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「嵐を呼ぶ男」 [映画]

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〔1957年/日本〕


銀座で大きなジャズクラブを経営する北原三枝は、
バンドのドラマー・笈田敏夫に手を焼いていた。
クラブに来た頃は駆け出しだった笈田が、
人気が出るにつれ天狗になり、
よそのクラブからの引き抜きにサインしてしまったのだ。


そんな中、青山恭二という青年が北原の所にやって来る。
彼は自分の兄・石原裕次郎のドラムの才能を売り込みに来たのだ。
笈田の代わりに石原を使う事を決めた北原だが、
暴れん坊で有名な石原は、喧嘩して留置所にいる。
北原は彼を貰い受け、バンドのメンバーにする。


石原と青山は仲の良い兄弟だったが、
母は、自分を捨てた夫にソックリな石原を嫌っており、
何かにつけて辛く当たっていた。
青山が音楽を始めた事も、
石原の影響だとなじり、
まともな会話もできない。


ステージに立った石原に、
音楽評論家・金子信雄が近づいて来た。
北原に惚れている金子は、
石原をスターにする代わりに、
北原との仲を取り持ってほしいと言い、
石原もそれを快諾する。


北原の家に泊まり込みで練習し、
また金子の力もあり、
めきめき頭角を現す石原。
そんな中、石原と笈田がドラム対決する事が決まる。
しかし、その前夜、石原は笈田の取り巻きと喧嘩し、
右手を負傷してしまう・・・。





「これが『嵐を呼ぶ男』かぁ」と、
観られた事がちょっと嬉しかった。
有名なドラム対決のシーンだけは、
テレビや、その他の媒体で何度も何度も観た事があるせいか、
「やっとお目にかかれた」という気持ちが一番近い(笑)。


このブログの、
「ALWAYS 続・三丁目の夕日」でも、
堀北真希がこの映画を観た時の様子を書いた。
どこかで読んだのだけれど、
当時、あまりの盛況に映画館のドアは閉まらず、
人の重みで床が抜けた所もあったとか。
興業収入も大変なものだったらしい。


確かに、この映画がそれだけヒットしたのも分かる気がする。
私は最初、
石原裕次郎のカッコ良さだけを見る映画かと思っていたのだけれど、
意外にストーリーがしっかりしている。
観ていて飽きるという事がない。
石原のファンなら、
リピートしても不思議はないかもしれない。


恋を取り持つ約束をしたはずが、
自分が恋に落ちてしまい、
結果的に、相手を裏切る事になる過程は
中々面白いし、
両方の気持ちが分かるだけに切ない。


石原と青山の兄弟愛もいい。
2人は互いに慈しみ合って、
すんごく仲がいい。
観ていて気持ちいいくらいに。


石原と母との関係も、
ストーリーとしては面白い。
ただ、違和感。
だって、「あの」石原裕次郎が、
「母さんは俺が嫌いなんだ」とスネるという絵が、
なんだか変で(笑)。


ほんの数秒だけ、
なぜかフランキー堺さんが出ていてビックリ。
留置場でくだを巻く男の役だった。


評価 ★★★☆☆

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「パラサイト」 [映画]

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〔1998年/アメリカ〕


オハイオ州の、とある高校。
フットボールが盛んなこの町では、
その選手とチアリーダーだけが花形スター。


そんな中、成績は優秀なのに、
気弱で運動音痴のイライジャ・ウッドは、
いつも苛められている。


ある日、ウッドは、
フットボールのグラウンドで、
見た事もない生物を発見する。
生物の教師にそれを見せると、
新種の発見ではないかと驚かれる。


同じ頃、学内では異変が起きていた。
教師や生徒の様子が、どこか今までと違うのだ。
さらに、ウッドと新聞部の女生徒・ジューダナ・ブリュースターは、
職員室で、教師が教師に襲われる現場を目撃してしまう。


あの新種の生物がエイリアンであり、
人間を乗っ取ったと気付いたウッドとブリュースターは、
まだ無事な生徒たち4人と、
エイリアン撃退に立ち向かう・・・。





もっと怖くてシリアスなホラーかと思っていたら、
とんでもない。
めっちゃ愉快で、そしてチープな学園物であった。
監督はロバート・ロドリゲス。
真面目に観ちゃ駄目ね(笑)。


