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「オイディプスの刃」 [映画]

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〔1986年/日本〕


下関の広大な敷地に邸宅を構える、
旧家・大迫家。


主人の耿平(田村高廣)は、
刀の収集を趣味とし、
数あるコレクションの中でも、
名刀「次吉」は一番の宝だ。


家族は、互いに再婚同士の妻の香子(佐藤友美)、
長男で耿平の連れ子の明彦、
次男で香子の連れ子の駿介、
三男で耿平と香子の間に生まれた剛生、
そして、結婚に失敗し戻ってきた、
耿平の妹の幸代(五月みどり)。


大迫家では、年に一度、
「次吉」を手入れするため、
研師・秋浜泰邦(渡辺裕之)がやって来るのが、
通例となっており、
しかも、香子と泰邦は密かに通じ合う仲だった。


今年も泰邦は刀研ぎにやって来たが、
ある昼下がり、「次吉」で腹を裂かれ、
殺されているのが見つかる。


それを知った香子は、その場で同じ刀で自死し、
さらにそれを知った耿平が割腹自殺をはかるという、
怖ろしい事件が発生する。
耿平の死は真犯人を隠す為だと思われ、
表向きは、耿平が2人を殺して自殺したものとして処理される。


事件後、バラバラにされたまま大人になった兄弟たち。
特に剛生(京本政樹)は行方知れずになっていたが、
新婚旅行でフランスを訪れた明彦(北詰友樹)は、
剛生らしき男に会ったと、
駿介(古尾谷雅人)に手紙を寄越してくる・・・。





赤江瀑さん原作小説の映画化。


赤江さんの本は、以前かなりハマって、
立て続けに随分沢山読んだ。
どの内容も、耽美で妖しく官能的、
さらに、日本の伝統工芸や伝統芸能について、
大変な知識を持った方だと驚いたものだ。


そんな風に赤江さんに夢中になったきっかけが、
この「オイディプスの刃」。
なぜか自宅にこの本があったので、
なんとなく手に取ったと記憶しているけれど、
その面白さに一気に読んだ。


なので、この映画はずっと観てみたかった。
願いが叶って嬉しい。


ただ、残念だけれど、
やはり赤江ワールドを描くのは、
とても難しいと思われる。
2時間ドラマを観ているようだった。


あの耽美な雰囲気は、
小説を読む者の、
頭の中で感じ取るのが、
一番良いのかもしれない。
映像として突きつけられると、
安っぽさの方が目に付いてしまう。


さらに、この小説の場合、
人間関係が複雑なので、
それを観る者に知らせる為のセリフがどうしても必要となり、
なんだかくどくどしい。


登場人物の皆さんは、
役に合った雰囲気でそれなりだった。
特に京本政樹。
彼の顔って、こういう話に向いている(笑)。


評価 ★★★☆☆

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