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「兵隊やくざ 大脱走」 [映画]

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〔1966年/日本〕


戦争も末期に近づき、
ソ連軍からの攻撃を待つばかりの部隊。
有田(田村高廣)と大宮貴三郎(勝新太郎)も、
玉砕覚悟の空気の中にいた。


そんなある日、
大宮は、集団からはぐれてしまった、
慰問団員の父娘(南都雄二・大楠道代)を保護する。
久し振りに女を見た兵隊たちは色めき、
大宮もその例外ではない。


狡猾な上官3人から、帰国の汽車に乗せてもらえる事を条件に、
慰安婦の真似事をしろと言われた娘は、
生きる為に、それを承諾する。
しかし、間一髪の所で偶然大宮が現れ、
大宮は3人を叩きのめす。


その後、大宮はリンチを受けるが、
有田の機転で助けられ、
大宮が父娘を駅まで護送し、無事汽車の乗せる。
しかし、戻ってみると、
隊は攻撃を受け、全滅。
有田も死んでしまったと思い込んだ大宮は号泣。
しかし、彼は何とか助かっていた。


2人は別の隊に潜り込むが、
どうせなら偉くなったほうがいいと、
将校に成り済まし、兵隊に命令する立場となる。
大宮は豪放なその性格から、
兵隊たちから人気が上がる。
しかし、兵隊の中に、
以前2人を苦しめた、憲兵の青柳(成田三樹夫)がいたのだ・・・。





シリーズ5作目。


一度は、「やくざ」だけになりかけたが、
また「兵隊やくざ」に戻った感じ(笑)。
やっぱり話は軍隊の中の方が面白い。


最初から笑わされる。
上官から遺書を書けと言われた兵隊たちは、
便箋に向かうが、
大宮は何もしようとしない。
彼が字が書けなかったのだ。
それに気付いた有田が代筆をしてやると言うと、
大宮は、女が多すぎて誰に宛てていいのか迷うと言う。
女好きの大宮らしい、でも憎めない場面。


後半、将校に化けた大宮が、
「東大卒」だと言い張る場面も可笑しい。
東大だというわりに、
大学の事を聞かれると何も答えられない。
質問は全て、有田が答えてやる始末。


南都雄二と大楠道代の父娘もいい。
上官からの理不尽な申し出を、
「娘は慰安婦ではない。それだけはご勘弁を」と断る父親。
親だったら、胸がつぶれそうな場面。
しかし、戦局も押し迫った空気の中、
大楠は「それも生き抜くため」と承諾する。
戦争の異常な雰囲気が物凄く伝わってくる。


後半は成田三樹夫が物語りの重要人物となってくる。
悪党だった彼が、
大宮とほのかな友情を感じ合う、
素晴らしい作り。
シリーズの中でも、面白い内容だと思う。


評価 ★★★★☆

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