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「愛がなんだ」 [映画]

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〔2018年/日本〕


28歳のOL・テルコ(岸井ゆきの)は、
友人の結婚パーティで、
マモちゃん(成田凌)と出会った。


以来、5ヶ月、
テルコは、自分の人生の時間の全てを、
マモちゃんのために使っている。
呼び出しがあれば、すぐ応じるし、
会えない時間は、
常にケータイをチェックチェックチェック。
そのせいで、会社をクビになってしまうが、
全然、平気。


ついに、マモちゃんの部屋に泊まったテルコは、
これで本命の彼女になれると浮かれ、
彼の部屋の掃除や洗濯に精を出すも、
なぜか、その日以来、
彼からの連絡が途絶えてしまう。


3か月後。
久し振りのマモちゃんからの電話に、
大喜びで待ち合わせ場所に行くと、
そこには、彼と一緒に、
年上の女・すみれ(江口のりこ)がいた。
え・・・?
マモちゃん、その人、誰?・・・。





とても評判がいいという、この映画。
劇場に行ったら、
前の回も、私が観た回も、その次の回も、
全ての席が埋まっていて、
立ち見のチケットまで出ているくらいの、
大盛況。
ネット予約していって、良かった。


観客は主に、若い女性。
きっと、主人公のテルコに、
自分を投影したり、反発したり、と、
様々な理由で、
口コミで広まったのだろう。


私は、テルコよりは、ずっと年上だけれど、
いい年ぶっこいて、
いつまでも中2みたいな、馬鹿みたいなところがあって(笑)、
同じ経験はないけれど、
もし私が、マモちゃんみたいなタイプの子に出会っていたら、
自分もこうなっていたのかなぁと、
そんな思いで、観ていた。


まぁ、私は、
たとえ恋する相手が、
風邪で寝ていて、
呼び出されたとしても、
料理なんかしないけどね(笑)。
買い物するとしても、
コンビニ弁当だな(笑)。


それは、私が、
恋する相手に一生懸命にならない女、というわけではないし、
ガサツを気取って、自分を守っている、というわけでもないし、
そんな重い女じゃないのよ、とアピールしているわけでもなく(笑)、
一生懸命になる部分が違うという事だけど。
私と親しい人なら、
知ってるよね(笑)。


それから、どう考えても、
自分を愛してくれていない男性、
それどころか、
他の女性に恋しちゃってる男性に、
私はそこまで一生懸命にはなれないなぁ(笑)。
どんなに張り合ったって、
必死こいたって、
その人の中で1番になれないなら、
2番でも、100番でも、同じじゃん、って。


その、マモちゃんの中で1番の女性、
江口のりこさん演じるすみれさんが、
物凄い存在感で。


うわー、なんだこの人、って、
めちゃくちゃ圧倒された。
ずっと見ていたかった。


江口のりこさんって、
いままでも、色々な映画で観ているはずなんだけど、
なぜ、その凄さに気付かなかったんだろう。
それとも、
この映画のキャラが特別なのか。
これから、注目していきたい。


評価 ★★★★☆

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「永遠の人」 [映画]

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〔1961年/日本〕


阿蘇の農村に、
大地主の息子・小清水平兵衛(仲代達矢)が
戦地から負傷して帰ってきた。
平兵衛は、幼馴染のさだ子(高峰秀子)が
美しく成長している事に驚くが、
さだ子は、同じく幼馴染の隆(佐田啓二)と恋仲で、
隆の復員を待ちわびていると知る。


さだ子を自分のものにしたいと考えた平兵衛は、
ある日、彼女の家に押し込み、
凌辱する。
さだ子は、汚れてしまった自分の体を思い、
自殺するも死にきれず、
泣く泣く平兵衛の家に嫁ぐ。


12年後。
3人の子供を生んださだ子だったが、
平兵衛への憎しみは消えず、
家庭の中は、およそ平和とは遠い状態だった。
特に、凌辱された際にできた
長男・栄一(田村正和)を、
さだ子はどうしても愛する事ができず、
そのせいか、栄一は学校で問題ばかり起こす。


自分の出生の秘密を知った栄一は自死し、
平兵衛とさだ子の仲は、
ますます険悪になってゆく。
数年後、
隆の息子と、さだ子の娘が恋仲になり、
2人を大阪に駆け落ちさせたさだ子に、
平兵衛は怒り狂い・・・。





