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「ジャコメッティ 最後の肖像」 [映画]

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〔2017年/イギリス〕


1964年、パリ。
スイス出身の芸術家・アルベルト・ジャコメッティ(ジェフリー・ラッシュ)は、
アメリカ人の美術評論家・ロード(アーミー・ハマー)に、
「絵のモデルになってほしい」と声を掛ける。


巨匠からの申し出に、
喜びと興味を覚えたロードは、
「2日間なら」と、
ジャコメッティのアトリエに行く。


しかし、ジャコメッティは、
ロードが考えていたよりずっと、
性格破綻者で、
しかも、スランプに陥ってるらしい。


さらに、ジャコメッティの妻と、愛人で娼婦のカロリーヌとの関係に
巻き込まれ、
絵は、とても2日間で終わりそうもなく・・・。





試写会で観た。


映画の前に、芸術家繋がりという事で、
片岡鶴太郎さんが
ゲストとして登壇された。

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片岡さんといえば、
最近は、タレント活動や芸術活動より、
ヨガで大きな話題になったばかり。


そのお姿を肉眼で確認した感想は、といえば、
たしかに、細い。
いや、「細い」「痩せている」、というより、
無駄が全く無い、というのが近い。
必要最低限のものだけで、
生きておられるという感じがする。


当然、トークもヨガの話となる。
その日は、深夜1時に起床し
(ご本人にとっては、それが朝なのだそうだ)
フルーツを中心としたお食事に2時間、
ヨガを4時間、
そして、水のシャワーで、
体を引き締めてから、
会場に来られたという。


なぜそこまでストイックな生活を?と思うけど、
それがご本人にとってベストなら、
他人がとやかく言う事ではないし。


でも、どんなに立派なヨギーになっても、
基本は、お笑い芸人の鶴ちゃん。
そのトークは冴えわたり、
岡本太郎さんや、ひふみんさんや、松居一代さんの
物真似をなさったり、
こちらは笑いっぱなし。


・・・って、映画の感想を書くつもりが、
片岡さんの事で原稿用紙が終わってしまう(笑)。


映画は、
アーミー・ハマー扮する美術評論家・ロードの目を通した、
芸術家ジャコメッティの真実に迫る物語。


ジャコメッティという人が、
破綻していると言われているようだけれど、
それは「子供のようだ」と言い換える事もできる気がする。


愛人・カロリーヌが姿を消した時の
荒れようなど、
可愛いとさえ思えちゃって(笑)。


ジャコメッティが、ロードをモデルに
絵を描いても、
気に入らずに、すぐ塗りつぶしてしまい、
ロードは、アメリカに帰りたくても帰れない。


そこでロードは一計を案じるのだけれど、
その方法というのも、
まるで子供騙し(笑)。
でもジャコメッティは乗せられる。
笑えるくらい無垢な人なんだなぁと思わされる場面。


評価 ★★★☆☆

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『堀兼の井』の伝説 [できごと]

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新宿区の市谷船河原町にある、
小さな小さな築土神社。
この神社の前に、
「堀兼の井」という、
ここの伝説が書かれているプレートが掲げられています。


ここをたまにお散歩して、
このプレートに書かれている文章を読む度に、
私は、何とも言えない気持ちになるのです。


なぜなら、
その内容というのが(笑)。
いえ、笑ってはいけません、
笑ってはいけないのですが。


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私は、
子供には綺麗なものばかり見せるよりも、
多少、世の中の不条理を教えた方がいいのではないかと
思う方ですし、
伝説やおとぎ話が、本当は残酷な事も知ってはいるのですが、


それにしても(笑)。


子供を連れたお母さんが、
「なんて書いてあるの?」と聞かれて、
これを読み聞かせていたはいいけれど、
最後のくだりで絶句している姿まで、
目に浮かぶようです(笑)。


しかも、最後に、
「東京都新宿区教育委員会」。
やっぱり、新宿、好きです(笑)。

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「ブライト」 [映画]

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〔2017年/アメリカ〕


昨日、
Netflix配信の映画「ブライト」の試写会があったのですが、
なんとなんと上映前に、
ウィル・スミス他、出演者さんたちの
舞台挨拶がありました。


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試写状が届いたとき、
めっちゃビックリして、
テンションが上がり、
その日が、楽しみで楽しみで。


昨日は、ちょうど会社が休みだったので、
どうせなら、と、
朝9時に、事前に座席券の引き換えに。

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すると座席はB列!
A列は空席ですので、
最前列ではありませんか。
嬉しくて、一緒に行く友人に、
このチケットの写真を送信しちゃいました(笑)。


で、夜。
時間になり、席に着いて、
ワクワクしながら待っていると、
おぉぉぉぉぉ!
ウィル・スミス様が登場!

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背が高くて、
ピンとしていて、
カッコいい!
今のアメリカの黒人俳優さんで
おそらくはナンバー3に入る
活躍ではないでしょうか。


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物凄くサービス精神旺盛な方で、
マイクを持って、
ジョークを連発。
さらに、まるで司会者のように、
自分で、
他の出演者の皆様に質問したりと、
大盛り上がり!


