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「時の氏神 新夫婦読本」 [映画]

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〔1960年/日本〕


放送作家の相沢英作(船越英二)と、
ぬい子(叶順子)は、結婚5年目の夫婦。
最近は、なんだか倦怠期っぽい雰囲気。


今日は、ぬい子の従妹・芳子(三木裕子)の結婚式。
2人は連れ立って式場へ。
スピーチを頼まれた英作は、
「愛なんてものは・・・云々」と始めてしまい、
招待客から顰蹙を買う。


そんなある日、
英作は、
ぬい子が銀座で若い男と歩いていたと、
人づてに聞かされ、
ショックを受ける。


また、別の日、
英作の弟子になりたいという男が家にやって来て、
強引に住み着いてしまう・・・。





軽いコメディで、
楽しめるんだけど、
私の心には冷たい風が吹くようだったなぁ。


船越英二さんの、
叶順子さんに対する物言いが、
冷たくて、淋し過ぎる。


彼は、元々シニカルで、物事を斜めから見る癖があるようだけど、
多くの人から、
「奥様、お綺麗ですね」と言われても、
「そうかなぁ」
「別に・・・」
と、物凄く突き放したように言う。
そこには、もう、照れさえないようだ。


そして、叶順子さんがどんなに努力をしても、
「褒めたら負け」と言わんばかりに、
悲しくなるような、
嫌な言葉しか口から出てこない。


さらに、極めつけは、
船越さんの留守中に、
叶さんが、住み込みの弟子に襲われそうになり、
そやつを追い出した事を船越さんが知ると、
出てきた言葉が、
「お前に隙があったんだろう」。


なんか、書いているだけで悲しくなる・・・。


こんな2人でも、
結婚前は熱烈な恋愛をしていたという。
出会った頃は、
叶さんの事を「世界一素敵な女性」だと思ったはずなのに、
たった5年で、どうしてそうなってしまうのか。


叶さんは、そんな船越さんに、
ほとほと愛想が尽き、
実家に帰るため、荷物をまとめ始める。
船越さんは、内心驚いて、
めっちゃ焦るんだけど、
それでも、
「謝ったら負け」らしい。
そんな状況においても、口から出てくるのは、
意地の悪い言葉ばかり。


まぁ、それでも、そこはコメディ。
最後はハッピーエンドになるわけだけど。


別に、毎日のように、
歯の浮くようなお世辞を言えとは言わないけど、
節目節目の時だけでも、
感謝の気持ちを表したり、
自分の気持ちは出会った頃と変わっていないことを、
伝えた方がいいんじゃないのかな。
(もちろんそれは、女性も同じ)


まぁ、これは1960年の映画だし、
今の若いカップルは、
こういった両親や、祖父母を反面教師にして、
もう少し、違うのかもしれないけど。


評価 ★★★☆☆

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