宇宙から来た生物が学校を乗っ取る。
なんで、そんな田舎の学校を?というのが疑問だけど、
そこは考えちゃいけないらしい(笑)。
セリフの中に、
「本当の宇宙からの侵略者は、
 『インデペンデンス・デイ』のように派手にはやらない」みたいな事を
言っていたけど。


それから、
「スピルバーグもルーカスもエメリッヒも、
 エイリアンに乗っ取られてる(からあんな映画を作れる)」とまで。
ロドリゲス監督は、これら大物監督たちを、
褒めたいのか、貶したいのか(笑)。


まだ乗っ取られていない生徒たちが、
エイリアンを倒すのに、
“ある物”が有効だと気付くんだけど、
その“ある物”ってのが、
今まで見たエイリアン映画では
有り得ないような代物で(笑)。
そのB級感が最高。


その“ある物”の持ち主が、
ジョシュ・ハートネットなんだけど、
彼はやっぱりカッコいい。
高校時代にこんな同級生がいたら、
すぐに恋しちゃいそう(笑)。


保健室の先生をサルマ・ハエックが演じているのが、
なんだか可笑しい。
こんな保健の先生がいたら、
お部屋は男子生徒で一杯じゃない?(笑)


フットボールのコーチを演じるのロバート・パトリックが
ハマり役。
「ターミネーター2」でもドロドロ金属を演じた彼は、
こういった、イっちゃってる役がピッタリ。


教師の一人、ファムケ・ヤンセンが、
最初はとてもダサくて、
「あれ?」と思ったのだけれど、
エイリアンに乗っ取られた途端、セクシーに変身したのが笑える。
やっぱり彼女は、そうでなくちゃね。


評価 ★★★☆☆

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「キリング・フィールズ 失踪地帯」 [映画]

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〔2011年/アメリカ〕


テキサスの“キリング・フィールズ”と呼ばれる一帯では、
少女が殺される事件が多発し、
その殆どが未解決のまま。


地元の刑事・サム・ワーシントンと、
相棒のジェフリー・ディーン・モーガンは捜査に当たっているが、
なかなか成果を上げられない。


一方、この町に住む少女・クロエ・グレース・モレッツは、
母が家に男を呼んでいる間は、
外に出されるなど、
辛い日々を送っていた。


モレッツを気に掛けては、
母に注意するモーガンだったが、
状況は特に好転しないまま。


ある日、モーガンがモレッツを車に乗せて、
家まで送る途中、
コンビニに寄る。
すると、彼が車中で電話している最中に、
モレッツが誘拐されてしまう。


彼女を探して、
“キリングフィールド”に入っていったモーガンは・・・。





タイトルの通り、
何だか暗い。
さらに、事件が湿地帯で起こっているだけあって、
ジメジメしていて、
スッキリしない。


町全体も、とても嫌な雰囲気。
多くの人々が、荒んでいて、
真っ当な仕事をしている人など、
殆どいない印象。
いつ犯罪が起きてもおかしくない感じ。


私の知らない、観光地でないアメリカ。
いつもはアメリカを、とても好き、と思っているけれど、
デフォルメされているとはいえ、
これが現実なのかも。
こういった地域に行く勇気はない。


クロエ・グレース・モレッツの家にしたって、
その環境は最悪で、
どう見ても、
子供を育てられる家ではない。
「子供は親を選べない」とはよく言われる言葉だけれど、
こういった映像を観ていると、
つくづくその通りだと痛感する。


映画としては平凡。
量産される犯罪物の一つに埋もれて、
思い出す事もないであろう内容。


サム・ワーシントンの元妻が、
やはり刑事をしていて、
何かと彼に絡んでくるという、
手垢の付いたような設定がここにも(笑)。


なんでこの手の映画って、
別れた夫婦が嫌々一緒に仕事するって状況に
話しを持っていくかな。
まぁ、途中で刑事同士が、
変な恋愛関係になるよりは、
マシかもしれないけど。


評価 ★★★☆☆

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「鴛鴦歌合戦」 [映画]

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〔1939年/日本〕


傘張りをして生計を立てている、
長屋住まいの娘・お春(市川春代)。
父・志村狂斎(志村喬)は穏やかな好人物だが、
骨董品に目がなく、
お春の稼ぎは全て、骨董品収集に使ってしまう為、
日々の食べ物にも事欠く生活。


