「ソニータ」

〔2015年/イラン〕


18歳の少女・ソニータは、
アフガニスタンの生まれだが、
タリバンから逃れて、
今はイランに住んでいる。


彼女の夢は、ラッパーになる事。
けれど、イランでは、
女性が歌を歌うなど、以ての外。


しかも、母は古い考えに囚われ、
ソニータを結婚させようとしている。
結納金9,000ドルがもらえれば、
それはそのまま、兄の結婚資金になる。


嫌だ、そんな結婚は絶対したくない。
ソニータは、
女性相談所の職員と相談しながら、
夢を叶えるため、動き出す・・・





試写会で観た。


アフガニスタンからイランに移住し、
夢を追いかける少女・ソニータを描いた
ドキュメンタリー。


この映画が、100％やらせやフェイク無しで、
全てが事実だという前提で書くけれど、


私にとって圧巻だったのは、
ソニータの出ている場面ではなく、
ソニータの母と、
相談所の女性との、
殆ど口喧嘩のような、会話の応酬。


相談所の女性が、
「ソニータは結婚したくないと言っている。
　児童婚は、今では国際的な問題だ。
　無理強いをしてはいけない」と
強く説明するのだが、
母親は、絶対自分の考えを曲げない。


「自分だって、他のどの女性だって、
　今までずっとそうやって生きてきた。
　何が悪い。
　ソニータには、結婚する以外の道はない」と。


申し訳ないけれど、
そこに愛情はまるで感じられず、
どうしても9,000ドルの結納金が欲しいという気持ちが、
明らかに透けて見える。


それは「児童婚」という名の「人身売買」だと、
映画で何度も訴えられるし、
観ているこちらも、そう思うのだけれど、
母親は、理解できないようだ。


金の事もそうだけど、
何で古い考えから抜け出せないかな・・・
といっても、仕方ないのか。
日本と比べたら、
想像も絶するような、
ガチガチに縛られた生活の中、
そうする事でしか生きていけない女たちは、
それ以外の価値観を持つ事なんて、
想像もした事ないのだろうし。


ソニータと、クラスメイトたちの会話も、
日本のJKでは考えられない内容だ。


「私の結婚相手は、30代のおじさんなの。
　嫌だけど、仕方ないわ」と、
暗い顔で話す少女。
結婚相手が、比較的若い男性の場合、
その少女は、羨望の的になったりもする。


自分の意志でなら、
結婚相手が、
30代だろうが、70代だろうが、
好きにしなよ、と思うけれど、
無理矢理決められるカップリングに、
観ているこちらまで
嫌な気持ちになる。


ソニータは、なんとかそんな結婚を逃れ、
周囲の人々の力もあり、
アメリカの学校に行き、
現在も、音楽の勉強をしているそうだ。
将来は、
中東の女性を解放するのが夢だという。


ソニータ一人が頑張っても、
中東の女性蔑視が簡単に無くなるとは思えないけど、
それでも、1ミリずつでも、
進むしかない。
最近は、女性も車の運転が許されるようになったと
ニュースで見たし。


正直、私にとって中東は遠い。
アフガニスタンとイランで暮らすのとで、
どこが違うのかも分からない。


本当に、ありきたりで
綺麗ごとの感想しか持てないけど、
全ての人々が、
自由で、
自分の意志で行動できる日が来るといいなと、
それだけ強く思う。


評価　★★★☆☆

コメント 8

サンダンス映画祭の初年のイベントに行きました。こういう素敵な映画祭がずっと続いていることが嬉しい♪
by Ginger (2017-10-13 15:58) 

女性が軽視されてる国は今でもありますね。
インドなんかもその1つです。
by 旅爺さん (2017-10-13 17:43) 

