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「ブルックリン最終出口」 [映画]

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〔1989年/西ドイツ〕


1952年、ブルックリン。
主要産業である鉄工所が現在ストライキ中で、
街は、労働者たちで溢れかえっている。


組合の責任者・ハリー・ブラック(スティーブン・ラング)は、
経費を自由に使える立場にあったが、
使い過ぎがバレ、要職を失う。


娼婦のトララ(ジェニファー・ジェイソン・リー)は、
美人局のような事をして金を稼いでいたが、
偶然知り合ったスティーヴ中尉とベッドを共にするうちに、
彼を愛し始めた自分に気付く。
しかし、中尉が朝鮮戦争に出兵してしまい、
どうしようもない気持ちを持て余す。


労働者のジョー(バート・ヤング)は、
娘が妊娠している事に気付く。
お腹はもう、相当大きくなっている。
赤ん坊の父は、
同じ工場で働くトミー。
なんとかトミーと娘を結婚させなければ・・・。





昨日書いた、「番格ロック」について、
調べていたら、
この映画に行き当たった。


なんでも、「番格」は、
この「ブルックリン最終出口」の雰囲気を目指していたという。


そんな風に言われたら、
居ても立っても居られないではないか。
すぐにレンタル店を検索すると、
在庫している。
借りに走る。


しかし、この映画の公開は1989年で、
1973年の「番格」より、ずっと後だ。
目指したというのは、
おそらく1964年に発表された原作小説の事なのだろう。
「番格」は、コテコテの日本のスケバン物であり、
こちらは、アメリカの労働者階級の人々や娼婦の、
八方塞な現実を描いたもので、
ちょっと違う感じがするし、
あくまでも小説の雰囲気を真似たってだけで。


で、映画。


よく、今の日本で、
「最近の若者は加減を知らず、相手が死ぬまで殴り続ける」といった
常套句を聞くけれども、
ここに出てくる人々の攻撃的な事ったらない。
そんなに殴ったら死んでしまう、と思うくらい、
一度殴り始めたら、容赦する事がない。
向こうの人の闘争本能って、
日本人とは違うと本気で思う。


映画の中の、2つの恋心が切ない。


1つは、ハリー。
彼には妻子があるのだけれど、
ゲイのレジーナに激しく惚れてしまう。
しかし金の無い男に用はない、とばかりに、
レジーナにこっぴどく振られ、
気持ちの行き場を無くす。


人の気持ちは理屈ではない。
ハリーの思いを責められる人なんているんだろうか。


そしてトララ。
彼女は、薄っすらと惚れ始めた少尉から、
別れ際に手紙をもらい、
彼も同じ気持ちでいる事を知る。


けれど、
彼女は、男を数だけはこなしていても、
本当の恋を知らず、
それまで生きてきたのだろうと想像でき、
どうすればいいのか分からないのだろうと思う。


その後の、彼女の身の処し方の壮絶さに驚く。
救いは、
それを彼女が自分の意思でしたという事だけ。
言葉を失う場面だった。


評価 ★★★☆☆

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