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「マネーボール」 [映画]

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〔2011年/アメリカ〕


ブラッド・ピットは、
万年弱小チーム、アスレチックスのGMを務める中年男。


彼は高校時代、花形野球選手ともてはやされ、
大学進学が決まっていたにもかかわずプロ入りしたが、
全く結果が出せずに終わった事が、
常に頭に残っている。
「俺は金に目がくらんで人生を棒に振った男」と、
自嘲気味に語る。


アスレチックスは、経済的にも不安定な状態で、
力のある選手を取る事ができない。
役員は皆高齢で、
会議もなあなあな感じ。
いつも苛立っているブラピ。


ある日彼は、
イェール大学で経済を学んだという若者、ジョナ・ヒルと出会う。
選手の全てをデータだけで分析し、
今までに無かった理論を打ち出す彼に惚れこんだブラピは、
彼を引き入れ、
チーム再建に尽力する。


理屈だけでいえば、
実力のない選手をスカウトしても、
やりかた次第でチームは強くなる。
ブラピの強引な作戦に、
周囲は反発し、
最初は結果を出せずにいたが、
チームは次第に勝ち星をあげてゆく・・・。





まさに、“机上の空論”を現実にしたという、
男たちの物語。


ジョナ・ヒルが存在がとても面白いと思ったな。
太っていて、一見冴えない風貌のヒルは、
どう見ても、自身が野球をするとは思えない。
しかし、選手一人一人を独自のデータで分析する彼は、
さすが経済を学んだ事だけはある、
数字に強い、いわばオタク的存在。


昔なら無かった、その考え方に、
チームの長老たちが反発するのは当然と思われる。
なぜなら、会議で話す事といえばいつも、
「○○選手はルックスがいい」とか、
「でも彼の恋人は美人じゃない」とか、
そんな内容ばかり。


それはそれで面白いとは思ったけれど、
現代野球は、
それでは他のチームに勝てないだろうなぁと思うよ。
草野球じゃないんだから(笑)。


ブラピの、年相応の役がいい。
文字を読む時は、
おそらく老眼鏡であろう眼鏡をかける。
若者ぶっておらず、
しかも、それでも絵になり、カッコいい。


評価 ★★★☆☆

「タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密」 [映画]

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〔2011年/アメリカ〕


試写会で観た。


新聞記者のタンタンは、
相棒の犬、スノーウィといつも一緒。
ある日、彼はフリーマーケットで、
ガラスケースに入った帆船の模型を一目で気に入り、
即座に購入する。


すると、そこに2人の男が続けざまに現れ、
それを売ってほしいと言われる。
何かとても価値のある物のようだが、
手離す気になれないタンタンは、断る。


ところが、家に帰った直後から、
タンタンは何者かに追われるようになり、
室内を荒らされ、
帆船は盗まれてしまう。


実はその模型は、
17世紀に海賊に襲われて姿を消した、
伝説の帆船、“ユニコーン号”だったのだ。
しかも、帆船は盗まれたが、
暗号の書かれた巻物が、
タンタンの手元に残っており、
それを狙う者たちを相手に、
タンタンの冒険が始まる・・・。





キャラクター物はけして嫌いではない私だけれど、
タンタンについての知識は全く無く、
だから、
子どもだと思っていたタンタンが、
大人だった事にまず驚いた。


この映画が、
元々のファンの方から見て、
原作のタンタンのイメージ通りなのか、
全く別物に仕上がっているのかさえも、
さっぱり分からない。
そもそも、彼って、何歳くらいの設定なのだろう。
まぁ、調べれば分かる事だろうけど。


映画の最初に、彼は自分を「新聞記者」と
言っていたように思うのだけれど、
違っていたらごめんなさい。


子どもだと思っていたタンタンが、
拳銃を手にするシーンがあり、
それが物凄く生々しい感じがした。
試写会の為、子どもが多数観にきていたので、
「あ、いいのかな」と思ったりして。


