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「おいしい家族」 [映画]

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〔2019年/日本〕


銀座で美容部員をする橙花(松本穂香)は、
仕事は上手くいかず、夫とは別居中で、
人生に疲れ気味。
母の三回忌に休養も兼ねて、
実家がある島に帰る。


すると、そこにいたのは、
なぜか、母のワンピースを着ている父(板尾創路)。
さらに父は、
シングルファザーの和生(浜野謙太)と、
結婚すると言い、橙花は仰天する。


しかし、食卓を囲む、
弟・翠(笠松将)も、
弟の嫁でスリランカ人のサムザナも、
和生の娘でJKのダリア(モトーラ世理奈)も、
何も違和感を感じていないようで、
動揺しているのは、自分だけという状況に、
橙花はイラつくが・・・。





実家に帰ったら、
父親が母親になっていた。
しかも、子持ちの男と結婚すると言う。


そんな状況に仰天する主人公。


奇しくも、私は、最近した、
友人たちとの会話を思い出していた。


友人(A男とB子)と私の3人でお食事をしている時、
何かの話の流れで、
「もし自分の父親から、ゲイだと告白されたらどうする?」という
会話になったのだ。


B子は、
「受け入れる。お父さんの事、好きだし」と言ったけれど、
A男は、
「絶対に嫌だ。考えられない」と言っていた。


私は、2人のお父さんをどちらも知っているので、
どちらの言いたい事も、すごくよく分かった。
やっぱり、そのような状況になった時の
子供の心情は、
元々の父親のキャラクターと、
あとは、今までの関係性で決まるのではないでしょうか。


ただ、この映画の父親は、
特にゲイという感じはせず、
再婚したい、というより、
家族を作りたい、という印象だった。


面白いのは、
父親が、
家の中だけでなく、
勤務先の小学校にも、
女装して行ってしまう事と、
それを、全く、何事もないかのように受け入れている、
島の人々。


なんとなく、一般的には、
そういった事を、
都会 → 受け入れる
地方 → 受け入れ難い

みたいな図式がある気がするんだけど、
それが逆で。


都会で暮らしながらも、
色々な常識に囚われすぎている割に、
何も上手くいっていない主人公より、
自由な発想で生きている故郷の人々の方が、
よほど生き生きとしているというのが、
ユートピアみたいで、いいなぁ、って。


海、特に、入江の風景が素晴らしく、
不思議にホッとできる映画だった。


評価 ★★★☆☆

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