私は女だから、
女としての感想しか持てないけど、


この平兵衛って男は、
頭がおかしいんじゃないだろうか。


自分が凌辱した女と、
無理矢理結婚したって、
和気藹々とした、笑顔の絶えない家庭なんて
築けるわけがないのは、
最初から、分かっているではないか。


一度も自分に心を開こうとしないさだ子に苛立ち、
当り散らしたって、
全ての出来事の発端は自分。
後悔して苦しむしかない。


自分が手に入れたい女がいたら、
それなりの手順ってものがあるだろう。
当たって当たって、
それでも砕けてしまったら、
諦めるしかないのに、
大地主の息子という立場を利用して、
他人を自在に操ろうとするなど、
言語道断。


高峰秀子さん演じるさだ子の、
平兵衛に対する憎しみの強さったら、
それはもう、尋常ではないくらい。
その演技には身震いしてしまう。


そして、可哀相なのは子供たち。
こんな夫婦の間に生まれなかったら、
特に長男は、
もっと素直な、いい子になっていただろうに、
完全に親の犠牲になっている。


そして、さだ子は、
大人になった次男に、
あるショックな事を言われる。
でも私だったら、
泣いて言い返しそう。
「お前に何が分かる」って。
そんな事を言うくせに、
金の無心だけはしてくるとは、
自分勝手にもほどがある、って。


私個人としては、
さだ子の娘と、隆の息子が
駆け落ちした場面は、
さだ子の夢を子どもたちが叶えてくれたような気がして、
なんだかとっても嬉しかったのよ。
自分の夢の道具に、
子供を使ってはいけないのは分かっているけど、
この場合、別にさだ子が仕向けて
そうなったわけではないし。


ラストは多少、救われるような描き方だけれど、
それは登場人物たちが、
年を重ね、
人を許すという事でしか、
自分を救う方法が無いという事か。


評価 ★★★★☆

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「ブラック・クランズマン」 [映画]

BLACKKKLANSMAN.jpg
〔2018年/アメリカ〕


1970年代。
コロラドスプリングス警察に、
初の黒人刑事として採用された、
ロン(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は、
退屈な資料室に配属されるも、
その後、念願の情報部員になる。


ある日、ロンは、
白人至上主義団体「KKK」の
メンバー募集の新聞広告を見て、
電話を掛ける。


電話口で、
有色人種に対する罵詈雑言をぶちまけたロンは、
KKKから、ぜひ面接に来てほしいと言われてしまう。


しかし、それではロンが黒人だとバレてしまう。
苦肉の策として、
同僚の白人刑事・フリップ(アダム・ドライバー)が
ロンの代わりにKKKに潜入し、
内部調査をする事になるが・・・。





おもしろいな、この原題。
ポスターを見てもわかるように、
「BLACK」と「KLANSMAN」の間に、
「K」の文字が入っている。
「KKK」がドンと、真ん中に挟まっている。


そもそも、「クランズマン」ってどういう意味なのかと、
観る前に調べたら、
「KKKの団員」という意味だそうだ。
黒人の、KKKの団員か。
そりゃ、有り得ないわ(笑)。


スパイク・リー監督らしい、
人種差別を描いた、
軽いようで重い映画だったけど、
設定に、ちょっと無理があるような。


KKKと、最初に電話で接触したのは、
確かに、黒人のロンだったけど、
直接、面接に行ったり、幹部に会ったり、
内部調査をするのはフリップなのだから、
その後の電話のやり取りは、
全てフリップがした方がいいように思うのだけれど。
なんで、その後も二人一役を続けなければならないのか。


個人的にショックだったのは、
KKKの女メンバーが、
爆弾を仕掛けようとするのを、
ロンが取り押さえて、
手錠を掛けようとしたとき、
ちょうど通りかかったパトカーが、
ロンを悪人だと思い込み、
銃口を向け、暴力を振るった場面。


女は、
「この黒人は、私をレイプしようとしたのよ!」とのたまい、
そうなると、もう、
警察官の耳には、ロンの言う事など、
聞こえはしない。
あぁ、人は見た目が10割だ。


それにしても、KKK。
私は、白人といえば、
有色人種以外の人は全て白人で、
誰もがKKKのメンバーになれると思っていたのだけれど、


ユダヤ人や、アイリッシュなども、
KKKの敵意の対象になるらしい。
つまりは、WASP限定、という事か。
それでいったら、
日本人なんか、袋叩きでしょうな(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「恋愛だけじゃダメかしら?」 [映画]

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〔2012年/アメリカ〕


フィットネス番組の人気トレーナー・キャメロン・ディアスは、
恋人・マシュー・モリソンの子を妊娠する。
予期せぬ出来事に、喜びと戸惑いが交錯し、
モリソンと、出産や育児について意見が対立してばかり。


ベビー用品店を経営するエリザベス・バンクスは、
2年がかりでようやく妊娠。
夫・ベン・ファルコーンと共に、
夫の父・デニス・クエイドに報告に行くと、
クエイドの若い後妻・ブルックリン・デッカーも妊娠していると告げられる。


