SSブログ

「ゾッキ」 [映画]

zokki.jpg
〔2021年/日本〕


「秘密は、できるだけ沢山持て」というお爺ちゃん。
その数を聞いて、
牛乳を吹き出す、孫娘。


ママチャリで、
寝袋とエロ本だけを持って、
旅に出た男。


エロDVDでバイトする、
まだ幼さが残る少年。


やっとできた、
たった一人の友達を
失いたくないばかりに、
存在しない姉が、
あたかもいるかのように振る舞う高校生。


女と家を出て行った父との、
幼い頃の出来事を思い出す青年。


そんな彼らの人生が、
交差したり、しなかったり・・・。





試写会で観た。


竹中直人、斎藤工、山田孝之の3人が、
監督を務めたというこの映画、


最初の想像では、
きっと3つの物語から成る、
オムニバスストーリーなんだろうな、
と思っていたのだけれど、


話はそう簡単ではなく、
明確に、
どの箇所が、どの監督なのか、
ハッキリは分からない。


複雑なような、単純なような、
何とも説明しづらい内容。


物語らしい物語は、
男子高校生のパートで、
キモ可笑しくて笑った。


高校生の伴は、
なぜか、友人・牧田に姉がいると思い込み、
「あややに似ている」という、
会ったこともない、その姉に恋をしてしまう。


友達を失いたくない牧田に対して、
伴の要求はエスカレートし、
「姉ちゃんの下着を売ってくれ」と言い出し、
困惑しながらも、
牧田はそれに応える。


私には、男子高校生の性欲は分からないけど、
会ったこともない、
顔も知らない相手に、
そこまで夢中になれるのかと思うと、
その情熱に笑ってしまう。


鈴木福くんが、
エロDVD屋でバイトしている様子が、
大人になったなぁと、感慨深い。


そういえば、彼の部屋の壁に、
「人生30まではリハーサル」と
書かれた紙が貼られておった。


つまりは、私の人生は、
もうとっくに本番に入っているわけね、と、
痛感した文言であった(笑)。


評価 ★★★☆☆

nice!(145)  コメント(8) 
共通テーマ:映画

「ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから」 [映画]

lovesecondsight.jpg
〔2019年/フランス〕


高校時代に出会った、
ラファエルとオリヴィアは、
結婚して10年になる。


ラファエルは、夢だったSF作家として有名になり、
今や、押しも押されぬ売れっ子。
一方、オリヴィアはピアニストになる夢が叶わず、
小さなピアノ教室を開いている。


最近、ラファエルが多忙なせいで、
すれ違いが続き、
オリヴィアは強い孤独を感じていた。
そのことをラファエルに伝えると、
大喧嘩になってしまう。


翌日、ラファエルが目覚めると、
何か違和感がある。
なぜか、彼は、しがない中学の教師で、
小説は趣味で書いているだけ。
そして、オリヴィアは、
世界的ピアニストとして活躍している。
なんという事だ、
自分はパラレルワールドに来てしまったのか・・・。





試写会で観た。


互いの存在が、
本当に運命の相手なら、
どんなに状況になっても、
最後には絶対に結ばれるのか・・・
そんな事をを問われているような、
SFラブストーリー。


高校時代に出会い、
深く愛し合って、
結婚したはずなのに、
気が付くと、
自分の成功に酔い、
妻・オリヴィアへの思いやりを忘れてしまう、
主人公のラファエル。


オリヴィアの孤独が胸に沁みる。
ラファエルの成功は嬉しいけれど、
もう何日も、一緒に食事をしていないし、
自分の事など、もう必要ないみたいに見える。
このままでは、
2人はきっとダメになる・・・。


ところがところが、
翌日、ラファエルが目覚めてからが可笑しい。
ラファエルは独身の教師で、
オリヴィアは有名ピアニスト。
その世界は、
完全に逆転してしまったのだ。


なぜ、そんな事になったのは、
それは、物語の中にヒントがあるけど、
理由はさして重要ではない。


それより、2人が、
もう一度出会って、
もう一度結ばれる事ができるのか、
そこが核になる。


Aという世界で、傲慢になっていたラファエルが、
Bという世界に行って、
自分がどんなにオリヴィアを愛していたかに気付く。


ラファエルは、
なんとかして、オリヴィアに近づきたいと思うけど、
そのやり方は、
どう見てもストーカー(笑)。
オリヴィアが通報しないのが、
不思議なレベル。


しかも、こちらの世界のオリヴィアには、
懇意にしている男性がいる模様。


にしても、
この邦題のサブタイトル、悲しくなる。
「初恋のおわりから」て。
2人の初恋はもう終わりという事?
ラファエルがパラレルワールドに行かず、
元の世界のままだったら、
オリヴィアの大切さにも気付かず、
2人は終わっていたという事なのだろうか。


