SSブログ

「祇園の姉妹」 [映画]

gionnokyoudai.jpg
〔1936年/日本〕


大きな木綿問屋の主人・古沢は商売に行き詰まり店は倒産、
家財道具一切合財が、
今まさに競売にかけられている。


老妻は、「嫁に来た時は皆に羨ましがられたのに」と、
耳にタコが出来るくらい何度も言い、
泣きながら実家に帰る荷造りをしている。
何もかもどうでもよくなった古沢は、
家を出て、以前世話をしていた芸子、梅吉(梅村蓉子)の家に転がり込む。


梅吉は、同じく芸子の妹、おもちゃ(山田五十鈴)と二人暮らし。
心優しく、おっとりした梅吉に対して、
ドライでクールなおもちゃは、
姉が古沢を受け入れた事が我慢ならない。
「男なんて皆、芸子をもて遊ぶだけの敵や。
こちらが利用してやればいいんだ」、と息巻く。


そんなおもちゃは、出入りの呉服屋の丁稚、木村(深見泰三)に言い寄り、
高価な反物を巻き上げる。
しかし、呉服屋の主人にそれを気付かれ、
叱責される木村。
おもちゃは文句を言いに来た主人にまで言い寄り、その気にさせ、
旦那にしてしまう。
それを知った木村は激怒する。


また、おもちゃは邪魔な古沢を追い出そうと、
手を尽くす・・・。





騙したつもりが騙されて、
利用したつもりが利用され、
愛したつもりが、幻想で。


祇園という特殊な環境での男女関係は、
一般人には分からないものがあるし、
遊びには遊びのルールがあるのだろう。
あまり辛辣な事をすれば、
自分に返ってくるし、
尽くし過ぎてもダメ。
難しい駆け引きだよ。


そんな世界を、
シリアスながらも、
京都弁がコミカルな印象を与え、
面白く魅せる。
ラストは溜息が出るような、
胸が締め付けられるような終わり方。


本来は90分の映画だったそうだが、
現存するのは、69分の本作のみ。
20分のフィルムはどこに行ったのか。
大変に惜しい。


20年後の1956年にリメイクされていて、
そちらはちゃんと90分ある。
オリジナルが2人姉妹なのに対して、
リメイクは3姉妹。
末っ子を中村玉緒が、
呉服屋の丁稚を勝新太郎が演じていた。
(勝が惚れるのは次女の小野道子で、中村じゃないけど)
オリジナル、リメイク共に傑作。


評価 ★★★★☆

nice!(12)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画