー・ガーフィールド君が出ているという理由だけで、
絶対観ようと決めていた映画。
予備知識は全くのゼロで、
観始めてから、こういうお話だったのね、と知った次第。


久し振りに見るアンドリュー君。
やっぱり可愛い♪
と、いい年してノー天気な事を考えていたら、
え?父親役!?


そっかぁ、彼ももう32歳、
父親役をしてもおかしくない年かぁ。
ただ、それにしても子供が大きい。
10歳か、それ以上に見える。
若気の至り?(笑)
と思っていたら、案の定、それらしいセリフがあった。
子供の母親はどこ行った?
その説明はなかった。


・・・と、アンドリューくんの人生は、
この映画ではさして重要ではない。


物語は結構重い、
不動産業の内幕を描いた、
社会派映画といってもいい内容。


家を差し押さえられる場面の衝撃。
有無を言わせず、
たった2分の間に荷物を纏めて出ていけ、って、
現実問題、そんな事無理でしょ。


もちろん、ローンの滞納や、
度重なる通告を無視していた方も悪いんだろうけど、
あれは辛いなぁ。


不動産は、
多くの人にとって、
人生で一番高額な買い物だろうし、
家族が集まる拠り所でもあろうし、
それを一瞬で失うショックったら。


しかし、そんな辛い体験をしたアンドリュー君が、
自分がされた事と全く同じ事を、
他人にして、
金を儲けてゆくという皮肉。


とにかく世の中は、
金を儲けた者の勝ち、
国は負け犬に手を差し伸べる事などない、
みたいなセリフがある。


まぁ、確かにそうなんだろうけど・・・。
色々考えさせられるなぁ。


評価 ★★★☆☆

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「サウルの息子」 [映画]

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〔2015年/ハンガリー〕


1944年。
ユダヤ人の収容所では、
ガス室で死んだユダヤ人の
遺体の処理もまた、
ユダヤ人がさせられていた。
その者達もまた、
数ヶ月すると、殺される運命にある。


そんな遺体処理の仕事をする一人、
サウル(ルーリグ・ゲーザ)は、
死に切れず、医師の手で殺された
自分の息子とおぼしき少年を見つける。


サウルは、
息子の遺体を、
他のユダヤ人と同じような
ぞんざいな扱いをする事に耐えられず、
ユダヤ教の教えに則り、
きちんと埋葬してやりたいと願う。


遺体を隠したサウルは、
収容者の中から、ラビ(ユダヤ教の聖職者)を探そうと
必死になるが・・・。





ほぼ全編が、
ユダヤ人収容所の中が舞台。


まず、冒頭、
多数のユダヤ人が、
ガス室に送られる場面のショックと、
その中から、
死にきれずに、
生死の境をさまよう少年がいた事に、
胸が苦しくなる。


人の命が重いものだとは、
承知の上で書くけれども、
あんな風に生き残ってしまうくらいなら、
いっそ死んでしまった方が絶対楽だと思えるような、
息も絶え絶えの苦しそうな少年の様子に、
実際にも、そういった事があったんだろうなと
想像できる辛さ。


その少年を見た瞬間、
主人公のサウルは、
自分の息子だと主張するのだけれど、


どうも話の流れからして、
少年が本当に彼の息子かどうか、
定かではない感じがする。


なぜサウルは、
少年を息子だと言い張るのか、
何が言いたいのか、
私の能力では理解しきれないせいで、
物語に完全に入れない。


本当の息子という設定で、
美しい思い出の場面の一つでもあれば、
この単純な頭でも、
十分泣けるお話になった気がするんだけど・・・


・・・って、
別に私を泣かす為に、
映画を作っているわけないのは分かってるけど。


宗教感の違いなのか、
それとも、葬儀や埋葬に重きを置かなくなった
現代日本との違いなのかは分からないけれど、
危険を冒してまで、
埋葬に拘るサウルの気持ちも、
完全には感情移入できなかった。


それらすべては映画のせいではなく、
感覚の違いだから仕方がない。


評価 ★★★☆☆

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