SSブログ

「戦いすんで日が暮れて」 [映画]

tatakaisundehigakurete.jpg
〔1970年/日本〕


子供向け漫画家の佐倉秋子(岡田茉莉子)は、
人気も上昇、
連載が決まるなど、
勢いに乗っている。


けれど、画家の夫・哲(川崎敬三)の絵は売れず、
生活は秋子の腕にかかっている。


そんなある日、
哲は、ある美術出版社から、
社長になってほしいと頼まれる。


普段の自分の不甲斐なさを情けなく思っていた哲は、
その話に飛びつくが、
すぐに会社は倒産。
莫大な借金を背負ってしまう・・・。





佐藤愛子さんが直木賞を受賞された同名小説の
映画化なのだけれど、
正直、友人からこのソフトをお借りするまで、
このような映画がある事を知らずいたのでに驚いた。


佐藤愛子さんの事は大好きで、
小説やエッセイは
沢山読んでいる方だと思うし、
もちろん、この「戦いすんで日が暮れて」も読んでいるけれど、
なぜか、佐藤さんの作品と映画を結び付けて考える事は
今まで一度もなかったから。


これを機会に調べてみると、
あれだけ著書のある佐藤さんの小説で、
映画化されたのは、2本だけ。


おそらく、佐藤さんの小説は、
映画にしにくいのではないかと想像する。
どうしても映像化するのなら、
きっと映画よりドラマの方が向いている。


佐藤さんのファンのかたなら、
誰もが知っている話だけれど、
お若い頃の佐藤さんは、
世間知らずでお人好しの夫が作った
莫大な借金のせいで、
押しかけて来る債権者の対応に追われ、
壮絶な日々を送られていた時期がある。


その体験を小説にしたのが、
「戦いすんで日が暮れて」で、
それをさらに映画化したのが本作だ。


佐藤さんは「怒りの佐藤」というくらい、
いつも怒っておられるイメージだし、
ご自身も、
「怒りが自分を突き動かす」言っておられるくらいだけれど、


演じる岡田茉莉子さんがたおやかで、
それほど怒っているように見えないので、
莫大な借金を背負ったというほどの
悲壮感もなく、話は進む。


川崎敬三さんは、
気の弱い夫役がピッタリ。
お若い頃より、
アゴの辺りが、大分二重になっているけれど、
イケメンなのは
相変わらず。


ラストはハッピーエンド。
小説とは違うけど、
映画の雰囲気からして、
そこに着地しないと、
逆におかしいからであろう。


現在94歳の佐藤さん。
2016年に出版された、
「九十歳。何がめでたい」は
いまだに売れに売れているというし、
図書館も予約の順番は中々回ってきそうにもない。


凄い事だ。
佐藤さん、いつまでもお元気で、
私を、そして世の中を
ずっと叱っていてほしいなぁ。


評価 ★★★☆☆

nice!(55)  コメント(4) 
共通テーマ:映画