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「ピンク・レディの活動大写真」 [映画]

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〔1978年/日本〕


スーパースター・ピンク・レディを主演に映画を作ろうと、
製作者の白川(石立鉄男)、
監督の赤沢(田中邦衛)、
脚本家の青田(秋野太作)は、
ホテルに籠って協議する。


青田は、
ミーをOLに、ケイを看護婦にした、
庶民派人情物を提案。


白川は、
南極で発見されたモンスターとピンクレディを
交流させる、SF映画を提案。


赤沢は、
テキサスの酒場を舞台にした、
西部劇を提案。


3人とも、自分のアイデアが一番だと
譲らず・・・。





ピンク・レディは嫌いじゃないし、
彼女たちが打ち立てた、
数々の記録や伝説は当然知っているし、
凄いスターだったのも分かるのだけれど、


今になって知る、
様々なエピソード、


・寝る時間はほぼ無かった
・ベストテンは順位が低い方が嬉しかった。
 なぜなら、より長くソファーに座っていられるから
・あまりの疲労に、どんな番組に出ていたのかすら記憶にない
・あれほど働いたのに、実は働きに見合った報酬をもらっていなかった


などを聞くにつれ、
彼女たちが懸命に歌って踊るフィルムを見ても、
「痛々しい」という思いが先にきてしまう。


まぁ、スターになる事が
彼女たちの夢だったのだから、
それを達成できたことは
喜ばしいと思った方がいいのであろうが。


この映画の内容も、
そんな彼女たちの在り方を象徴しているみたいだ。


本人たちの意思に関係なく、
大人たちが勝手に進める企画。
映画の中では、
一応、彼女たちの意見も聞いてはいるが、
実際はそんな事はなかったのではないかと、
悪い方へ憶測は膨らむばかり。


あーあ。
こんな風に汚れた心でなく、
「ピンクレディ大好き」というだけの100%の気持ちで
この映画を観られたら良かったなぁ。


ちなみに、提案された3話の中なら、
私は人情物を推薦するな。


だって、SF物の主役のモンスターの着ぐるみの、
絶望的な可愛くなさったら(笑)。
最近のゆるキャラの可愛さを知ってるからというのもあるけど、
それを差し引いても、あれはない。


それに、アメリカ人でもない彼女たちが、
西部劇ってのも、なんか好かない。


それから、ピンク・レディのシングル曲の中で、
私が一番好きなのは何だろうと考える。


やっぱり「サウスポー」かな。
最近はご無沙汰だけど、
野球は好きだし、
女の子がプロ野球投手として活躍するという、
シチュエーションがいい。
情景もめっちゃ頭に浮かんでくる。


評価 ★★★☆☆

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「おとなの事情」 [映画]

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〔2016年/イタリア〕


ある夜。
ロッコとエヴァ夫妻の家に幼馴染たちが集まる。


レレとカルロッタ夫妻。
コジモとビアンカ夫妻。


恋人を伴ってくると言っていたペッペは、
彼女が風邪を引いたから、と一人でやって来る。


食事が始まって、ほどなくした頃、
エヴァが、自分のケータイをパートナーに見せられるか、
と言い出す。


そして7人はゲームを始める。
今から来る電話は、全てスピーカーで話し、
メールは、全て読み上げようと・・・。





試写会で観た。


面白すぎる。
舞台はほぼ、一軒の家の中。
7人の男女。
まるで舞台劇の映画化みたいだ。


最初は楽しく会話していた彼らだが、
全員がケータイをテーブルの上に置き、
上記のような、
危険なゲームに突入してゆく。

otonanojijo2.jpg

こんな短時間に、これほど電話やメールがくるかな、
と言うのは無し。
そうでなければ映画にならない。
次から次へと様々な出来事があって、
目が離せない。


そして問われるような気持ちになる。
「あなたは自分のケータイを人に見せられますか?」
「あなたは人のケータイを見たいですか?」
と。


私はどうだろう。
自分のケータイを見られるのは平気かな。
どうせ大したやり取りはしてないし(笑)。


ただ、人のケータイは見たくない。
それは、決して、
「私は人のケータイに興味を持つような下劣な人間ではない」
などと言いたいわけではない。
私はそこまで高潔な人間ではない。
それは全て、自分の心の安定を守るため。


普通の人間関係は、
恋人や、友人が、
自分と接している以外の時間に、
よそでどんな人間関係を築いているかなんて、
知る事はない。
会話から知るそれは、
全て、相手の主観と自己申告だと言っていい。


恋人や友人が、
自分の知らない人とするやり取りを知っても仕方ないし、
知ればイライラする事もあるだろう。
わざわざ、
いらぬストレスを溜めるような行為をするのは
馬鹿げている。


