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「土佐の一本釣り」 [映画]

tosanoipponduri.jpg
〔1980年/日本〕


高知県の漁村で暮らす順平(加藤純平)は、
中学を出るとすぐ、
カツオ船の船員になり、
今は見習い中。


船からおりた漁師たちの楽しみは、
酒と女。
先輩たちから、
酒を飲まされた純平は、
その後、女をあてがわれる。


純平には恋人がいる。
2つ年上の高校3年生・八千代(田中好子)。
水商売の女と交わる事はあっても、
素人女は生涯八千代だけ。
それだけは固く心に決めている。


しかし、ある時、
純平が、女と浜にいたのを見た八千代が、
2人の関係を誤解し・・・。





一人高知県映画祭4本目。


高知といえば、鰹。
私も、旅行中、鰹のお刺身食べました。
2月なので、シーズンではなかったけれど、
とても美味しかった。


そんな鰹の味を思い出しながら
観た本作だけれど、
タイトルが「一本釣り」という割に、
鰹釣りの場面は、
最初と最後だけ(笑)。


あとは、主人公の純平が、
いかにして、スーちゃんをどうにかするか(笑)、というのと、
喧嘩の話が殆ど。


原作は11年も連載が続いた漫画という事なので、
もっと深い物語があるんでしょうけれど、
それを90分の映画にしたのだから、
色々端折られてしまうのは、
仕方ないのかもしれない。


調べてみると、スーちゃん、
キャンディーズの解散から復帰して、
最初に出た映画がこれなのね。
24歳のスーちゃんが高校生。
ちょっと厳しかったけど、
可愛いから、ま、いっか(笑)。


昨日の「南国土佐を後にして」もそうだったけど、
高知の男って、
どうしてこうも、一途なの?(笑)


純平君も、昨日の小林旭さん同様、
絶対、据え膳食わない。
どんなに女から迫られても、振り払う。
その意志の強さが、
土佐の男って事なんでしょうか。
なんて素晴らしい。


純平が、
先輩漁師がヤクザに連れていかれたと
勘違いして、
乗り込んでいく場面が中々面白かった。


その時の、
ヤクザの親分役が成田三樹夫さん。
他にも、
加藤武さん、宍戸錠さん、蟹江敬三さん、
樹木希林さん、岡本信人さん、阿藤快さんなどなど、
名優すぎる皆さんが多数出演していて、
登場する度に、「あ!」と思ってしまう。


それから、この映画の続編が
2016年に公開されていたというのも知らなかった。
レンタル店にあるようなので、
そのうち観てみるつもり。


評価 ★★★☆☆

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「南国土佐を後にして」 [映画]

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〔1958年/日本〕


ムショから出てきた原田譲司(小林旭)は、
服役中、慰問に来ていたペギー葉山が歌った、
「南国土佐を後にして」を聞き、
心を入れ替え、
心機一転出直すために、
故郷の高知に帰る。


高知では、母が待っていたが、
恋人の春江(浅丘ルリ子)は、
春江の父の借金のカタに、
ヤクザと結婚させられそうになっていた。


早く仕事を見つけ、
春江を助けなければ、と就職した譲司だが、
前科がバレ、クビになってしまう。


高知で仕事をするのは無理だと悟った譲司は、
東京に戻り、
就職活動に奔走する。


しかし、東京には、
譲司をもう一度ヤクザに引き戻したい
親分・会津(二本柳寛)がおり、
決まった就職をことごとく潰してゆく・・・。





一人高知県映画祭3本目。


ペギー葉山さんのヒット曲、
「南国土佐を後にして」をテーマに、
堅気になりたいと苦悩する青年を
小林旭さんが好演。


この映画の小林さん、
本当にカッコいい。
今まで見た小林さんの映画で、
私は一番好き。


「渡り鳥」みたいな無国籍映画より、
現実にありそうな話を
普通に演じる小林さんがリアルで
感情移入もしやすい。


小林さんは、
高知に残してきた恋人・春江を深く愛しているんだけど、


兄の昔の恋人の妹から、
めちゃくちゃアプローチされる。
「あなたに恋人がいてもいいの。私を抱いて」
てなもんである(笑)。


でも、
絶対に絶対に相手にしない。
どんなに迫られても、
「やめてくれ」と拒否。


すごいわぁ。
据え膳食わないのよ。
女が食ってもいいと言っているのに、
口も開けないのよ。
男の恥と言われても、
気にしないのよ。


私は映画の中で、
男が据え膳食ったって、
別にどうって事もなく観ている方だけれど、
この映画に限っては、
小林さんのストイックさに感動しちゃって(笑)。


小林さんと浅丘さんが
ひしと抱き合う場面が何度もある。


このお二人、
1960年頃、映画をきっかけに同棲を始めたと
書かれているけど、
つまりはこの映画の頃は既に、
恋人同士だったと考えていいのかしら。


どうりで息もピッタリだと思ったわ(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「0.5ミリ」 [映画]

