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「人生をしまう時間(とき)」 [映画]

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〔2019年/日本〕


試写会で観た。


NHK BS1スペシャル、
「在宅死 死に際の医療 200日の記録」に
新たなシーンを加え、
再編集した映画なのだそうだ。


私はテレビの方は見ていないので、
真っ新な気持ちで観る。


埼玉県新座市の「堀ノ内病院」の
医師・小堀鷗一郎さんは、
80歳ながら、
在宅で介護をされている患者さんの各家を
奔走している。


同じ医療チームの、56歳の医師・堀越洋一さんの診察も、
とても丁寧。


別に映画を観たから言うわけではないけれど、
この二人の先生が素晴らしく、
私の身近にいてくれたらいいのになぁ、と本気で思う。
すごく頼りになる。


最近は、こういった、
高齢者の介護や死を扱う、
ドキュメンタリー映画がとても増えていると
実感しているけれど、
それにしても、本作は、
ちょっと衝撃だ。


まず、本物の遺体が何度も出てくる。
在宅医療を選んだ患者さんたちを、
家族が介護し、
そして、最期を迎えるわけだけど、
その死に顔が
当たり前のように映し出される。


それから、今、まさに死にゆくお爺さんの、
カウントダウンともいえるような、
場面もある。


お爺さんの心臓が、ほぼ止まりかけ、
全盲の娘さんが、
首に指を当て、
「まだ息はしている」と言う。
その間隔が次第に空いてゆき、
ついに、「あ・・・止まった・・・」と。


私はまだ、
いわゆる、「死に目にあう」という経験は
した事がないのだけれど、
これは凄い場面だ。
誰もが体験できるわけではない事を、
スクリーンを通して、体験したような気持ちになる。


介護されるのは、高齢者だけとは限らない。


51歳の、末期の子宮頸がんの女性を、
70代の母親が介護する。
人の死は、
必ずしも順番通りではないのだと、
悲しい現実を突きつけられる思い。


変な言い方かもしれないけど、
「自分はどんな風に死ぬのかなぁ」と、
考えずにはいられないような内容。


やっぱり、NHKだけあって、
撮影も編集も、上手い。


評価 ★★★☆☆

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