それから、
例えば、日常会話の中で、
私が、「映画○○は傑作だった」と言った事に対して、
「○○、いいね。自分も大好き」と言っていた人が、


誰かに、「○○は駄作だ。本当にくだらなかった」なんて
メールしているのを読んだりしたら、
軽くでも、傷つく。
無理して私に合わせてくれてたんだと思うと
申し訳なくて、
先に相手の感想を聞けばよかったなどと、
グズグズ考える事になる。


ケータイはそういった情報の宝庫ではないか。


この映画の良い所は、
各人の秘密が、恋愛に限っていないところだ。
老人問題、親子の問題、性癖の問題まで露呈してきて、
考えさせられる。


ボーイフレンドとの初めての夜に迷う16歳の娘の相談を受けた父親の、
答えの秀逸さったら。
涙が出た。
荒れていた大人たちも、
その時だけは、
自分の青春時代の恋愛を思い出したかのように、
しんみりした表情になっていたのが、
印象的だった。


それから、お食事がめっちゃ美味しそう。
観ていて、お腹が空くこと間違いなし(笑)。


評価 ★★★★★

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自転車の鳥 [できごと]

2年ほど前だろうか。
会社の帰りに、通りを歩いていたら、
私の横を走り抜けていった
若い女性の乗った自転車のハンドル部分に、
鳥が乗っている・・・ような気がした。
いや、まさか。
鳥をそんな風に連れ歩く人など、
少なくとも私は、今まで見た事がない。
目の錯覚だ、何かと見間違えたんだろう、と思った。


それから数か月した頃、
鳥の甲高い鳴き声が後ろから聞こえ、
また自転車の女性が私を追い越して行った。
その時、傍を歩いていた見知らぬ高校生の男の子と目が合い、
驚いたような表情から、
その子が、
「い、今の、鳥ですよね!?」と
心で言っているのがハッキリと分かった。


鳥を連れた女性は間違いなく存在する。
私は確信し、この物見高い性格から、
いつか、もっとしっかりとこの目で確認したいと
思いながら、今まできた。


そして昨日。


帰り道、
なんと交差点で、件の女性が鳥を連れ、
信号待ちをしているところに遭遇した。


「うわー、どうしよう、話しかけたい。
お写真を撮らせてほしい。でも迷惑かな、
断わられたら恥ずかしいな」


と様々な思いが去来したけれど、
人生のチャンスは一度だけだと思った方がいい。
この機会を逃して、
彼女に二度と会えなかったら、
どんなに後悔するか分からない。


思い切って声を掛けたところ、
女性はとても親切に応対してくださった。
やはり、よくこの通りを鳥を連れて走っているだそうだ。
写真撮影も快諾してくれた。

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しっかし、私も鈍臭い。
見知らぬ人に話しかける事であがってしまい、
鳥の種類など、
何も聞かなかった事に、
あとになって気が付いた。


写真では暗くて、分かりにくいけれど、
尻尾が赤いのが特徴なのだそうだ。


次にお会いした時に聞いてみたい。
といっても、
昨日のような上手いタイミングで遭遇できるかどうか、
それが一番難しい問題なのだけれど。

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「ハロルドが笑う その日まで」 [映画]

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〔2014年/ノルウェー〕


ノルウェーの郊外で、妻と40年も家具店を営んできた、ハロルド。
ところが、なんと店の隣に、あの「IKEA」の
北欧最大店ができてしまう。


当然、店は潰れ、
さらに妻が亡くなってしまうという、
ダブルの不幸に見舞われたハロルドは、
息子家族の家を訪ねるが、
息子の妻から、冷たくされるばかり。


こう何もかも、上手くいかないのは
全て「IKEA」のせいだと、
ハロルドは、「IKEA」の社長・イングヴァル・カンプラードを
誘拐してやろうと考える。


車でスウェーデンに入ったハロルドは、
16歳の少女・エバと知り合い、
カンプラードの家を教わる。


しかし、それが嘘だと分かり、
ガッカリして雪道に車を走らせていると、
車が故障して困っている老人がいたので、乗せてやる。
ところが、その男の顔を見て、仰天!
な、な、なんと、男は本物のカンプラードではないか!・・・





これは愉快だ。
実在する、「IKEA」の社長・イングヴァル・カンプラードを
誘拐する老人という、前代未聞の物語。
カンプラードは、これを観たんだろうか。
観たとしたら、どう思ったんだろう(笑)。


本作は、ノルウェーのアカデミー賞に当たる賞で、
2冠を受賞したという。
「実話なのか!?」という問い合わせも殺到したそうだ。
そりゃあ、誰だって混乱する。
何度も書くけど、
実在の会社、実在の社長が、
普通に映画に出てきちゃうんだから。