このビジュアル！！。
強烈やな！！。
花嫁だというのに、ちっとも幸せそうじゃない！。

それどころか、デコチンに
「　肉　」とまで書かれてる…。

「母の古い考え」。
それはいつの時代でも、どこの国でも
なくなりはしないと思われる。

よい学校に入って、よい会社に就職し、
結婚し、子どもをもうける、
晩年はブログに余生を注力し、やがて土に還る。

それが「普通のしあわせ」。
そう考えている人の思考は揺るぐ事は無い。

だから、少しでもその計画がズレたりすると、
さぁ大変！。騒ぎ、嘆き、叫ぶ。

ボクなんて、何をもってして
「普通」なのかが今だによくわからない。

多分、一生わからないまま、惑って終わるのだろう。

日本の宗教でもあるよな、合同結婚式とか。
当日になって、自分の相手を知る…というの。
それもまたアリかとは思う。
それで当人たちが「しあわせ」と感じているのなら、
回りでどうこう言うのはヤボってもんだ。

でも、フタを開けてみて、
自分の結婚相手が元アイドルとかって、
ビックリするやろな。大当たりやな。

入信しておけば、宝くじよりも
当選確率高いんとちゃうか？。
by 裏・市長 (2017-10-13 22:11) 

中東の映画を見ると、女性蔑視的な場面が多いよね。
ほんと、悲しくなる！
宗教的、刷り込み・・・・
決めてるのはみんな男！
女性に決定権を持たせない！
これは、実は・・・産む性を持ってる女性が強くなると恐いという
男性の恐怖から来るものとも言われてて・・・・
自分では何も決められないように男性が権力をにぎり続けてるのよね。　そんな社会から脱出しようとする女性は強い人！
そう言う人が増えて来て欲しいと切に願います。
by hatumi30331 (2017-10-14 07:41) 

Gingerさん
コメントありがとうございます。

えー！
初年のイベント行かれたなんてすごいです！
羨ましい＾＾
いい映画祭があって、
いい映画がどんどん紹介されるといいですね♪

by 青山実花 (2017-10-14 12:41) 

旅爺さんさん
コメントありがとうございます。

最近のインドのニュースは酷すぎですね。
一部の人のせいで、
どれだけ国の評判を落としている事か・・・。

by 青山実花 (2017-10-14 12:42) 

裏・市長さん
コメントありがとうございます。

この少女・ソニータこそが、のちのキン肉マンである・・・
・・・って、ふざけてる場合じゃない！

私の周囲の同世代の人たちは、
割と考えが自由で、
人が結婚しようが、しなかろうが、
子供を産もうが、産まなかろうが、
「あなたの人生、好きにすればいい」って感じの方が
殆どなのですが、
ネットの人生相談などを見ると、
まだ、古い考えに固執している方がおられて、
それで、周囲が困惑しているなんてケースもあるようですね。


>　「普通」なのかが今だによくわからない。

普通って何なのでしょうね。
自分では普通だと思っている事でも、
他人から見たら異常かもしれないし、
逆に、
「もしかして、自分って、変？」と思っている事でも、
案外、人も同じだったりする場合もあるし。

自分の考える「普通」を、
自分だけが守り通すなら
無問題ですが、
それを、家族や他人に強いるのは嫌ですねぇ。
「お前の常識、世間の非常識」ってなもんですよ。

え？
裏・市長さん、あの宗教に入信するんですか？
大当たりするといいですねぇ。
はずれてしまうと、
アフリカの奥地に婿に行かされる場合もあるそうなので。
その時は絶対、旅行がてらお訪ねいたしますので、
シマウマの丸焼きで歓迎してくださいね。
あー、楽しみになってきた。
いつ行けばいいですか？

by 青山実花 (2017-10-14 12:45) 

hatumi30331さん
コメントありがとうございます。

女性蔑視も、家族や他人への口出しも、
観ていて、本当に悲しくなりますね。
「こうあるべきだ」みたいなのが多くて・・・。

>　男性の恐怖から来るものとも言われてて・・・・

そういう面もあるのでしょうね。
だから女性も、
一人でも何でもできるという力を持たなくてはなりませんね。
「女なんか、どうせ一人じゃ何もできないんだろ」なんて
言わせないためにも＾＾

by 青山実花 (2017-10-14 12:46)