「キセキ あの日のソビト」 [映画]
〔2017年/日本〕
ミュージシャンを目指すジン(松坂桃李)は、
厳格な医者の父(小林薫)から猛反対を受け、
鉄拳制裁に耐える日々。
ジンの弟・ヒデ(菅田将暉)は、
ジンほど反抗的ではなく、
歯科医になるため、大学に入る。
しかし、ジンの影響で友人たちとバンドを組む事に。
ジンのバンドがレコード会社の目に留まるが、
自分たちのやりたい音楽をさせてもらえず、
話は頓挫してしまう。
そんな中、
ジンは、ヒデの作ったデモテープを、
レコード会社の担当に聞かせる。
そのクオリティの高さに、
メジャーデビューが決まり、CDが発売される。
しかし、大学の勉強と音楽活動の両立が難しいヒデに、
迷いが生じ・・・。
試写会で観た。
音楽グループ、GReeeeNの、
誕生からデビューまでの物語。
私はGreeeeNについては、
「まぁ知っている」という程度だけれど、
全く知らないかたでも、
普通の青春映画として楽しめると思う。
バンドや音楽グループを描いた映画っていいな。
特に邦画。
私が一番最初に思い出して、一番好きなのは、
「フィッシュストーリー」だけど、
他にも、
「少年メリケンサック」や「ソラニン」や、
「リンダ リンダ リンダ」や「グッモーエビアン!」などなど、
どれも面白かった事を思い出す。
この「キセキ」は、
話しが面倒くさくないのがいい。
言葉は悪いけど、単純で、
分かり易い。
回想シーンも、時間が前後する事も、
複雑な人間関係もない。
でも、一直線な青春映画はそれでいいんだと思う。
それにしても、運命って面白い。
あんなに必死になって音楽をやっていた兄のバンドは、
結局プロにはなれず、空中分解してしまったというのに、
軽い気持ちで始めた、
弟の音楽グループは、
今は、知らない人はいない(は、大げさか(笑))
GReeeeNになってしまうのだから。
私は、兄のバンドも好きだけどね。
ギターかき鳴らすような、ハードなロック。
レコード会社の人は、
「メタルなんて古い」と、
一般受けするような音楽への変更を求めてくるけど、
私はあれはメタルとは思わないし、
世間が、似たような音楽で溢れかえっていたら、
それこそ面白くないのに。
GReeeeNというグループの事を、
「羨ましい」と友人が言っていた事を思い出す。
歯科医をしながら、プロのミュージシャンとは、
生活の保障があるうえで、
好きな事でも金を稼げる二足の草鞋ではないか、と。
言いたい事は分かるけどね。
他に、そのような形で音楽活動してる人っていただろうかと考えたけど、
私の頭に浮かんだのは、
小椋佳さんくらい。
1つだけ。
いつもいつも、
自分と価値観が合わないというだけで、
有無を言わせず、息子を激しく殴る父親ってどうなのよ。
見るに堪えない、醜悪な場面。
青春映画だから、
最後は和解したみたいに描かれてるし、
現実にも、和解しているのかもしれないけど、
「子供に何をしても、最後は許される」なんて
こういったものを見て、思ってしまう親がいるとしたら、
それは大きな間違いだと思う。
ちなみに、サブタイトルの、
「ソビト」とは、
「素人・空人」と書いて、
「自由に新しい事に挑戦してゆく人」という意味の
GReeeeNによる造語なのだそうだ。
評価 ★★★☆☆