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「ハロルドが笑う その日まで」 [映画]

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〔2014年/ノルウェー〕


ノルウェーの郊外で、妻と40年も家具店を営んできた、ハロルド。
ところが、なんと店の隣に、あの「IKEA」の
北欧最大店ができてしまう。


当然、店は潰れ、
さらに妻が亡くなってしまうという、
ダブルの不幸に見舞われたハロルドは、
息子家族の家を訪ねるが、
息子の妻から、冷たくされるばかり。


こう何もかも、上手くいかないのは
全て「IKEA」のせいだと、
ハロルドは、「IKEA」の社長・イングヴァル・カンプラードを
誘拐してやろうと考える。


車でスウェーデンに入ったハロルドは、
16歳の少女・エバと知り合い、
カンプラードの家を教わる。


しかし、それが嘘だと分かり、
ガッカリして雪道に車を走らせていると、
車が故障して困っている老人がいたので、乗せてやる。
ところが、その男の顔を見て、仰天!
な、な、なんと、男は本物のカンプラードではないか!・・・





これは愉快だ。
実在する、「IKEA」の社長・イングヴァル・カンプラードを
誘拐する老人という、前代未聞の物語。
カンプラードは、これを観たんだろうか。
観たとしたら、どう思ったんだろう(笑)。


本作は、ノルウェーのアカデミー賞に当たる賞で、
2冠を受賞したという。
「実話なのか!?」という問い合わせも殺到したそうだ。
そりゃあ、誰だって混乱する。
何度も書くけど、
実在の会社、実在の社長が、
普通に映画に出てきちゃうんだから。


この映画で、
ハロルドの家の隣にオープンした家具店の名前を、
「IKEA」にした理由って何なのだろう。
「IKEA」を思い起こさせるような、
ちょっと変えた名前にだってできたはずなのに。
ある程度、「IKEA」が出資してるんだろうか。


ただ、映画の中で「IKEA」は、
ハロルドから、結構な言われようだ。


ハロルドが営んできた家具店の家具は、
質の良さが自慢で、
ハロルドもそれを誇りを思って、生きてきた。
それが、なんだ、値段ばかり安い、
あのお手軽な家具は、と、
ハロルドは、店が潰れた恨みも大きいが、
家具店の店主として、
「IKEA」の商品には我慢ならないようだ。


これって、
「IKEA」を宣伝しているのか、
貶めているのか、
私には判断しかねる(笑)。


誘拐したカンプラードと、
なんとなく心通わせてゆくハロルドだけど、
カンプラードのセリフで、


「確かに自分は、若い頃ナチスに傾倒していたさ。
けれど、それを過ちだったと認め、
謝っても謝っても、世間はすぐそれを持ち出しては、
自分を責める。
どうすりゃいいんだ」みたいな箇所が、
私には、なんだか可笑しかった。


謝っても謝っても、事ある毎に持ち出されるって、
日本だって、同じような感じじゃない?
しつこい!いい加減にしろ!
という気持ちは、ちょっと分かるなぁって。


私の個人的なクライマックスは、
ハロルドの車にカンプラードが乗り込んできた場面だけどね。


だって、「誘拐してやる!」と息巻いていたターゲットが、
向こうから飛び込んでくるって、あり?(笑)
シリアスな映画だったら、
「有り得ない」と怒る所だろうけど、
ハロルドのキャラと、
映画の雰囲気が
全てを許してしまう。


評価 ★★★☆☆

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