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「うさぎドロップ」 [映画]

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〔2011年/日本〕


祖父が亡くなり、
葬儀に駆け付けたサラリーマンのダイキチは、
6歳の少女・りん(芦田愛菜)と出会う。


なんと、りんは祖父の隠し子という事で、
親戚連中は渋い顔。
誰も彼女を引き受けようとはせず、
押し付け合う。


そんな場に耐えられなくなったダイキチは、
勢いで「自分が育てる」と言ってしまう。
その日から、
ダイキチとりんの生活が始まる。


戸籍上は、叔母と甥にあたる不思議な関係。
りんは次第にダイキチに懐き、
少しずつ、生活のペースを掴んでゆく。
また、ダイキチは、
りんの保育園の同級生・コウキの母・ゆかり(香里奈)と、
いい雰囲気になっていく。


彼は、
りんの母親・正子(キタキマユ)の居所をネットで突き止め、
彼女と対面する。
母の自覚がない正子は、
はなからりんを引き取る気などなく、
ダイキチも、正子に期待するのをやめる。


そんなある日、
保育園から、りんとコウキがいなくなった。
必死で2人を探すダイキチとゆかりは・・・。





残業続きのサラリーマンが、
我が子でもない幼児を引き取って、
男手一つで育てるなんて有り得ない・・・
・・・という突っ込みは入れちゃ駄目なんだよね、
この映画は(笑)。


原作はもっと深いらしい。
確かにこの内容だと、
ダイキチがりんを引き取ろうと思った理由が
今一つ明確に分からない。


だから、設定に無理があると感じてしまう。
ダイキチがりんを「引き取る!」と言ってしまった席には、
ダイキチの母もいたのよ。
今までも、これからも、
仕事をしていかなくちゃならない息子の、
そんな戯言を、
母親が、「じゃあ、そうしなさい」なんて言うとは思えないんだけど。


ダイキチは、りんの為に、
残業の無い、肉体労働の職場(配送センター?)に
配置換えを希望し、移る。
ずいぶん親切な会社だなぁ(笑)。


ただ、この部署の場面が、
わたし的には一番ウケた。
そこで働くのは、
一般で言う、いわゆるガテン系と呼ばれる男の子たちで、
今までホワイトカラーだったダイキチとは気が合いそうにもない。
けれど、実は彼らは面白い奴らで、
しかも、若いのにみんな子持ち!(笑)。
子供の事で、めっちゃ親身になってくれるのよ。
なんか笑った。


芦田愛菜ちゃんが、芸達者で、
その分、保育園のシーンでは浮きまくってる気が(笑)。
他の園児たちと一緒に、お絵描きやら何やらをしていても、
彼女がもっと凄い大人の世界を知っていると知っている私には、
なんだか素直にその場面を観る事ができない。
「愛菜ちゃんは、どんな気持ちで他の子たちを見ているんだろう」と、
そんな気持ちで、彼女を眺めてしまう私の心は、
きっと真っ黒な汚れだ(笑)。


ただ、愛菜ちゃんがハリウッドデビューしたという、
もうすぐ公開の「パシフィック・リム」は楽しみ。
これは、園児がどうのとかいう、
お話じゃないみたいだし(おそらく)。


評価 ★★★☆☆

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「婚期」 [映画]

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〔1961年/日本〕


若尾文子・野添ひとみ姉妹は、
実家暮らしをしながら結婚相手を探しているが、
文句が多く、なかなか相手が見つからない。


実家は、兄・船越英二が家長で、
船越の妻・京マチ子が家事を取り仕切っているが、
若尾と野添は京を嫌い、
何かと嫌がらせをする。


ある日、京の所に、
「あなたの夫には、愛人がいる、子供まである」という内容の
手紙が届く。
それも、若尾と野添が仕組んだ事なのだが、
京は内心のショックを隠し、表向きは涼しい顔をしている。
そんな所がまた、2人を苛立たせる原因なのだ。


そんなこんなの日々の中、
若尾がお見合いする事になる。
相手が歯科医の為、
京は、痛くもない歯を治療しにその病院に偵察に出掛け、
「あの人なら間違いない」と太鼓判を押す。


