◆浅水湾(リパルスベイ)の月◆ [本]
森瑤子さんの小説の中でも、
特別に好きな「浅水湾(リパルスベイ)の月」。
何度も読み返して、本はもうボロボロ。
中国の貧民窟の叔母の家で暮らす、
13歳の少女・ロレッタ崔。
彼女は中国人とイギリス人の混血で、
誰もが驚嘆する美しさ。
彼女は、イギリス人・G.B.ムーアに「買われ」、
香港の彼の家に住み込む。
メイドとして、
いや、実は彼の慰み者として。
次の章は、
香港の“ペニンシュラホテル”のロビーに、
毎日やって来る謎の女・モニク李が主人公。
何の関係もなさそうなロレッタとモニクが、
章のラストで交差する。
涙が出る。
凄い、凄い本だ。
もし私が小説家だったら、
たった1つでもこんな本が書けた事に、
誇りに思ってしまうかもしれないと感じるくらいに。
私がここまでこの本に心惹かれる理由は、
おそらく、
男女の部分より、
中国や香港の描写がたまらなく好きだからだと思う。
何度か書いているけれど、
私は中国の貧民窟のような場所に、
なぜか強く強く心惹かれてしまう。
決して住みたいなんて思ってるわけじゃないのに。
前世は、
極貧生活をする中国人女だったのかもしれない(笑)。
映画化するとしたら、
ロレッタの役は、
昔なら宮沢りえ、
今なら沢尻エリカあたりが適当かと思う。
もちろん、セリフは全編英語で。