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〔2013年/日本〕


天涯孤独の介護ヘルパー・山岸サワ(安藤サクラ)は、
派遣先の主婦から、
お爺さんの冥途の土産に、
一夜を共にしてやってくれと頼まれ、
承諾する。


ところが、その事が引き金となり、
とんでもない事故が発生、
サワは仕事を失ってしまう。


街を彷徨っていたサワは、
カラオケボックスの受付で、
モタモタしている老人を見つけ、
強引にオールに引き込む。


また、駐輪場の自転車をパンクさせては、
憂さを晴らしている、孤独な老人・茂(坂田利夫)を見つけると、
それをネタに、
強引に茂の家で暮らし始める。


茂と別れたあと、
今度は、書店でエロ写真集を万引きした、
義男(津川雅彦)を見つけ、
これまた、それをネタに、
義男の家に入り込み・・・。





一人高知県映画祭2本目。


監督は、安藤桃子さん、
主演は、安藤サクラさんという、
姉妹コンビ。


全編、高知県で撮影がされ、
この映画がきっかけになって、
桃子さんは、高知県への移住を決めたという。


映画がきっかけで、
住み慣れない土地に引っ越すってすごいな、
と思わなくもないけれど、
それだけ高知が魅力的な場所なのだと、
それはちょっと旅行しただけの私でも、何となく分かる。


映画は、といえば、


これはもう、安藤サクラさんに尽きる、というくらい、
サクラさんは凄い。


本当にいいね、この人は。
先日は、「百円の恋」を観たばかり。
どんな映画を観ても、
その存在感には圧倒される。


いわゆる、「美人女優」扱いでなく、
いい意味でふてぶてしく、
線が太い。
そして、ご自身が、
そんな自分を一番よく知っていらして、
それが演技に生かされているように思う。


この映画でも、
冒頭からびっくりだ。


介護ヘルパーのサクラさんは、
お爺ちゃんとベッド(布団?)を共にしてやってほしいと
言われるも、断らない。
他の女優さんだったら、
生々しくなってしまうところであろうが、
簡単にOKするサクラさんに、
「らしい」とさえ思ってしまう(笑)。


その後、
様々な爺さんの家に、
半ば脅しのような形で入り込み、
いつもまにか、
爺さんの心を掴んでしまうサクラさん。
(あくまでも、心だけ(笑))


なかなか面白かったけど、
ただ、これ、
観ている方は、
サクラさん側から、ものを考えているから、
サクラさんに肩入れしてしまうけど、
爺さんの家族にしたら、
怖いかも。


例えば、父親が一人で暮らす実家に、久し振りに帰ったら、
知らない女が、
愛人でもなく、雇われヘルパーでもなく、
ただなんとなく、家に住み着いていたなんて
事になってたら、どうします?(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「四万十川」 [映画]

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〔1991年/日本〕


四万十川の川岸で、
小さな食料品店を営む山本家。
主の秀男(小林薫)は出稼ぎに行っており、
店は妻のスエ(樋口可南子)が
切り盛りしている。


ある日、秀男が出稼ぎ先で、
大怪我をしたと連絡が入る。
そのせいで、
中学三年生の長女・朝子は、
決まっていた就職を断り、
家事と、4人の弟妹たちの面倒をみるため、
家に残る事になった。


次男の篤義は小学三年生。
心は優しいが、
気が弱いせいで、
クラスメイトの千代子がいじめられているのを
庇う事ができず、
そんな自分を嫌悪している。


秀男の足が良くなり、
入院先から戻ってきたのを機に、
朝子が就職のため、家を出た。


篤義は、朝子が大好きなのに、
数日前、喧嘩をしたせいで、
意地を張って見送りに行かず・・・。





先月の高知旅行が
とても楽しく、
いい思い出になったので、
この機会に
高知を舞台にした映画を観てみようと思い、
何本か借りてきた。


最初の1本は、この「四万十川」。
あの清流を目の当たりにし、
美しさに感動したので、
 ↓
http://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2018-02-16
映画で、
川の流域で暮らす人々がどのように描かれているのか、
とても楽しみだった。