評価 ★★★☆☆

nice!(126)  コメント(8) 
共通テーマ:映画

◆世の中と足並みがそろわない◆ [本]


世の中と足並みがそろわない

世の中と足並みがそろわない

  • 作者: ふかわりょう
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/11/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


東京MXテレビの、
「5時に夢中」を、
”毎日録画”設定にして、
見るようになってから、
もうずいぶん経つ。


曜日ごとにコメンテーターが変わり、
各曜日でカラーが変わるのも、面白く、
「笑っていいとも!」終了後の、
 ↓
https://aomikamica.blog.ss-blog.jp/2013-10-22
https://aomikamica.blog.ss-blog.jp/2014-04-04
会社から帰ったあとの
毎日の楽しみの一つ。


で、「5時に夢中」を見ているうちに、
おかしな感情が湧いてきた。


司会のふかわりょうさんに惚れてまいそうだ、って(笑)。


「5時に夢中」を見るまで、
正直、ふかわさんに興味を持った事もなく、
むしろ、ちょっと変な人?というイメージだったのに。


でも、毎日彼を見ていると、
知的で、聡明で、育ちがいいのが、
すごく伝わってくる。


奇しくも、私がそんな気持ちを抱き始めた頃、
月曜コメンテーターの若林史江さんが、
何かの話の流れで、
「ふかわさんと話していると、好きになっちゃう」と
仰られたのが、
私の中に、ストンと入ってきた。
そうそう、その感じ、分かる。


一目惚れされるタイプではないけれど(ごめんなさい(笑))、
じわじわと、その魅力に引き込まれるタイプ。


そんな彼の素敵さに気付いたのは、
女性だけではなかったようで、
新潮社出版部の企画の男性が、
番組を見ていて、
「何か書いてみないか」とオファーされたそうで、
それで出版されたのが、この、
「世の中と足並みがそろわない」。


Amazonでも、売上ランキングの上位に上がったとの事。
世の中には、
隠れふかわファンが多いのかもしれません。


本の内容は、
タイトルの通り、
自分では普通のつもりなのだけれど、
なんだか、
「世の中と足並みがそろっていない」気がする自分、
というエピソードを集めたエッセイ。


あぁ、分かるなぁ、
私も自分の事を決して、
「世の中と足並みがそろっている」とは思わないもんなぁ、
自分ではそろえているつもりなんだけど。
って、そんな感じ(笑)。


なーんて事を思いながら、
ふと、ふかわさんのインスタを見てみたら、
なんと、ふかわさんが、
この本を朗読している動画があるではないか。

IMG_0599.PNG IMG_0625.PNG

眠る時、聞いていると、
まるでふかわさんが
そこにいてくれているような心地よさ(笑)。
こんな事をしている自分は、
やっぱり、
「世の中と足並みがそろって」いないんだろうか。



----------

このブログは、1月に書いて、
「いつか出せばいいや」なんて、
のんきに考えて、
下書きに入れっぱなしだったのですが、
先週でしたか、
ふかわりょうさんが、
「5時に夢中」を卒業するというニュースがあり、
なので、今日出す事にしました。
書いた時のまま、手直しはしていません。


事情はよく分かりませんが、
なんでも、同じMXテレビの、
夜のバラエティ、
「バラいろダンディ」という番組の司会者さんと、
交代するのだとか。
「5時に夢中」は継続して見ていきたいし、
そこにプラス、
「バラいろダンディ」が加わるのかぁ、
見る時間あるかな、とちょっと心配なのですが、
とりあえず、なんとか頑張ります(笑)。

----------

nice!(139)  コメント(14) 
共通テーマ:映画

「ミナリ」 [映画]