今回、写真がOKでしたので、
何枚か撮らせていただきました。





映画は、
架空の都市の物語。


上流階級の、エルフ、
中流階級の、人間、
下流階級の、オークの
3段階に分けられる世界。


近未来や、別世界にしても、
人々が皆、平等で平和、という設定には、
ならないのはいつもの事。


そんな世界で、
ウィル・スミスが演じるのは刑事。


ところで、相変わらずここで議論になるのが、
Netflixは映画か否か、という問題。


私は、「映画」と名が付くからには、
一度は劇場にかかったものを
そう呼びたいと思うのですが、
その考え方は人それぞれ。


でも、今回のように、
この作品が、Netflix配信だとしても、
「私自身は」劇場で観たのだから、
「映画を1本観た」という事で、
カウントしようと思っていますが。


評価 ★★☆☆☆

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「總会屋錦城 勝負師とその娘」 [映画]

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〔1959年/日本〕


私生児だった内藤錦城(志村喬)は、
10歳で里子に出され、
辛い幼少期を過ごしたおかげで、
強い反骨精神を身に付けた。


大人になった彼は、
大企業の運命を自在に操る、
「総会屋」の大物として
知られるようになる。


そんなある日、
錦城の一人娘・美和子(叶順子)が、
幼い息子を連れて、
婚家から帰って来る。


一時的な里帰りだと思っていた錦城だが、
美和子はもう二度と帰らないと、
妻に話したらしい。
どうやら、婚家で、
「総会屋の娘」と言われ、
辛い目に遭っていたというのだが・・・。





なんだか難しそうなタイトルだなぁ、
観ても意味分かるかなぁと、
ちょっと不安だったけど、
先日の「夢でありたい」と連続して上映されていたので、
チケットを買ってしまった(笑)。


そもそも、「総会屋」というのが、
一体何をする人の事をいうのかが、
私にはよく分からない。


株主総会で暴れる人?
というイメージは何となくあるけど、
総会屋ってのが、
そもそも職業なのか、
それとも副業なのか、
誰から報酬を得ているのか、
株主総会で暴れる事で、
誰が、どのように得をするのか・・・


もう、全部、さっぱり分からない。


でも、いつもの事だけど、
私は、そのような事より、
小さな、ちまちました事の方が気にかかる。
この映画の場合、
「総会屋」より、「その娘」の方に、どんな物語があるのだろうと。


で、その、「その娘」の方の物語は面白かった。
父親が総会屋と言う理由で、
婚家でいじめられ、
飛び出してくる娘を演じる、叶順子さん。


強面の総会屋は、
娘には、「婚家へ帰れ」と厳しいけれど、
孫には弱いようで、
志村喬さんは、
叶さんの、3歳ほどの息子の言いなり(笑)。
志村さんと孫が、
2人並んでラジオ体操をする場面があるのだけれど、
これが秀逸。
子供の動きがめっちゃ可愛い。


川崎敬三さんの名前が載っていたので、
楽しみにしていたのだけれど、
彼は、叶さんの恋人役で、
出番は、ほんの1~2分。
古い映画にはよくある、
いつもの事だけど、
騙された気分(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「夢でありたい」 [映画]

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〔1962年/日本〕


貴金属店で働く園子(山本富士子)は、
新婚だというのに、夫・清見(渡辺文雄)の存在に
苦しんでいた。
清見は、横暴で自分勝手で野卑、
園子は、
この結婚は失敗だったと思い始めている。


そんなある日、
店に買い物に来た素村(田宮二郎)に惹かれた園子は、
その後、彼と親しく話をするようになる。


清見が、園子の腹違いの妹・競子(江波杏子)と、
ホテルに出入りしていると知った彼女は、
ついに離婚を決意し、家を出る。


しかし、清見は、
離婚に応じず、
「別れるなら、お前を殺す」と言い、
さらには、園子と素村の仲を邪推し、
酔って、素村のアパートにやって来たりする。


また競子は、
今度は素村を誘惑しようと、
彼の出張先に付いてゆき・・・。





観ていて、鬱になりそう。
山本富士子さん演じる、
主人公の園子が可哀想すぎる。


何でこんなに意地悪な人ばかりなの。
出てくる人、出てくる人、みんなが、
彼女に嫌味を言ったり、
変な噂を流したり、
言わなくていい事を告げ口したり。


そして二言目には、
「美人はいいわね」だと。
確かに山本さんは美しい。
今まで私は、美しい人を見ると、
それだけで羨ましく思ってきたけど、
綺麗なら綺麗で、
色々ご苦労があるものなんだなぁと知る(笑)。


登場人物で最悪なのは、夫の清見。
私が今まで、映画を観ていて、
夫役の人に殺意を覚えたのは、
「妻は告白する」の小沢栄太郎さんがナンバーワンだったけど、
この、清見も同じくらい殺意を覚えたわ。
演じている渡辺文雄さんも、
こんな役、嫌だったのではないかと、
勝手に想像する。


それから、妹の競子も、
困った女で。
彼女は、園子が持っているものは、
全て奪わずにはいられないと言う。
なので、清見と一線を越えたと思えば、
今度は、素村を自分のものにしようと必死。


普通なら、そんな妹に厳しく注意するのは
母親の役目なんだろうけど、
その母は、父の再婚相手で、
園子の実母ではない。


つまり園子には、
頼れる人が誰もいない。
父親はいるにはいるが、あまり頼りになりそうではない。
観ていて、本当に辛い。


ただ、それでも、
ラスト、希望の光が見えるのが救い。


評価 ★★★☆☆

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