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「家庭日記」 [映画]

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〔1938年/日本〕


大学生の佐分利信は、
金と将来のために、
付き合っていた恋人・三宅邦子と別れ、
家柄のいい高杉早苗と結婚する。


一方、佐分利の親友・上原謙は、
周囲の反対を押し切り、
バーの女給・桑野通子と結婚し、
駆け落ち同然で大連に行く。


数年後。
大連から上原夫妻が戻ってきて、
佐分利の家の近くに住むことになった。
上原は、
派手で、主婦らしい事ができない桑野との結婚を
後悔しており、
佐分利の結婚生活を羨ましく思っている。


ある日、高杉と桑野が一緒に出掛けた先で、
桑野の大連時代の友達とバッタリ再会する。
その友人は東京で美容院を開いたと言い、
高杉は、名刺をもらって帰ってくる。


高杉の持ち帰った名刺を見て、
佐分利は驚く。
そこには、自分がかつて捨てた三宅邦子の名前が書いてあったからだ・・・。





二組の、
対照的な夫婦を描いただけだというのに、
これが大変に面白い。


片方は、
理詰めで物を考え、
自分の不利になるような方向には
絶対に行かない佐分利信。


もう片方は、
ロマンティストで、
その時の熱情で動いてしまい、
あとで後悔する上原謙。


どちらが幸せか、なんて
比べる事はできないけれども、
少なくとも、佐分利信は、
自分を不幸だとは思っていない、というか、
自分の進む道に間違いはないと、
確信している。


妻は貞淑で、
大きな間違いをおかすことはないし、
妻の実家からは、金銭の援助もある。
不満を持つ要素は全くない。


その点、上原謙は、
優柔不断だ。
あれほど恋した女も、
冷めてみれば、それほどでもなく、
経済的にも、佐分利のようなわけにはいかない。


世の中には、
「もしも、あの時・・・」と考えるのは
嫌いだという人がいる。
過去は変えられないのだから、
考えても仕方がないと。


でも、この映画は、
人の「もしも」の心を
ものすごく刺激するから、
面白く、評価も高いのではないかと思う。


桑野は蓮っ葉な女だけれど、
やはり母親。
子供への愛情だけは深い。
それが、途中、
上原の父に、息子を取られそうになってしまう。


そこで悔し紛れに放った彼女の言葉が凄い(笑)。
今なら十分あり得る言葉だけど、
おそらく当時は、ビックリだったんじゃないのかなぁ。
何を言ったかは、
ここには書かないけれども。


評価 ★★★★☆

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