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「ポセイドン・アドベンチャー2」 [映画]

poseidonadventure2.jpg
〔1979年/アメリカ〕


転覆したポセイドン号の近くを
偶然通りかかった小型船・サルベージ号。
船長・マイク・ターナー(マイケル・ケイン)は、
ポセイドン号に残っていると思われる、
金や宝石をいただこうと考える。


仲間のウィルバー(カール・マルデン)と、
セレステ(サリー・フィールド)と共に、
船内に入ろうとすると、
別の船がやってくる。


乗っていたのは、
数人の男たち。
リーダーはスベボ(テリー・サバラス)。
彼らは医療チームで、
まだ残っているかもしれない生存者を探すのが任務だと言う。


しかし、スベボの目的は他にあった。
彼は、ポセイドン号に積まれている、
プルトニウムを持ち出すつもりなのだ・・・。





いやー、酷い言われようだわ。
ネット上での、
「ポセイドン・アドベンチャー2」の感想が。


確かに、なぜ「2」を作ろうと考えたのか、
それが不思議。
「1」が当たったから、
続編も受けると思ったのだろうか。


これって、最近(でもないけど)でいえば、
「タイタニック」の「2」を作っちゃったようなもの?(笑)。
そういえば、
「タイタニック」が大ヒットしていたあの頃、
続編の噂があったっけ。


「これが2の粗筋だ」というものが、様々ネットにアップされて、
でも、どれもこれもが、
まっっっっったく面白くなくて、
「やめてくれー」と思ったのを思い出す。


良かった、噂が本当じゃなくて。
っていうか、まさかこの先も作ったりしないよね?
っていうか、リメイクも、リブートもやめてほしい。
あれは、ストーリーと、プリオの美しさが、
パーフェクトにマッチしたから、作り得た大傑作。
二度と同じものは作れまい。


・・・って、「タイタニック」の話になっとるがな(笑)。


この「ポセイドン・アドベンチャー2」、
私が考えるダメな所は、
お宝を探しに、船に入ったマイケル・ケインが、
結局船に閉じ込められて、
「1」と全く同じ脱出劇になっちゃってる事。


それだったら、
お宝探しをメインにした方が、
面白かったのでは?


それから、
作品の出来不出来に関係なく、
「1」と「2」の両方共で感じた事を1つ。


出演者の中に、
たった一人も、
黒人が出てこない。
さらに言うなら、東洋人も出てこない。


白人オンリー。
白人天国。


現在のハリウッドでは、
白人以外の人種も出さなければ駄目だという
決まりがあると聞いた事があるけれど、
70年代のこの頃は、
そんな発想さえなかったようだ。


いや、別に咎めているわけではなく、
そういった所にも、
社会の考え方とか、
在り方が反映されて面白いな、と思って。


評価 ★★★☆☆

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「ポセイドン・アドベンチャー」 [映画]

poseidonadventure.jpg
〔1972年/アメリカ〕


大晦日。
豪華客船・ポセイドン号は、
ギリシャに向かい、ニューヨークを出港した。


船が地中海に入った時、
大きな地震が起こり、
津波が発生、
波に飲み込まれたポセイドン号は転覆し、
完全に逆さまになってしまう。


生存者の一人で、牧師のフランク・スコット(ジーン・ハックマン)は、
船底(今は海面に一番近い場所)に上がり、
そこで救助を待つのがベストな選択だと言い、
9人のが彼に従い、
移動を始めた。


様々な困難が10人に襲い掛かる。
彼らは無事に救出されるのか・・・。





「ポセイドン・アドベンチャー」は、
「タワーリング・インフェルノ」と並ぶ、
70年代のパニック映画の王道として、
多くの方が観ておられるだろうし、
私も、昔、テレビで観た。


先日、友人が、
この「ポセイドン・アドベンチャー」を観て、
「とても面白かった」とメールをくれたので、
私も久し振りに観たくなり、
ソフトを借りてきた。


確かに面白い。
大型客船が、上下逆さまになるという、
信じられない状況の中、
10人の老若男女が、
何とかして救助されるようにと、
上へ上へと進んでゆくわけだけど、


このような極限状態でなくても、
人が10人集まればこうなる、といったような、
日常の人間関係の縮図が描かれる。


リーダーになる人、
リーダーに従う人、
何もできないくせに、文句だけ一人前の人、
集団の足を引っ張る人、
思いがけない能力を発揮する人、
そして、その他大勢・・・。


