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「暖流」 [映画]

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〔1957年/日本〕


日疋祐三(根上淳)は、
余命幾許もない志摩博士から、
病院の立て直しを依頼される。


志摩博士の長男・泰彦(船越英二)は、
医師とは名ばかりの無能な男で、
病院の内部は腐敗しきっていた。


日疋は、病院の深い内情を知るために、
看護婦の石渡ぎん(左幸子)に声を掛け、
スパイのような行動を頼む。
ぎんはそれを引き受けるが、
それは、日疋を愛するが故であった。


しかし、日疋は、
志摩博士の娘・啓子(野添ひとみ)に
好意を寄せていた。


志摩博士の死後、
日疋の尽力で、新院長が決まり、
泰彦や、仕事のできない者は、
追放されたのだが・・・。





長編だという、原作小説を、
94分という短い映画に押し込んだせいか、
駆け足な感じがして、
深みはあまりない。


話がどんどん進むので、
感情移入がしにくいのだと思う。
それに、根上淳演じる主人公が、
恩人の博士の頼みとはいえ、
安い報酬で、
なぜ人々からこれほど憎まれることを
懸命にしなくてはならないのか、
よく分からない。


原作はきっと、
もっと面白いんだろうなぁと思う。


船越英二の馬鹿っぽさが可笑しい。
いつも変な歌を歌っていて、
とても医者とは思えない、っていうか、
あんな医者は嫌だ(笑)。


で、やっぱり彼は医者には向いていなかったらしく、
病院を追放されたあとは、
バレエスタジオだか、
芸能プロダクションだか、
そんなものを経営するようになる。
うん、そっちの方が絶対合ってるって(笑)。


しっかし、いくら病院を追放されたとはいえ、
息子には変わりない。
根上がどんなに頑張ったって、
結局、血縁者には勝てない。
観ていて、虚しくなる。


本当は、もっとメロドラマなんだろうけど
増村保造監督の、いつもの演出のせいか、
なんだか奇妙な味わい。
真面目何だか、ふざけてるんだか、
よく分からない映画になっちゃってて(笑)。
まぁ、野添ひとみさんが大変に美しく、
それを見られただけで満足。


評価 ★★★☆☆





以前、リクエストをいただきましたので、
増村保造監督の映画を観た際は、
必ずリストを載せる事にしました。


(★は観た作品)


★くちづけ(1957年)
★青空娘(1957年)
★暖流(1957年)
★氷壁(1958年)
★巨人と玩具(1958年)
★不敵な男(1958年)
★親不孝通り(1958年)
★最高殊勲夫人(1959年)
★氾濫(1959年)
★美貌に罪あり(1959年)
★闇を横切れ(1959年)
★女経 第一話 耳を噛みたがる女(1960年)
★からっ風野郎(1960年)
★足にさわった女(1960年)
★偽大学生(1960年)
 恋にいのちを(1961年)
★好色一代男(1961年)
★妻は告白する(1961年)
★うるさい妹たち(1961年)
★爛(1962年)
★黒の試走車(1962年)
★女の一生(1962年)
★黒の報告書(1963年)
 嘘(オムニバス・第1話プレイガール)(1963年)
 ぐれん隊純情派(1963年)
 現代インチキ物語 騙し屋(1964年)
★女の小箱より 夫が見た(1964年)
★卍(1964年)
★黒の超特急(1964年)
★兵隊やくざ(1965年)
★清作の妻(1965年)
★刺青(1966年)
★陸軍中野学校(1966年)
★赤い天使(1966年)
★妻二人(1967年)
★痴人の愛(1967年)
★華岡青洲の妻(1967年)
★大悪党(1968年)
★セックス・チェック 第二の性(1968年)
★積木の箱(1968年)
★濡れた二人(1968年)
★盲獣(1969年)
★千羽鶴(1969年)
★女体(1969年)
★でんきくらげ(1970年)
 やくざ絶唱(1970年)
★しびれくらげ(1970年)
★遊び(1971年)
★新兵隊やくざ 火線(1972年)
★音楽(1972年)
 御用牙 かみそり半蔵地獄責め(1973年)
★悪名 縄張荒らし(1974年)
★動脈列島(1975年)
★大地の子守歌(1976年)
★曽根崎心中(1978年)
 エデンの園 Il giardino dell'Eden(1980年)
★この子の七つのお祝いに(1982年)

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