お春の家の隣に住む浅井禮三郎(片岡千恵蔵)は、
身軽な浪人。
彼はお春と好き合っているが、
豪商の娘・おとみ(服部富子)に言い寄られたり、
幼馴染の藤尾(深水藤子)からは、許嫁だと言われたり、
モテモテであり、
お春はいつもヤキモキしている。


ある日、例によって、狂斎が骨董品屋で
古物を吟味していると、
これまた骨董品狂いの殿様・峯澤丹波守(ディック・ミネ)が
店に入ってきた。


狂斎は1点の掛け軸に目を付けたが、
金が無い。
すると殿様がそれを買ってくれると言うではないか。


大喜びの狂斎だったが、
狂斎を迎えに来たお春を一目見た殿様は、
彼女に一目惚れ、
お側仕えになれと言ってくる。


禮三郎との結婚を夢見るお春は、
断固拒否。
彼らの運命はどうなるのか・・・。





とにかく楽しくて、心明るくなる、
オペレッタ時代劇。
日本初のオペレッタ映画と言われているそうだ。


昭和14年に、
このような映画が作られていた事に驚く。
ものすごくモダンで、
今観ても、新しい感じがする。
登場人物たちが、みんな突然歌い出すんだけど、
その歌も歌詞も、すんごく可笑しくて、コミカルだ。
ミュージカル嫌いの方も多いようだけれど、
これは絶対楽しめる。


志村喬もコミカルに歌う(笑)。
彼の歌は、黒澤明監督の「生きる」でも聞いたけれど、
こちらはとにかく能天気。
娘を愛しながらも、
つい骨董品を買ってしまう父という役が、
見事にハマっている。


登場人物がみんないい人で、
すんごくお気楽(笑)。
お春を所望する殿様だって、
別に暴君ではなく、
どこかとぼけた風情。
狂斎同様、
骨董品を見る目がどこまで確かなのか、
まったく怪しい(笑)。


禮三郎の取り合いをする、
3人の娘たちの争いも可愛い。
片岡千恵蔵って、
若い頃、とってもハンサムだったのね。
娘たちが夢中になるのも分かるわ(笑)。


ラスト、お春がした衝動的な行動は、
若い娘らしい選択だ。
私だったら、ああはしないかもしれないな(笑)。


評価 ★★★★★

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「イヴォンヌの香り」 [映画]

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〔1994年/フランス〕


1950年代。


レマン湖の畔の高級ホテルに滞在している、
30歳の伯爵・ヴィクトール(イポリット・ジラルド)は、
ロビーで美しい女と出会う。


イヴォンヌ(サンドラ・マジャーニ)と名乗るその女は、
ゲイの医師・ルネ・マント(ジャン・ピエール・マリエール)と
行動を共にしており、
ヴィクトールもそこに加わる事になる。


ヴィクトールとイヴォンヌは愛し合うようになり、
結婚を考えるまでになる。


イヴォンヌを女優にし、
自分が演出しようと考えたヴィクトールは、
彼女をコンテストに出場させ、
優勝を勝ち取る。
しかし、その後のパーティで、
審査員と踊るイヴォンヌの軽さに、
ヴィクトールは嫉妬と怒りを覚える。


「アメリカに渡って、ハリウッドで映画を作ろう」
そうイヴォンヌを誘うヴィクトールだったが、
約束の時間、
駅に彼女は現れなかった。
イヴォンヌは何者なのか・・・。





パトリス・ルコント監督作品。


ルコント監督の作品全てを観たわけではないけれど、
なんとなく、いつも、
男が女に振り回される物語が多いって印象で。
そういった趣味がおありなんだろうか(笑)。
私は嫌いじゃないけど。


この映画は、
深みもなく、雰囲気を楽しむ作品。
男女が一緒にいて、
ウダウダした愛の時間を過ごしてるって感じで。


そもそも、主役のヴィクトールが無職なのが、
映画を軽くしている原因な気がする。
金があるから、働く必要がないんだろうけど、
そういった境遇が、
余計に彼を薄っぺらく見せているように思う。


イヴォンヌを演じた、
サンドラ・マジャーニという女優さんが、
とっても綺麗に見える時と、
そうでも無い時の差があって、
「うわー、ステキー」というほどの感慨はない。


ただ、ヌードは綺麗。
服を着ている時より、
脱いでいる方がいいって、
女優さんとしてはどうなんだろう(笑)。


彼女の正体も、
意外というほどの事はなく、
なんとなく終わってしまう。
それより、
ゲイの医師の運命の方が衝撃的。


評価 ★★★☆☆

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