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「靴ひも」 [映画]

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〔2018年/イスラエル〕


自動車修理工場を営むルーベンのもとに、
かつてルーベンが捨てた妻が死んだので、
発達障害のある息子・ガディを預かってほしいという連絡が入る。


困惑したルーベンだが、
知らん顔もできず、
ガディを自宅に連れ帰る。


性格の明るいガディではあるが、
拘りが強く、
自分の決めたルーティンを変えるのを
酷く嫌がるなど、
一緒に暮らすのは大変な事ばかり。


それでも、2人の波長がようやく合ってきた頃、
ルーベンは、
体の不調を覚え・・・。





試写会で観た。


発達障害の青年と父親の交流を描いた、
イスラエルの映画。


上映後に、
ヤコブ・ゴールドヴァッサー監督による、
リモート舞台挨拶があったのだけれど、
そのお話がとても興味深く、
また、考えさせられる内容だった。

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ゴールドヴァッサー監督のご長男は、
主人公のガディと同じように発達障害があり、
「スペシャルニーズ(特別な支援を必要とする)」状況にあるそうで、
この映画製作の話が来た時、
自分たちの生活と似た映画を作るようなことは
したくないと、
最初は断ったそうだ。


けれど、ある出来事がきっかけで、
スペシャルニーズの人たちの事をもっと知ってもらう必要性を感じ、
映画を作られたとの事。


観客の皆様の質疑応答があり、
「イスラエルでは、
「発達障害の方は、両親が亡くなったあとどうなるのですか?」
との質問に、
「自分の息子は、”村”と呼ばれる、
 施設で暮らしています。
 ここは民間が運営する場所で、
 世界でも高水準を誇る、素晴らしい施設です。
 ただ、まだまだ改善の余地はあります」と答えられた。


映画の中でも、
ガディが、”村”で過すシーンがあり、
専門家でもない私が、分かったようなことは言えないけれど、
ガディにとって、居心地の良さそうな所だと感じたのは確か。


それから、別のかたの、
「ガディが食堂に来て騒ぐと、
 他の客たちは、
 フレンドリーに接しているように見える。
 日本だったら、シーンとしてしまいそうな気がする。
 イスラエルの人々の方が、心が広いのでしょうか」
との声に、


「日本人は奥ゆかしい方が多いのでしょうが、
 イスラエルは、思ったことをすぐ口にしてしまう文化なのです。
 それに、映画では、
 フレンドリーなように見えて、
 みんな結構、ガディをからかったりしていますよね。
 イスラエルも、皆が平等になるには、まだまだです」
と仰られた。


日本とイスラエル、
たしかに国民性の違いはあるけれど、
成熟した文化を築くのは、
これからももっと努力が必要なのだと、
考えさせられるお話で、
素晴らしいトークショーに参加できて良かったです。
ありがとうございました。


評価 ★★★☆☆

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