そういえば、冒頭、
タンタンに「帆船を売ってほしい」と言った男は、
「金はいくらでも出す」と言って、
小切手を取り出すの。
「私なら売っちゃうな」と思ったのだけれど、
こういう場合、どれくらいの額を言えばいいんだろう・・・、


と、こんな感想とも言えない感想しか書けない自分は、
なんて情けない女なんだ。
原作を読んで出直してきます。


評価 ★★★☆☆

「コンテイジョン」 [映画]

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〔2011年/アメリカ〕


香港からの出張帰りのグウィネス・パルトロウは、
すぐに自宅には帰らず、
愛人とのひとときを過ごす。
その後、彼女は風邪のような病気を発症し、
あっと言う間に死ぬ。


パルトロウの夫、マット・デイモンは、
妻の突然の死を受け入れる事ができない状況のまま、
今度は、妻の連れ子までが同じ症状で亡くなってしまう。


同じ頃、東京や香港でも同じ病気で人が死に、
死んだ人間と接触した多数の者が感染し、
世界中にパニックが広がってゆく。


そんな中、フリージャーナリストのジュード・ロウは、
政府が病気を隠しているのではないかと、
ブログに書き、
その読者数は膨らむ一方だ。


世界保健機構(WHO)の医師、マリオン・コティヤールや、
疾病予防センター(CDC)の博士、ローレンス・フィッシュバーンが、
原因の解明に乗り出し、
ケイト・ウィンスレットはフィッシュバーンの指示で、
体育館のような場所に隔離施設を作る。


その後も、ジュード・ロウは、
政府が特効薬を隠しているとネットに書き連ねる。
街は荒れ果て、
暴動、略奪、放火が起こり、
コティヤールは誘拐され、
犯人は彼女を人質に、薬の要求をするようになる・・・。





新型インフルエンザやSARSなどの記憶も新しく、
今まで無かった病気の蔓延の可能性に、
なんとなく不安を抱えている現代、
この内容は、とてもリアルに感じる。


誰が主人公という事はなく、
それぞれの登場人物が、
それぞれの立場から、
それぞれの思いを表すという作り。


実際にここまで未知の病気が流行ったら、
その時、日本人は、どのような対応をするのだろう。
震災の時は、静かに順番を待つ様子が評価されたが、
これは状況が違うし、
なんだか想像がつかない。


病気発症の第一号者は、大変だというのも強く思った。
グウィネス・パルトロウは、
感染した場所と思われる、
カジノをしたマカオで監視カメラの映像を細かく分析され、
また、愛人との逢瀬まで知られる事になる。
夫のマット・デイモンは、
そんな事がなければ知らずに済んだ事を知り、傷つく。


過去にも原因不明の病気を扱った映画はあったが、
ネットによる情報の伝達を描いた所が、
今までに無かった部分であろう。
真偽はともかく、人々はネットの情報を鵜呑みにしてゆく。
情報の速さは、
ウィルス蔓延の速さより、よほど凄い。


評価 ★★★☆☆

「兵隊やくざ 脱獄」 [映画]

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〔1966年/日本〕


前作の最後で、
軍隊から上手く脱走したと思われた、
有田(田村高廣)と大宮貴三郎(勝新太郎)だったが、
結局逃げ切れず、刑務所に入れられる。


一筋縄でいかない大宮は、
ここでも看守から目を付けられ、
食事抜きの懲罰を受けるが、
内緒で飯を分けてくれたのが、
同房の沢村(田中邦衛)だった。


沢村は、看守にゴマをする、いけ好かない奴だったが、
それには理由があった。
日本で待つ恋女房の元へ一日でも早く帰る為に、
手段を選んではいられなかったのだ。


沢村が出所し、
その後、有田と大宮は、また脱獄を敢行。
しかし、今回もあと一歩の所で捕まってしまう。
今度は銃殺刑は免れないと覚悟した2人だが、
法務官が有田の大学時代の友人だった事から、
九死に一生を得、2人は軍隊に復帰する。


