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「99歳 母と暮らせば」 [映画]

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〔2019年/日本〕


試写会で観た。


99歳の母親の介護をするため、
神奈川県藤沢市の、
母の家に移り住んだ、
谷光章監督による、セルフドキュメンタリー。


99歳の高齢者を介護する事が、
綺麗事でないのは分かっているけれど、
あぁ、なんて、面白い親子なんだろうと、
笑ってしまうし、
会場からは、笑い声が絶えない。


というのも、
介護される、お母様の千江子さんが、
なんともユーモラスで、
話す言葉の一つ一つが、とても気が利いている。


それを受けて、返答する、
監督の言葉も、また可笑しく、
2人はまるで、親子漫才みたいだ。


私が一番強く感じたのは、
監督の優しさと、心の広さ。
千江子さんが、
どんなにワガママを言っても、
笑って受け流し、決して声を荒げたり、怒ったりはしない。


カメラが回っているから、と言ってしまえばそれまでだけど、
それだけではない、
なんというか、
子供の頃、母からもらったものを返している、
という印象を受ける。


想像だけど、
千江子さんは、深い深い愛情で、
子供たちを育てたのだという気がする。


認知症とはいえ、
千江子さんのハーモニカの腕前には、
感心してしまった。
人間、好きな事、得意な事だけは
決して忘れないものなのだと、
脳の不思議さを思ったりもする。

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上映後、監督によるトークショーがあった。


認知症の方の介護は、
相手の言う事を否定しない事が大切だと言われる。


例えば、過去の事で多少の記憶違いがあったとしても、
ここは家であり、
重大会議の場ではないのだから、
そうだね、そうだったねと、
肯定してあげれば、
お互い上手くいくのだと。


介護のする上での大切な、「あいうえお」
あ ありがとう
い イライラしない
う うろたえない
え 笑顔で
お 怒らない


私は、介護というものをした事がないので、
何か言う資格はないけれど、


これは、介護だけでなく、
人生の全ての場所で当てはまりそうな、
五カ条だ。


観終わった後も、少しの間、
千江子さんの様子が頭から離れなかった。


評価 ★★★☆☆

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