ただ、観終わった感想は、といえば、
うーん・・・って感じかなぁ。


何しろ、楽しい事が何も起こらない。
これではまるで、
「四万十川の流域に住んでいる人は、
これだけ大変なんですよ、
いい事なんて一つもないんですよ」
と言っているみたいだ。


主人公は、山本家の次男・篤義といっていいのだけれど、


学校では、理不尽ないじめが横行し、
教師は、
弱い者の説明を全く聞こうとせず、
殴ったりする。


いじめられていた千代子は転校し、
仲の良かった太一も転校し、
大好きだった姉も家を出る。
篤義の大切な人は、
なぜか、皆いなくなる。


出稼ぎに行った父親は怪我をし、
臨時雇いだからと、補償金も出ず、


挙句の果てに、
台風がやって来て、
家はつぶれ、
今後、どうしようか、って。
一体どんだけ災難がやって来るんだ。


私は綺麗事は嫌いだけど、
もう少し、ホッとできるエピソードがあったらなぁと
ちょっと残念。
これでは、篤義の成長物語という感じさえしない。


四万十川の映像には満足。
27年前の映画だというのに、
川の色も、水量も、
周囲の風景も、
私が見たのと、まるで変っていない事に驚く。
勝手な言い分かもしれないけど、
ああいった自然は、
永遠にそのままの形で残っていてほしいなぁ。


評価 ★★★☆☆

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「闇を裂く一発」 [映画]

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〔1968年/日本〕


オリンピックの射撃競技出場を控えた警察官、
本多修一(峰岸徹)ら若い3人が、
本庁に呼び出された。


子供を人質に、逃走している
凶悪犯・手塚(佐藤允)を追って、
見つけ次第、
最悪の場合、射殺してもいいと言うのだ。


本多たちは、
それぞれ、ベテラン刑事と2人1組となり、
手塚を追う事になった。


本多は、江森刑事(露口茂)と共に、
手塚の郷里・三崎に赴く。


江森の捜査方法に、
最初は反発していた本多だったが、
次第に、彼の仕事に対する姿勢に
共感を覚え・・・。





1968年の映画ではあるが、
70年代の刑事物の雰囲気があって、
面白い。


それは、特に、
露口茂さんが、
ベテラン刑事を演じているというのが
大きい気がする。


露口さんというと、
なぜ、「太陽にほえろ」のイメージが、
特別強いのだろう。
あれだけ沢山の俳優さんが、
あのドラマで刑事を演じていたのに、
露口さんを見ると、
「あ、太陽にほえろだ」と思ってしまう。
(他の人は、思わない)
それは私だけなんだろうか。


ただ、この映画での露口さんは、
「太陽にほえろ」のイメージより、
もう少し融通が利かないというか、
ちょっとヒネている。


そして、
「刑事の勘」云々と、
ベテランらしい事を言うには言うんだけど、
それが外れてしまうんだな。
刑事の勘って、
映画やドラマで、
何度聞いたか分からないくらい
聞いているけれど、
外れた場面って、あまり観た事がない気がして、
なんだか珍しくて。


さらに、露口さん流の、
拳銃を持った犯人に対する
説得方法があるんだけど、
それも失敗しちゃってるし。
まぁ、主役は峰岸徹さんだから、
仕方ないけど。


その峰岸さん、
射撃の名手なのだけれど、
犯人を見つけたのに、
拳銃を撃つのをためらって、
逃げられてしまう場面がある。


その理由というのが、
「ここで人を殺してしまったら、
 オリンピックに出られなくなるかもしれないと
 頭をよぎって」と。


偶然とはいえ、
終わったばかりの、
平昌オリンピックが頭の中でかぶって、
面白かった。


ここで峰岸さんが言うオリンピックとは、
メキシコ大会との事。
確かに調べてみると、
1968年のオリンピックは
メキシコで開催されている。


いつの時代も、4年に一度の大会に賭ける
アスリートの気持ちは、
同じだったんだなぁと思ったりもして。


評価 ★★★★☆

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