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「マッドマックス2」 [映画]

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〔1981年/オーストラリア〕


近未来。
石油がほぼなくなり、
奪い合いになっている地球。


オーストラリアの砂漠地帯は、
無法状態となり、
暴走族が君臨し、旅する者のガソリンを奪う。


旅を続けるマックス(メル・ギブソン)も
暴走族集団に狙われ、
死闘を展開し、相手を倒す。


彼は、暴走族に狙われているコミューンに行き、
彼らが持っている石油を、
安全な場所へ運ぶ事にするが・・・。





もうすぐ劇場公開される「マッドマックス」のリメイク版を前に、
まだ観ていない、2と3を観ておこうと思い、
借りてきた。


とはいえ、1作目は、
ずっと前にビデオで観たきりで、
細部は忘れている。
果たして「2」を観て、
楽しめるかどうか心配だったけれど、
単独作品として面白かった。


最近では多い設定だけれど、
34年も前のこの映画の頃から、
「荒れ果てている近未来」というのは、
定番だったのね。


それから、生き残った善人たちが、
コミューンを作って、集団生活しているというのも、
よく見る光景。
まぁ、単独でいるよりずっと、
力強いだろうし、
自分もそうするだろうとは思うけれど。


それにしても、
石油が枯渇しているというのに、
まだ暴走族がいるってのが可笑しい。
意味もなくバイクを飛ばして、
石油を無駄に消費するより、
もっと意義のある使い方があるだろうに。


メル・ギブソン演じるマックスが、
世捨て人のようで、クールで、
カッコいいけど、ちょっと悲しい感じもする。
前作で大変に辛い目に遭った彼は、
決して他人に心許そうとはしないし、
一匹狼という言葉がピッタリだ。


でも、やっぱり最後は、
コミューンの人々の為に戦うのよね。
それは、彼が失ったものを、
コミューンの人々の中に、
新たに見出したからだろうかと、
ちょっと考えたりもして。


オーストラリアって広いんだなぁと、
あらためて思う。
砂漠なんて、どこまでもどこまでも続いて、
映画の撮影にはピッタリじゃないか、なんて、
関係者でもないのに思ったりして(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「大いなる遺産」 [映画]

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〔1946年/イギリス〕


13歳の少年ピップは、両親を失い、
今は姉夫婦に養われている身。
ある日、彼が一人で墓地に行くと、
足枷をした脱獄囚に遭遇し、
食べ物とヤスリを持ってこいと命令される。


命令に従ったピップだったが、
結局脱獄囚は逮捕される。
しかし、連行される寸前、
彼はピップを思い遣る言葉を発する。


その後、ピップは、
近所の邸宅に住む女・ハヴィシャムさんの養女・エステラの
遊び相手に選ばれ、通うようになる。
エステラは心の冷たい少女だったが、
その美しさに、ピップは強く心惹かれる。


しかし、そんな日々も長くは続かなかった。
14歳になった彼は、
鍛冶屋の見習いとして、
働かなくてはならなかったからだ。


6年後、20歳になったピップに、
突然、弁護士から連絡が入った。
ある人物がピップに莫大な財産をくれるというのだ・・・。





ディケンズの最高傑作小説と言われているそうだ。


少年ピップが、
名前を明かさない人物から、
莫大な財産を譲り受けるのだけれど、
観ている者は、
その人物の候補者が2人いる事を知っているので、
どちらなのかと考える。


その設定って、ちょっとワクワクしない?(笑)
というか、
ピップが羨ましいわ(笑)。
そんな部分に注目する話じゃないのは分かってるけど、
欲深い私は、自分がそんな運命にあったらどうしようかと、
くだらない事ばかり考えてしまう。


ピップは貧しい青年から、
いきなり大富豪になって、
故郷から義理兄が訪ねて来た際に、
その野暮ったい容貌に
恥ずかしさを覚えるんだな。


つまり彼は、完全に調子こいちゃったわけで、
そのあたりに、
ディケンズの教訓めいたものが、
あるんじゃないかと思われる。


ただ、私には、この教訓が上手く自分の中に
入ってこなくて。
情けない人間だと思うわ。


それより、
掴まった脱獄囚が、
ピップの為に発した一言の方がずっと
心惹かれる。
一番好きだと思った場面はそこ。


イーサン・ホークとグイネス・パルトロー主演で、
同じ話が現代版としてリメイクされている。
ちゃんと理解するためにも、
そちらの方も観てみようと思う。


評価 ★★★☆☆

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「張込み」 [映画]

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〔1958年/日本〕


都内の質屋で店主が殺され、犯人の1人が逮捕される。
警察は、逃亡中の共犯者・石井(田村高廣)が、
佐賀で暮らす昔の恋人・さだ子(高峰秀子)の所に行くのでは、と考え、
2人の刑事・下岡(宮口精二)と柚木(大木実)が現地に行く。


さだ子の家の向かいの宿に部屋を取った下岡と柚木は、
ひたすら見張りを開始する。
さだ子は現在、銀行員の後妻になっており、
かいがいしく夫と夫の3人の連れ子の面倒をみていた。


さだ子は地味な老けた女で、
とても、逃亡中の殺人犯の昔の恋人という風情ではない。
旅館の女将や女中の噂では、
吝嗇で口やかましい夫からは、
生活費もその日の分しか貰えないらしい、との事だ。


そんな女の所に、
石井は来るのであろうか。
数日経っても、何も変わらないさだ子の様子に、
この張込みに、次第に懐疑的になる2人の刑事だったが、
1週間ほど経ったある日、
さだ子に変化が現れる・・・。





松本清張の原作は何度も読んでいる。


今、手元にある新潮社の文庫本で、たった24ページの短編小説を、
2時間の映画にするって、どんな風なんだろうと、
以前から興味があったけれど、
なかなか機会がなくて、
昨日、やっと観る事ができた。


とてもよくまとまっている。
評価が高いのも理解できた。
あの地味な短編小説を適度に膨らまし、
けれど、付け加えられたエピソードは
決して邪魔になっていない。


銀行員の後妻となり、
夫と継子の為に、
懸命に家事をこなす女。
毎日が判で押したように、
決まった時間に、決まった事をし、
そうやって人生を過ごす女。


旅館の2階から彼女を見ているうちに、
彼女に対して、
同情のような、親しみのような感情を抱くようになる
刑事たち、特に若い柚木の心の動きが、
観ているこちらにも、強く伝わってくる。


原作には無い、
2人の刑事の私生活の映像が時折はさまれるのがいい。
当たり前の事だけれど、
彼らも、家に帰れば自分の生活があり、
様々な事情を抱えている。
そして、さだ子の張込みを続けるうちに、
自分の事情と、彼女の人生を重ね合わせる。


松本清張は、
推理小説作家として認識されているけれど、
じつは、恋愛の表現者としても、
大変な名手だと、どなたかが書いた文章を読んだことがある。
本当にそうだと思う。
微妙な女心の描き方がめっちゃ上手い。
彼の本がいまだに多くの方に読まれているのは、
そういった面もあるからなのだろうなと、
一人で納得している。


評価 ★★★★☆

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