「女獣」 [映画]
〔1960年/日本〕
現金輸送車が襲われ、
犯人グループの一人・秀子が、
内輪揉めの末に殺される。
婦人警官の瀬川路子(松浦波路)は、
囮捜査のため、
新宿のヤクザが仕切る、
ズベ公グループの一員になる。
グループの中で、
女たちから一目置かれている朝子(小畑絹子)は、
どこか品があり、
路子は彼女にシンパシーを感じる。
朝子と親しくなるうちに、
彼女が、昔殺された父親の仇を取るために、
ヤクザの情婦になった事が分かる。
ところが、朝子が机に隠していた拳銃が、
秀子を殺したものと
同一なのが分かり・・・。
強烈なタイトルだけれど、
内容は、
囮捜査のため、
新宿の闇組織に潜入する
婦人警官の物語。
しっかし、
この映画のように、
女性が潜入捜査するなんて事、
現実にあるんだろうか。
とにかく、危ないったらない。
ヤクザに、自分の情婦になれと言われ、
ホテルに連れ込まれ、
貞操を奪われそうになったり、
ホテルから逃げたら逃げたで、
それに腹を立てたヤクザから、
覚せい剤を打たれそうになったり。
映画だから、
すんでの所でいつも助かるけど、
現実だったら、
そういつも、上手く逃れられるとは思えない。
囮捜査というものが、
現実にあるとするなら、
そういった時は、
どうやって難を切り抜けるのであろうか。
ところで、
覚せい剤を打たれそうになった路子を助けた時の、
朝子のセリフがいい。
「あんた、ヤクの力を借りなきゃ、
女をモノにする事もできないのかい!」と。
全く全くその通り。
この種の男って、
暴力や薬で女を自由にしようとするけど、
一体何が楽しいというのか。
体をモノにしても、
心まではモノにしていない。
もっと自分の魅力で、
女に本気で惚れられてみろって。
路子とは立場も状況も違うけれど、
朝子も、ある種の囮みたいなもので、
元々、真面目な人間なのに、
今は、完全に薬中になってしまっている。
父の仇のために、そんな事に・・・
と思うと、可哀想でならない。
色々あるけど、
ラストは強引に解決(笑)。
それなりに面白かった。
評価 ★★★☆☆