今度配属されたのは、
最低の軍曹が支配している部隊。
そこで2人は沢村と再会し、喜び合う。
また、男に追いかけられている慰安婦の珠子(小川真由美)を助け、
感謝された2人は、
珠子の部屋で遊ぶようになる。


しかし、珠子に惚れている軍曹が怒り、
また目を付けられる大宮。
さらに、沢村が持っていた翡翠をめぐり、
大事件が起こってしまう・・・。





シリーズ4作目。


もうこれで何度目か、というくらい、
脱走を繰り返す有田と大宮。


まさか実際の戦争で、
そんな事はなかったと思うが、
観る者は、その度に緊張したり、笑ったりして、
ワンパターンな感じはしない。


田中邦衛は、このころから田中邦衛だったのね(笑)。
あの喋り方とか、雰囲気は、
私が知っている田中邦衛そのまんま。


小川真由美も良かった。
カラっとした気性の慰安婦の役が、
彼女にピッタリハマっていて、
有田と大宮と3人で遊ぶ様子は、
辛い軍隊生活の、束の間の休息のようで、
ホッとする。


話は、いよいよ終戦に近付いてきており、
彼らのいる部隊は、ロシアから激しい攻撃を受ける。
この先、どうなるのだろう。


評価 ★★★☆☆

「安珍と清姫」 [映画]

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〔1960年/日本〕


紀州の里。
庄屋の娘、清姫(若尾文子)は闊達な性格で、
その日、馬に乗り、狩りをしていた。
ところが、彼女の放った矢が、
旅の修行僧、安珍(市川雷蔵)の腕に刺さってしまう。


清姫の家で治療する事になった安珍は、
仏に使える身として、
清姫に関心を示さない。
いつも男からチヤホヤされる事に慣れている清姫は、
自分が無視されたようで面白くなく、
なんとか安珍を誘惑しようとする。


安珍が露天風呂で傷を癒していると、
全裸で入ってくる清姫。
迫られた安珍は、
ふとした気の迷いから、彼女の誘いに乗り掛かるが、
その途端、清姫から嘲笑される。
「どんなに高潔そうな顔をしても、結局お前も普通の男」、と。


驚いた安珍は、恥ずかしさのあまり、
翌日、清姫の家を出る。
しかし、自分の行いを激しく後悔した清姫は、
自分こそが安珍を愛していたのだと気付き、
安珍の後を追い、
ついに2人は結ばれる。


しかし、清姫には、長者の息子、友綱との縁組の話が進んでいた。
もし清姫を嫁に貰えるなら、
自分の所の水門を開け、
里の農民に水を分けてもいいと言う友綱の申し出を知った安珍は、
農民の為に、身を引く事を決意。
道成寺に篭る。
それを追いかける清姫の体はいつしか大蛇となり、
安珍が隠れた釣り鐘に巻き付く・・・。





「道成寺」の伝説は、聞いた事があったが、
物語として観たのは初めてだ。
オチが、伝説の通りなのか、
映画らしく変えてあるのかは、よく分からない。


市川雷蔵演じる安珍の、
あまりの気の弱さが可笑しい。
彼は仏に仕える、身持ちの固い僧というより、
清姫の色気にオドオドしどおしの、
ただの純情な中学生みたいだ。
あまりにオドオドしているので、
挙動不審にさえ見える(笑)。


清姫から嘲笑された後も、
その後、結ばれた後も、
煩悩に苦しんで苦しんで苦しみ抜いて、それを断ち切れないという、
ほぼ泣きの演技に終始する。
物凄く女々しいの(笑)。


まぁ、初めて知った女が、
あのムチムチの若尾さんじゃ、
そりゃ、夢中にもなるだろうけどさ(笑)。


この映画は、別の意味でお宝らしい。
ほんの一瞬、
若尾さんのヌードが見られる。
他の映画のそういったシーンは吹き替えのようで、
本物(?)が見られるとても貴重な映像という事だ。
コマ送りして見る人もいると、何かで読んだ(笑)。


評価 ★★★☆☆