自分はこの中では、
まぁ、その他大勢であろうが(笑)、
ただ、絶対気を付けようと思ったのは、


「足がすくんで動けない」とか、
「腰が抜けた」とか、
そんな理由でパニックにだけはならないようにしよう、って事。


私には判断力がないのだから、
せめて人様の足手まといにだけは
ならないようにしなくてはって。


一番好きなキャラは、
めっちゃ太った、中年女性。
彼女は、自分が太っている事を気にして、
狭い場所を通り抜ける時など、
「無理」というのだけれど、
それでも、励まされて何とか進んでゆく。


そんな彼女が、ある状況になった時、
大変な活躍を見せる。
彼女がいなかったら、
全員死んでいた、と言えるくらい重要な。
すごく立派だった。
中年だから、とか、
太ってるから、とか、
そんな理由だけで、人を判断してはいけない。


ジーン・ハックマンも、
ラストまで男らしかった。
パニック映画だけど、
人間もきちんと描かれているからこそ、
今の時代も、評価されているんだろうなと、
観ていて思う。


評価 ★★★★☆

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「散弾銃(ショットガン)の男」 [映画]

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〔1961年/日本〕


ある山に、
散弾銃を手に入ってゆく男・渡良次(二谷英明)。
途中で、ならず者たちに入山を邪魔されるが、
良次に敵う者はいない。


頂上近くに着くと、
そこには村があり、
西岡という男が、製材所を営み、
流れ者を多数雇っていた。


その流れ者たちのせいで、
村が荒れてしまったため、
村人たちは自警団を作り、
私設保安官を、奥村(高原駿雄)が務めている。


良次は、
西岡の情婦・春江(南田洋子)が経営するバーで、
洋子から見せられた真珠のネックレスに
顔色を変える。
それは、かつて良次が、
婚約者にプレゼントしたものだった・・・。





男A 「もう一度、自警団を村の若者から募ったらどうだろう」
男B 「それがいないから、困ってるんじゃないか。
    まぁ、打ち身にはサロンパスが一番だけどよ」


・・・この会話、どう思います?
(って、誰に話し掛けてるんだか(笑))


というのも、自宅でぼんやり、
この映画を観ていたら、
会話の流れで、いきなりこのセリフが
耳に入ってきたから。
男Bを演じているのは、佐野浅夫さん。


「え?」と思い、
聞き間違えたのかと思って、
戻して、確認したけど、
間違いなく言っているし、
佐野さんは手に、
サロンパスの箱を持っている。


今まで、色々な映画で、
「これって、ステマ?」と思われる場面を見てきたし、
それは昔の映画に限らず、
現代でも沢山ある。


それに、それが悪いとも思わない。
スポンサーがお金を出してくれて、
映画が作られ、
それを観て、感動させていただいているのだから、
多少の事は、仕方がない。


しっかし、ここまであからさまなのは
初めて見た(笑)。
場面と、「サロンパス」という単語が、
全く合っていないではないか。
面白い、面白過ぎる。


もう一か所。


男C「賭けをしよう。俺が勝ったら、このチキンラーメンはタダだ」
女D「いいわよ」


そして、そこには、
まるで展示物のように、斜めに立てかけて置かれている
チキンラーメンが。


でも、これは許す(笑)。
会話の流れが、
サロンパスほど不自然ではないから。


あーあ、
サロンパスとチキンラーメンで
原稿用紙が終わっちゃったよ。
映画の感想を書けよって(笑)。


映画は、日本人が演じる、日本語を喋る西部劇。
そうとしか言いようがないくらい、
雰囲気は、完全に西部劇。
大体、日本で「保安官」なんて言わないし。


探せば、本物の西部劇に、
似たような話がありそう。


評価 ★★★☆☆

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「静かなふたり」 [映画]

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〔2017年/フランス〕


地方からパリにやって来た27歳のマヴィ(ロリータ・シャマ)は、
友人とルームシェアして暮らしているが、
何かと孤独を募らせる日々。


そんな中、
「貸し部屋あり。家賃は古書店での労働」と
書かれた貼り紙を見て、
店を訪ねる。


店主は、70代をおぼしき男性・ジョルジュ(ジャン・ソレル)。
年の離れた二人だったが、
手探りで会話をしていくうちに、
次第に惹かれ合ってゆく。


しかし、ジョルジュに、
暗い過去がある事が分かってきて・・・。





試写会で観た。


タイトルの通り、
静かな映画。
BGMも殆ど無く、
年の離れた孤独な男女が、
互いの心を慰めるように惹かれ合う様子が、
淡々と描かれる。


ただ、これを愛と呼べるのかは、
私にはよく分からなかった。
もう少し、あと1ミリでいいから、
迸るような情熱を見せてくれたら、
感動できたかも。


映画は、主人公の2人の恋と同時に、
社会的な問題が描かれる。


パリの街で、
原発反対のデモが繰り広げられていて、
そこで活動する一人の青年が、
ラスト近くで、
物語に絡んでくる。


ちょっとビックリしたのは、
原発反対派の人たちが、
路上で、ジャガイモを台の上に乗せ、
叫んでいる場面。


「あなたは、原子力で汚染された町で収穫された、
 このジャガイモを食べられますかー!」と。


そして、そこには、
「チェルノブイリ」、
そして、「フクシマ」の文字が!


