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「空に住む」 [映画]

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〔2020年/日本〕


両親を交通事故で亡くした直実(多部未華子)は、
叔父夫婦(鶴見辰吾・美村里江)の投資用タワマンに
飼い猫のハルと一緒に引っ越してくる。


直実は、小さな出版社に勤めており、
職場の後輩・愛子(岸井ゆきの)は、
現在、妊娠中で大きなお腹を抱えている。
もうすぐ結婚するというけれど、
何か訳ありのようだ。


ある日、直実は、
同じタワマンに、
今をときめくトップスター・時戸森則(岩田剛典)が
住んでいることに気付く。


ひょんな事から、時戸を部屋に招いた直実は、
彼と一線を越え、
そのまま関係を続けるが・・・。





試写会で観た。


都会で暮らす、
仕事をする女の生き方を描いた、
起承転結のあまりない映画だけど、
それでも、面白くて、
最後まで見入ってしまう。


感情を露わにしない多部未華子演じる直実は、
両親が死んでも泣けなかったという。
そして、そんな自分がおかしいのではないかと、
少し悩んでいる。


でも、よくよく聞いてみると、
両親は元々、直実に関心を示す人間ではなかったようで、
それなら、
家庭内の人間関係も希薄で、
泣くほどの悲しみの波が、やって来なかったのかもしれない。
だって、直実は、
ありったけの愛情を、
飼い猫のハルには注げる人間で、
決して冷たい女なんかではないし。


職場の後輩の愛子との対比も面白い。
岸井ゆきの演じる愛子は、
表情豊かで、感情表現も豊か。
そして、とんでもない秘密を直実に打ち明けたりする。


うわー、そんな事、聞かされたら、
誰かに話したくなっちゃうよ、って、
私だったら思ってしまうけど(笑)、
感情を抑えた直実だからこそ、打ち明けられるのかもしれない。


対比といえば、
建造物の対比がまた、素晴らしい。


直実が住んでいるのは、
渋谷のタワマンの、
何階だったか、とにかくかなり上の方。
その眺望は素晴らしく、
タイトル通り、「空に住んでる」感じ。


一方、彼女が勤める出版社ってのが、
古民家を職場にしていて、
机は座卓で、社員は座椅子に座っている。


古い家好きの私には、たまらない物件。
あぁ、
タワマンと、古民家、
どちらがいいだろう、
普段は古民家で暮らして、
週末はタワマンってのはどうだろう・・・
・・・なーんて、
妄想は果てしなく続き、止まりゃしない(笑)。


同じタワマンに住む大スターと懇意になるというのも、
夢のようなシチュエーション。
まるで映画(映画だよ(笑))。


いやいや、スターと付き合うのは大変そうだ。
直実は、彼と何度も関係するけど、
彼にとって、それは、
どう見ても戯れで、
テレビで別の女性との交際を知ったりする。


このスター、
言ってることが、
哲学的なんだか、ハッタリなんだか、
よく分からない(笑)。
まぁ、いい年した私には、
ハッタリでしょ、とも思えるけど、
若い女の子なら、
ああやって色々言えば、
騙せそうじゃない?(笑)。


評価 ★★★★☆

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