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「楽園」 [映画]

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〔2019年/日本〕


長野県の農村で、
小学生の女の子・愛華が、忽然と姿を消す。
愛華と最後に一緒だった
友人の紡(杉咲花)は、
罪の意識に苛まれながら、大人になる。


同じ村で暮らす豪士(綾野剛)は、
外国から、難民認定を受けてやって来た青年。
母親と二人暮らしだが、
言葉を上手く話せず、
その表情は、常に暗い。


近くで暮らす善次郎(佐藤浩市)は、
亡くなった妻との思い出を大切に、
静かに暮らしていたが、
村の寄り合いで、
村おこしの提案をしたところ、
話がこじれ、
酷い村八分にされてしまう・・・。





試写会で観た。


吉田修一さんの5編の短編集「犯罪小説集」の中から、
2編を組み合わせて作られた映画だそうだ。


登場人物の誰もが、
生きづらさを抱え、
どうする事もできない閉塞感の中で生きている。


それから、やはり恐ろしいのが、
集団心理。
誰かが言い出す。


「あいつはおかしい」。
「人と違う」。
「変わってる」。


そうなると、もう駄目。
突然、
「大人のいじめ」のターゲットになり、
追い詰められてゆく。


こんな風にエラソーに書いている私だって、
じゃあ、そんな集団の中にいても、
一人だけ、「そんな事はやめようよ」と言えるのかと聞かれれば、
おそらく言えないだろう。
私はそんなに強くない。


それに、同じような事が、
今は、ネットでも起こってる。
ほんの些細なミスや、
下手したら、事実でない事まで、
叩きのターゲットにされてしまう。


上映後、
瀬々敬久監督と、
美術を担当された磯見俊裕さんの
トークショーと、
ティーチインがあった。

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監督が、
1980年代以降、
各年代ごとの犯罪の特徴を話され、
興味深く拝聴する。


ティーチインの際、
「愛華が失踪した時、
実は、紡は犯人を見ているのではないか」、という
質問があったのだけれど、
やはりそれは、現場でも話題になり、
監督も杉咲花さんと、話し合ったのだそうだ。
ただ、結論は、
観る人それぞれの解釈に任せます、という事でした。


それから、磯見さんが、
少女が失踪するY字路は、
元はゴミ集積所だったのを、
木を植えて、
雰囲気作りをしたと話されてビックリ。

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 ↑
元はこの場所が、


こんな風に。
 ↓
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やはり映画って、
多くの人の手がかかって、
作られているんだなぁと実感。


評価 ★★★☆☆

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