ところが、お見合い当日、
相手の驚くべき事実が明らかとなり、
ショックを受ける若尾。
「それくらい我慢しろ」と言う船越以下、
家族全員が大騒ぎ。


さらに、船越がガス中毒を起こし、
京は、自分が疑われている事を知り、
ついに家出してしまう・・・。





これは、なんとも、
面白いんだけど、怖ろしいような物語(笑)。


女たちの会話が凄すぎ。
ポンポンと弾むように、
意地悪で嫌味な言葉が続き、
誰も、一歩も引こうとはしない。


特に若尾さん。
彼女は29歳という設定で、
結婚に相当な焦りを見せ、
それを隠そうともしない。


で、京マチ子さんに当たり散らす。
なんでそんなに京さんを嫌うんだか、
明確な理由はないんだけど、
兄嫁というだけで、気に入らないのだろう。
とにかく苛める。


兄嫁に怪文書なんて送りつける妹がいるかね(笑)。
誰が犯人かなんて、
すぐ分かりそうなものじゃないか。
でも、京さんも案外したたかで、
船越の前で泣くふりはするけれど、
どこまで本気なのかは分からない。


それに対して船越は、
「君だって結婚した時、生娘じゃなかった」などと
ヒステリックに叫んで、
寝屋を別にしようとする。
子供っぽいんだわ(笑)。


他にも、
1人暮らしをしている、
船越の妹が高峰三枝子、
家政婦のお婆さんが北林谷栄と、
とにかく豪華。


そういえば、北林さんの孫娘が、
結婚相手を連れてくるシーンが、
また見ものだった。
相手はとっても好青年で、
すんごくいいカップルなんだけど、
その時の若尾さんの微妙な表情ったら(笑)。
祝福と焦りとが綯い交ぜになって、
言葉も出ないようだった。


人の心って複雑(笑)。


評価 ★★★★☆

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「喜劇 花嫁戦争」 [映画]

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〔1971年/日本〕


今、まさに結婚式がとり行われている真っ最中の式場。


花嫁・長谷秋子(和田アキ子)が、突然逃げ出す。
政略結婚には我慢ならないというのが、その理由だ。
花婿・秋元(萩本欽一)は、なぜか彼女の逃亡の
手伝いをさせられるハメになり、
親族一同から大顰蹙を買う。


当の秋子は、上手く逃走、
銀座にやって来るが、スリに財布を盗まれてしまう。
困り果てた彼女だったが、
ひょんな事から、
鎌倉のある邸宅で、子守り兼家政婦の仕事を得る。


勤め先の里見家は、
主人はヨーロッパ旅行中、
妻は美容院経営で家には殆ど帰って来ず、
3人の子供たち、
長男・信太郎(古今亭志ん朝)、
次男・明(原田大二郎)
長女・ ユミ(中川加奈)は腹違い、
さらに明は未婚の父で、
子供・正夫(梅地徳彦)を育てるなど、
大変に複雑な家庭だった。


正夫は、そんな淋しい環境から、
いつも大人にちょっかいを出す、いたずらっ子だったが、
本音でぶつかる秋子と接するうちに、
次第に彼女に懐いてゆく。


ある日、主人がヨーロッパから帰ってきた機会に、
今後の家の在り方について、家族会議が開かれるが、
正夫の処遇について微妙な空気が流れ、
正夫を不憫に思った秋子は、
彼を連れて家出してしまう・・・。





和田アキ子主演のコメディ。


最近は、アイドル映画といえども、
一定の水準を保った作品でなければ
許されない雰囲気があるけれども、
昔は、このような映画が普通に作られていたんだなぁと、再確認。
(和田アキ子をアイドルと定義すればの話だが(笑))。


ただ、和田アキ子という素材の長所は、
存分に引き出されている内容で、
そういう意味では上手く出来ていると思う。


彼女が持つ、ある種の純情さ、真面目さ、健気さが、
いじらしい。
ガサツで大味ではあるけれど、
それも悪くない。
むしろ、可愛いとさえ思えてしまう。


途中、和田は、
船上パーティに連れて行かれるのだが、
そこで、苛めとも取れるような扱いを受ける。
不器用で、人に騙されやすいその性格。
本来は笑える場面なのだろうが、
私はなんだか悲しかった。


その場面の首謀者というのが、
イラストレーターの水森亜土さん。
こういった古い映画を観る楽しみの一つに、
意外な出演者に驚ける、というのがあるけれど、
彼女もその一人。


なんだかイヤな性格の役だったけど、
とても若くて、可愛らしかった。


評価 ★★★☆☆

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「螢川」 [映画]

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〔1987年/日本〕


昭和37年、富山。


中学3年生の水島竜夫(坂詰貴之)は、
幼馴染・辻沢英子(沢田玉恵)に、
仄かな恋心を抱いていたが、
自分の気持ちを持て余し、
悶々とした日々を送っていた。


竜夫の父(三國連太郎)は、
元は羽振りのいい実業家だったが、
今は家まで借金取りがやって来るくらい落ちぶれている。
人は、そんな父を、
運に見放されたのだと噂している。


竜夫は幼い頃、父から、
「4月に大雪が降った年は、川の上流に蛍の大群がやって来る。
それを一緒に見た男女は、結ばれる運命となる」という伝説を聞かされ、
それがいつまでも心に残っていた。