やめてくれ。
そんな所で、変な風評を広めないでほしいよ、
と思ったけど、
世界の、福島に対する認識って、
そんな感じなんだろうか。
それとも、映画的な演出なだけ?


上映後、
監督のエリーズ・ジラールさんによる
トークショーがあった。


てっきり男性だと思っていたので、
女性が現れてビックリ。
映画監督=男性
という思い込みは、良くないですね。


このジラール監督、
以前に、「ベルヴィル・トーキョー」という映画を
撮っているようなので、
一般のフランス人より、
多少、日本に思い入れがあるのかもしれない。
いつか、「ベルヴィル・トーキョー」も
観てみたい。


評価 ★★★☆☆

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「ソニータ」 [映画]

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〔2015年/イラン〕


18歳の少女・ソニータは、
アフガニスタンの生まれだが、
タリバンから逃れて、
今はイランに住んでいる。


彼女の夢は、ラッパーになる事。
けれど、イランでは、
女性が歌を歌うなど、以ての外。


しかも、母は古い考えに囚われ、
ソニータを結婚させようとしている。
結納金9,000ドルがもらえれば、
それはそのまま、兄の結婚資金になる。


嫌だ、そんな結婚は絶対したくない。
ソニータは、
女性相談所の職員と相談しながら、
夢を叶えるため、動き出す・・・





試写会で観た。


アフガニスタンからイランに移住し、
夢を追いかける少女・ソニータを描いた
ドキュメンタリー。


この映画が、100%やらせやフェイク無しで、
全てが事実だという前提で書くけれど、


私にとって圧巻だったのは、
ソニータの出ている場面ではなく、
ソニータの母と、
相談所の女性との、
殆ど口喧嘩のような、会話の応酬。


相談所の女性が、
「ソニータは結婚したくないと言っている。
 児童婚は、今では国際的な問題だ。
 無理強いをしてはいけない」と
強く説明するのだが、
母親は、絶対自分の考えを曲げない。


「自分だって、他のどの女性だって、
 今までずっとそうやって生きてきた。
 何が悪い。
 ソニータには、結婚する以外の道はない」と。


申し訳ないけれど、
そこに愛情はまるで感じられず、
どうしても9,000ドルの結納金が欲しいという気持ちが、
明らかに透けて見える。


それは「児童婚」という名の「人身売買」だと、
映画で何度も訴えられるし、
観ているこちらも、そう思うのだけれど、
母親は、理解できないようだ。


金の事もそうだけど、
何で古い考えから抜け出せないかな・・・
といっても、仕方ないのか。
日本と比べたら、
想像も絶するような、
ガチガチに縛られた生活の中、
そうする事でしか生きていけない女たちは、
それ以外の価値観を持つ事なんて、
想像もした事ないのだろうし。


ソニータと、クラスメイトたちの会話も、
日本のJKでは考えられない内容だ。


「私の結婚相手は、30代のおじさんなの。
 嫌だけど、仕方ないわ」と、
暗い顔で話す少女。
結婚相手が、比較的若い男性の場合、
その少女は、羨望の的になったりもする。


自分の意志でなら、
結婚相手が、
30代だろうが、70代だろうが、
好きにしなよ、と思うけれど、
無理矢理決められるカップリングに、
観ているこちらまで
嫌な気持ちになる。


ソニータは、なんとかそんな結婚を逃れ、
周囲の人々の力もあり、
アメリカの学校に行き、
現在も、音楽の勉強をしているそうだ。
将来は、
中東の女性を解放するのが夢だという。


ソニータ一人が頑張っても、
中東の女性蔑視が簡単に無くなるとは思えないけど、
それでも、1ミリずつでも、
進むしかない。
最近は、女性も車の運転が許されるようになったと
ニュースで見たし。


正直、私にとって中東は遠い。
アフガニスタンとイランで暮らすのとで、
どこが違うのかも分からない。


本当に、ありきたりで
綺麗ごとの感想しか持てないけど、
全ての人々が、
自由で、
自分の意志で行動できる日が来るといいなと、
それだけ強く思う。


評価 ★★★☆☆

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