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「はじめてのおもてなし」 [映画]

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〔2016年/ドイツ〕


ドイツ・ミュンヘンで暮らすハートマン家の
主婦・アンゲリカは、
ある日、
難民を一人受け入れる事を
家族に宣言する。


夫で医師のリヒャルトは大反対。
弁護士でシングルファーザーの長男・フィリップも、
賛成しているとは言い難い。
けれどアンゲリカは、
ナイジェリアから来た青年・ディアロを
自宅に住まわせる。


ディアロは真面目で、
フィリップの息子とも、
すぐに仲良くなる。
あとは亡命の審査に受かるのを待つだけ。


けれど、
ディアロの存在が、
ハートマン家、
そして、近隣の住人の、
今まで気付かなかった問題を露呈させてゆき・・・。





ドイツの家族と、難民の青年・ディアロの、
カルチャーギャップを楽しむコメディだと思っていたら、
お話はもっと少し捻りがあって、
崩壊寸前の家族が、
問題に気付かされるという、
シニカルだけど、ハートウォーミングな内容。


舞台となるハートマン家の
主婦・アンゲリカは、
元教師だけれど、
生き甲斐のない生活に虚しさを覚えている。


それは、仕事を辞めた事もあるし、
夫との関係にも原因がある。


医師の夫は、
なぜか若さに対する執着心が強く、
顔の皺のばしの施術を受けたり、
薄くなってきた頭髪を大変に気にしている。
それがとても滑稽だと、
アンゲリカは思っているけれど、
本人はそれが分からない。


女性が自分の老いを気にして、
何とかそれを食い止めようとする話は
よくあるけれど、
男女が逆、というのが何とも面白い。


ただ、もしも、
妻がアンチエイジングに頑張っていたとしたら、
それを傍で眺める夫が、
「虚しい、淋しい」なんて気持ちにならない気がする。
お金に不自由していないのならば、
「まぁ、好きにやってくれ」くらいのものじゃない?
やっぱり、
女は外見、
男は中身、
というのは変えられない価値観なのかなぁ。


ハートマン家には31才の長女がいて、
まだ大学生で、自分探しをしている。
そんな彼女に向かって、
ディアロは、
「何で結婚しないの?相手がいないの?」と
今ならセクハラとも言われかねない、してはいけない直球の質問を(笑)。


これは、カタコトの外国人と話すと、
たまにある事だと聞く。
語彙の少ない外国人は、
遠回しな言い方ができず、
ストレートな物言いになってしまうのだとか。


まぁ、カルチャーギャップもある。
ナイジェリアでは当たり前の事でも、
ここドイツでは、放っといてくれ事案という。


ディアロの存在は、
家族だけでなく、
近隣住民も巻き込む。
彼はテロリストではないのか!
そんな人間を近所に住まわせるな!と
デモが起こる始末。


世界が一つになる日は、
きっと永遠に来ない・・・気がする。


評価 ★★★★☆

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