そして、その年の4月、
富山は大雪に見舞われた。
夏になったら、英子を誘って蛍を見にいきたいと、
密かに思う竜夫だったが、
父が脳溢血で倒れてしまい・・・。





宮本輝の“川三部作”の1本。
ちなみに、あとの2本は、
「泥の河」と「道頓堀川」だそうだ。


「道頓堀川」は観ていないので分からないけれど、
この「螢川」と「泥の河」だったら、
私は圧倒的に「泥の河」の方が好き。


この映画も悪くはないのだけれど、
主人公の中学生の男女が、
あまりに素人っぽすぎて、
セリフは棒読み、動きもぎこちなく、
感情移入がしにくい。


そこがいいという意見も多いようだけれど、
そんな2人が、
性の目覚めを仄めかすようなシーンを演じるのが、
私には生々しく感じられて、恥ずかしくて見ていられない。
近所の中学生の生活を見せつけられているようだ(笑)。


そんな風にしかこの映画を観られない私の心が
汚れてるんだろうけどさ。


私は宮本輝という人の事はよく知らないのだけれど、
「泥の河」も、この「螢川」も、
少年の両親の結婚のいきさつや、
子供好きで、男気ある父の性格が似ているような気がした。
ご自身の人生を投影された部分があるのだろうか。


竜夫が父の前妻と会い、
また別れるシーンが良い。
前妻は、
竜夫の父が、母と一緒になる為に捨てられたのだが、
母や竜夫を恨む様子はなく、
逆に、竜夫に何らかの感情を抱いているようだ。
子供のない彼女にとって、
それは、愛であり、悲しみであり、
なにか、言葉では表せない深い思いがあって、
見ているこちらも、
やるせなくてたまらなかった。


ラストの蛍の大群のシーンは、
合成らしいけれど、
雰囲気はよく出ている。
あそこまで凄くなくてもいいけど、
蛍の大群が出る場所があるなら、
私も見てみたい。


評価 ★★★☆☆

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「ラストサマー2」 [映画]

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〔1998年/アメリカ〕


前作の惨劇から1年。
また7月4日がやって来た。


ジュリー(ジェニファー・ラヴ・ヒューイット)は、
ボストンで大学生活を送っていたが、
悪夢に悩まされ、殺人鬼に殺される恐怖は消えていない。
そのため、恋人・レイ(フレディ・プリンゼ・Jr.)から、
帰省を促されても、その気になれず、
2人の仲はギクシャクしてしまう。


そんな彼女を励まそうと、
親友のカーラ(ブランディー)が、
ラジオのクイズ番組で当てたバハマ旅行に誘ってくれる。


メンバーは、ジュリーとカーラ、
カーラの恋人・タイレル(メギ・ファイファー)、
そして、ジュリーに片思いするウィル(マシュー・セトル)。


4人はバハマに着いたが、
島には誰もいない。
その日はハリケーンが島を襲うと予報され、
観光客は皆、帰った後だった。


そしてジュリーは、
またあの男の気配を感じる。
去年の夏、自分を殺しに来た、あの男の・・・。





昨日書いた、「ラストサマー」の続編。
まるで学習しない女主人公(笑)。


彼女が1人になる。

惨殺死体を発見する。

大騒ぎで人を呼びに行く。

みんなが駆け付けるが死体が消えている。

信じてもらえず、イライラ。


この繰り返し。
ホラー映画のお約束なのは分かってるけど、
何かもう一つ、ヒネりが欲しい。
第一、犯人は生身の人間、
死体をその都度運んだり、戻したり、
大変そうだ(笑)。
痕跡も、必ず綺麗に拭き取られてるし。


そして、お気の毒なのは
ジュリーの友人たち。
轢き逃げして、恨まれてるジュリーと一緒にいるってだけで、
ジュリーと一緒に殺人鬼に狙われる。
なーんにも悪い事してないのにね。
とんだとばっちり(笑)。


犯人はなぜ夏になると出てくる?
轢き逃げされたのが7月4日だとしても、
1年に1度だけ出てくる必要性を感じない。
ジュリーを殺したければ、
チャンスはいくらでもあるだろうに。


このようなホラーに(しかも続編)、
何もそんな追究しなくたっていいんだけど、
せっかく観てるんだから、
やっぱり色々突っ込まないと楽しくないものね(笑)。


1作目と、殆ど間を空けずに作られたようなのだけれど、
ジェニファー・ラヴ・ヒューイットが、
とっても綺麗になっているような気がした。
垢抜けたのか、
私の気のせいなのか。


評価 ★★★☆☆

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