minari.jpg
〔2020年/アメリカ〕


1980年代のアメリカ。
韓国系の移民・ジェイコブは、
農業での成功を夢見て、
カリフォルニア州からアーカンソー州に引っ越してきた。


しかし、トレーラーハウスに住むと知った
妻・モニカは、
夫から聞いていた話と違う事に、
違和感を覚え、
ここでの生活に不安を感じる。


けれど、長女のアンと、
心臓に病を持つ長男のデヴィッドは、
子供らしく、
その環境に馴染んでゆく。


ほどなくして、
モニカの母を呼び寄せ、
同居する事になった家族だが、
ジェイコブが思うほど、
農業は上手くいかず・・・。





試写会で観た。


この映画を撮った、
リー・アイザック・チョン監督は、
アメリカで育った、
韓国系移民だそうで、
自らの体験が元になっているのだそうだ。


いつの時代も、
どこの国でも、
移民が生きていくのは、
大変な事なのだろうと
思わされるストーリー。


日本人も、明治時代、
ブラジルに、
多数の人が移民したという話を聞くけれど、
本当にご苦労されたのだろうなぁと想像する。


ただ、この映画は、
そこまで重くはない。
コミカルな場面が沢山あるし、
特に、
途中から参加した祖母の、
すっとぼけた様子は、
笑いを誘う。


差別というのも、特にはないし、
子供同士のいじめもない。
ジェイコブ家族のご近所さんたちは、
概ね、
好意的に彼らを受けれてくれる。


そういう意味では、
一番揉めているのは、
主人公夫婦かも(笑)。


夫の理想と、
妻の理想が合っていないし、
将来的なヴィジョンを違う。


ただ、韓国映画にありがちな、
喧嘩してるのに、なんか笑える、という特徴は、
しっかり踏襲しているので、
不快ではない。
暴力はないし。


そういえば、この文章書いているうちに、
思い出したことがある。


ニューヨークを旅行した時、
韓国系のかたが経営している、
アイスクリーム屋さんに入ったら、
「日本人ですか?」と聞かれ、
「日本語で、”グッドイブニング”は、何と言うのですか?」などと
聞かれたりして、
めちゃくちゃ親切で優しく、
フレンドリーに対応してくださった。


何となくだけど、
そこには、
日本vs韓国
という図式はなく、
私たちを、「アジアの同胞」と見ているように感じた。


たった一度の体験で、
全てを決めるのは間違っているのだろうけど、
たった一度の体験が、
旅を強く印象付ける事もある。


アメリカで暮らす彼らにとって、
日韓の問題など些細な事で、
それより、日々、
もっと別の差別と戦っているのだろうと、
そんな気がした出来事だった。


評価 ★★★☆☆

nice!(140)  コメント(10) 
共通テーマ:映画

「ロード・オブ・カオス」 [映画]

lordofchaos.jpg
〔2018年/イギリス・スウェーデン〕


1987年。
ノルウェーのオスロ。
ギタリストのユーロニモス(ロリー・カルキン)は、
真のブラック・メタルを目指して、
バンド「メイヘム」で活動していた。


新加入したボーカル・デッドは、
精神的に不安定で、
ステージ上で、自分の腕を切り、
大量の流血を客に浴びせ、
また、豚の頭部を客席に投げ込むなど、
激しいパフォーマンスを繰り広げる。


ある日、テッドは、
自身の体の切り刻んだ挙句、
猟銃で自分の頭を撃ち抜いた。
テッドの遺体を発見したユーロニモスは、
それを写真に撮り、
周囲に配った事でカリスマ化してゆく。


その後、新しいボーカル・ヴァーグを迎えたバンドは、
「誰が一番邪悪か」を競い合うようになり、
各地の教会に放火を繰り返すように。
さらに、メンバーの一人は、
自分に迫ってきたゲイの男を、
メッタ刺しにして殺害。


その後、ヴァーグは、
自分より常に目立つユーロニモスに
激しい憎悪の気持ちを抱くようになり・・・。





試写会で観た。


この映画は、
血を見るのが嫌いなかた、
猟奇的な場面が嫌いなかた、
には、絶対にお薦めできない。


これが、
実在したノルウェーのバンドの、
実話だというのだから、
かなりショック。


最初から最後まで、
死の匂いで満ちている。
自傷行為、
動物への虐待と殺害、
教会への放火、
そして、実際の自死や殺人。


日本人には悪魔の概念がないので、
本当の意味で、理解はできないけど、
向こうの人にとって、
教会や聖書を燃やす、という行為は、
想像以上に重い事のようだ。
もしこれが日本で、
日本人のメタルバンドが、自分の邪悪さを示すために、
神社仏閣を放火するなんて、
ほぼ考えられない事だけど。


主演のローリー・カルキンは、
「ホーム・アローン」の、
マコーレー・カルキン君の実弟。
めっちゃ似てる。


それから、
テッドを演じていたのが、
ヴァル・キルマーの息子のジャック・キルマー。
こちらは観終わってから、知った。
知っていたら、あんな過激な役、
そのつもりで観たのに、残念。


・・・と、ここまで書いて、
公式サイトを見てみたら、
バンドのメンバーの一人が、
ヴォルター・スカルスガルド、と書かれてある。
スカルスガルドって、
もしかして、ステラン・スカルスガルドと関係あるの?
と思い、調べてみたら、
やっぱり息子さん。
つまり、アレクサンダー・スカルスガルドの
弟さんという事だ。
凄い俳優一家だわ。


評価 ★★★☆☆

nice!(132)  コメント(4) 
共通テーマ:映画