カメラマンのジェニファー・ロペスは不妊に悩み、
実子は諦め、
エチオピアから養子ももらう決断をする。
夫も賛成しているかに見えたが、
実は彼は、大変に不安な気持ちを隠している。


ホットサンドの車販売をするアナ・ケンドリックは、
高校時代の同級生・チェイス・クロフォードと再会し、
軽い気持ちで一夜を共にするが、
なんと妊娠。
クロフォードと一緒に暮らし、
出産に備えるが・・・。





人気女優たちが、妊娠・出産・養子の問題を
コミカルに演じる、
デリケートなテーマにしては軽い映画。


出産するにしても、
養子をもらうにして、
やっぱり主役は女で、
男は添え物というか、蚊帳の外というか、
種馬・・・いやいや、そこまでは言わないが(笑)。


しかし、男たちも、
大人しくしているわけではなく、
「パパ友の会」みたいなものを作って、
「男も子育て頑張ってます」みたいな様子を見せてはいる。
そこは現代的かな、とは思う。


元々は、
妊娠のガイド本としてベストセラーになったものを
モチーフにしているそうだけれど、
出てくるカップルたちみんなが、
アメリカ社会の中ではかなり裕福な生活をしている
人たちだと思われ、
みんながみんな、
この映画のようにはいかないんじゃないかと思ったりもする。


私は妊娠・出産より、
アナ・ケンドリックとチェイス・クロフォードの
カップルの恋の行方が気になる。


2人は、一度の関係で妊娠してしまったせいで、
交際0日で、同居を余儀なくされる。


本当は、お互いの事をとても好きなのだけれど、
そのせいで素直になれず、
「妊娠したから、仕方なく一緒にいるんだ」みたいな
思い込みにとらわれてしまっている。


簡単に関係して、妊娠するような事態は、
決して褒められる事ではないけれど、
なんだか切なくて。
どうか、2人が上手くいきますようにと、
願わずにはいられなかった。


評価 ★★★☆☆

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「家庭日記」 [映画]

kateinikki.jpg
〔1938年/日本〕


大学生の佐分利信は、
金と将来のために、
付き合っていた恋人・三宅邦子と別れ、
家柄のいい高杉早苗と結婚する。


一方、佐分利の親友・上原謙は、
周囲の反対を押し切り、
バーの女給・桑野通子と結婚し、
駆け落ち同然で大連に行く。


数年後。
大連から上原夫妻が戻ってきて、
佐分利の家の近くに住むことになった。
上原は、
派手で、主婦らしい事ができない桑野との結婚を
後悔しており、
佐分利の結婚生活を羨ましく思っている。


ある日、高杉と桑野が一緒に出掛けた先で、
桑野の大連時代の友達とバッタリ再会する。
その友人は東京で美容院を開いたと言い、
高杉は、名刺をもらって帰ってくる。


高杉の持ち帰った名刺を見て、
佐分利は驚く。
そこには、自分がかつて捨てた三宅邦子の名前が書いてあったからだ・・・。





二組の、
対照的な夫婦を描いただけだというのに、
これが大変に面白い。


片方は、
理詰めで物を考え、
自分の不利になるような方向には
絶対に行かない佐分利信。


もう片方は、
ロマンティストで、
その時の熱情で動いてしまい、
あとで後悔する上原謙。


どちらが幸せか、なんて
比べる事はできないけれども、
少なくとも、佐分利信は、
自分を不幸だとは思っていない、というか、
自分の進む道に間違いはないと、
確信している。


妻は貞淑で、
大きな間違いをおかすことはないし、
妻の実家からは、金銭の援助もある。
不満を持つ要素は全くない。


その点、上原謙は、
優柔不断だ。
あれほど恋した女も、
冷めてみれば、それほどでもなく、
経済的にも、佐分利のようなわけにはいかない。


世の中には、
「もしも、あの時・・・」と考えるのは
嫌いだという人がいる。
過去は変えられないのだから、
考えても仕方がないと。


でも、この映画は、
人の「もしも」の心を
ものすごく刺激するから、
面白く、評価も高いのではないかと思う。


桑野は蓮っ葉な女だけれど、
やはり母親。
子供への愛情だけは深い。
それが、途中、
上原の父に、息子を取られそうになってしまう。


そこで悔し紛れに放った彼女の言葉が凄い(笑)。
今なら十分あり得る言葉だけど、
おそらく当時は、ビックリだったんじゃないのかなぁ。
何を言ったかは、
ここには書かないけれども。


評価 ★★★★☆

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