この映画で、
ハロルドの家の隣にオープンした家具店の名前を、
「IKEA」にした理由って何なのだろう。
「IKEA」を思い起こさせるような、
ちょっと変えた名前にだってできたはずなのに。
ある程度、「IKEA」が出資してるんだろうか。


ただ、映画の中で「IKEA」は、
ハロルドから、結構な言われようだ。


ハロルドが営んできた家具店の家具は、
質の良さが自慢で、
ハロルドもそれを誇りを思って、生きてきた。
それが、なんだ、値段ばかり安い、
あのお手軽な家具は、と、
ハロルドは、店が潰れた恨みも大きいが、
家具店の店主として、
「IKEA」の商品には我慢ならないようだ。


これって、
「IKEA」を宣伝しているのか、
貶めているのか、
私には判断しかねる(笑)。


誘拐したカンプラードと、
なんとなく心通わせてゆくハロルドだけど、
カンプラードのセリフで、


「確かに自分は、若い頃ナチスに傾倒していたさ。
けれど、それを過ちだったと認め、
謝っても謝っても、世間はすぐそれを持ち出しては、
自分を責める。
どうすりゃいいんだ」みたいな箇所が、
私には、なんだか可笑しかった。


謝っても謝っても、事ある毎に持ち出されるって、
日本だって、同じような感じじゃない?
しつこい!いい加減にしろ!
という気持ちは、ちょっと分かるなぁって。


私の個人的なクライマックスは、
ハロルドの車にカンプラードが乗り込んできた場面だけどね。


だって、「誘拐してやる!」と息巻いていたターゲットが、
向こうから飛び込んでくるって、あり?(笑)
シリアスな映画だったら、
「有り得ない」と怒る所だろうけど、
ハロルドのキャラと、
映画の雰囲気が
全てを許してしまう。


評価 ★★★☆☆

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「朝やけの詩」 [映画]

asayakenouta.jpg
〔1973年/日本〕


信濃高原で暮らす春子(高橋惠子)は、
頑固な父・作蔵(仲代達矢)や
弟と妹の世話をして生活している。
母親は、この貧しい暮らしに耐え切れず、
出て行ったきりだ。


平和なこの村にも、
開発の波がやって来る。
不動産会社・アポロ観光の社長・神山と
村の有力者・稲城が結託して、
ここにレジャーランドの建設するというのだ。


春子の恋人・朝夫(北大路欣也)は、
稲城に反発するが、
朝夫の本当の父は、
稲城の兄だと知らされ、愕然とする。


村には手を付けないという約束の元、
アポロ観光で働く事になった朝夫だが、
会社は約束を反古し、
測量を始める。


また、多額の金を提示された村人たちは、
浮足立ち・・・。





うーん、困った。
ここに、この映画のジャケット写真を載せるため、
画像検索したのだけれど、
出てくるのは、
関根恵子のヌードが写ったものばかり。


映画の内容は、
骨太の、社会派ドラマだというのに、
何なんだ、このギャップは。


という事で、色々検索してみたら、
やはり、当時、この映画は、
関根恵子のヌードで大変な騒ぎになったらしい。


冒頭、関根さんが野尻湖を全裸で泳ぐシーンでは、
報道陣が150人も押し寄せ、
シャッターの音は、泳いでいる関根さんにまで、
聞こえてきたとか。


さらに、環境庁から苦情が来たというのだからビックリだ。
なんでも、野尻湖は国定公園で、
そんな場所で、ヌードを撮影するとけしからん、と
いう事らしい。


映画の作り手側は、
ヌードでなく、
もっと内容を見てほしいを思っていたかもしれないけど、
でも、関根さんが○月○日に全裸で泳ぎますからと
触れ回ったのも、また、作り手側だろうしね。
極秘撮影なら、そんなに人が来るわけない。
今でいうなら、
タレントの空港芸みたいなものか。


他にも関根さんは、
どーでもいい場面でヌードになる。
何もそんな場面で、と思わなくもないけど、
まぁ、彼女は元々、割とそういう映画の多い方だし、
本人が良ければ、好きにすればいい。


あーあ、映画の内容に全く触れないまま、
ヌード一つで原稿用紙が終わっちゃったよ(笑)。


この映画について書かれた、
世間の皆様のブログも、
どれも似たり寄ったり(笑)。


つまり私も、
平凡な俗人という事だ(笑)。


ところで、ネットに落ちていたネタなので、
鵜呑みにはできないけど、
この映画、吉永小百合さん主演で、
「おお牧場はみどり」というタイトルで
作られる計画があったって、本当なのだろうか。


「おお牧場はみどり」て(笑)。
タイトルからして、
この映画ほど、骨太な内容にはならなかった気がする。
あぁ、作ってほしかったなぁ。
関根さんの方をボツにするのではなく、両方。
同じ内容でも、主演が変わるとこれほど違うものかという
味わいを比べたかった。


評価 ★★★☆☆

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