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「旅愁」 [映画]

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〔1950年/イタリア〕


イタリアからアメリカに向かう飛行機の中で、
隣り合わせた、
マニナ(ジョーン・フォンテーン)と、
デイヴィッド(ジョゼフ・コットン)。


ところが、その飛行機が故障し、
ナポリの空港に一時降りることに。
出立まで時間がある事から、
2人はナポリ観光に出かけるが、
戻ってみると、ちょうど飛行機が飛び立ったところだった。


困った2人だが、
せっかくだからと、ポンペイやカプリ島を
数日間、一緒に巡る事に。


楽しい旅。
2人の気持ちは、
いつの間にか、
友情から、恋へと発展する。


ところが、観光の途中で新聞を読んだところ、
2人が乗るはずだった飛行機が墜落し、
死亡者リストに名前が載っていて・・・。





イタリアで暮らすアメリカ人のピアニストと、
一人旅をしていた、アメリカ人の会社社長で技師。


そんな2人が出会って、
イタリア各地を旅すれば、
そりゃあ、恋に落ちるのも無理はなかろう。


問題は、たった1つ。
男には妻がいるんだな。


ただ、映画を観ているこちらは、
最初から、2人を知っているものだから、
どうしても感情移入してしまい、
困ってしまう。


だって、男と妻は、
目下、離婚の話し合い中で、
妻が、うんと言わないだけ。


そんな所に、自分たちが死んだ事になっていると
新聞で知れば、
そりゃあ、ラッキー!てなもんであろう。
美しい、ここ、フィレンツェで、
人生の再出発をしようって。


こういう場合、
私が(っていうか、誰もが?)不安になってしまうのは、
やっぱり、生活の心配。
2人で暮らすのはいいけれど、
食べていけるんだろうかと。


でも、大丈夫。
男は大金持ちで、
銀行にはたんまりお金があるらしい。


これはもう、
一体どこに問題が?(笑)


で、その後、
2人はフィレンツェで、
それはそれは、愛情いっぱいに暮らしているんだけど、
それで映画が終わるわけもなく、
やっぱり彼の妻に生きている事が分かってしまう。


まぁ、とりあえず、
性格の悪い人が一人も出てこないので、
とげとげした気持ちにならずに観ていられる。


ラスト、私だったらどうするかな。
マニナとは違う選択をするかも。


評価 ★★★☆☆

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「新婚七つの楽しみ」 [映画]

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〔1958年/日本〕


ある場所で、街頭インタビューが行われている中、
南川悠一(川崎敬三)と、中川康子(若尾文子)が、
言い争いになった。
悠一は、「女は主婦になって家庭を守るべき!」
康子は、「女だって仕事をすべき!」
という意見で、対立したのだ。


1年後。
悠一と康子は、
熱烈な恋人同士となっていた(笑)。
2人は結婚し、
車で新婚旅行へ。


すると、途中で、
車が故障して困っている中年夫婦(島ひろし・ミス・ワカサ)に
出会った。
夫婦は、悠一たちに、
「新婚には七つの楽しみがある」と教える。


「七つの楽しみ」を、
これから2人で見つけていこう。
そう決めた悠一と康子の、
甘い新婚生活が始まるが・・・。





大喧嘩から始まった男女が、
恋に落ち、1年後に結婚。


その1年間の過程が描かれていないのが、
逆の面白く、
2人の待ち合わせの場面で、
「あんたたち、いつの間に」という思いで、
笑ってしまう。


そんな2人を演じる、
若尾文子さんと、川崎敬三さんカップルが、
微笑ましく、可愛い。


物語は明るく、ポップで、
お話がどんどん進んでいくが、
そう感じる理由の一つに、
島ひろしさんと、ミス・ワカサさんの出演があると思う。


このお二人は、夫バツ3、妻バツ4の夫婦だと言い(笑)、
若尾さんたちと、新婚旅行の途中で知り合い、
偶然にも、同じアパートに引っ越してくる。


大阪出身という事で、
コテコテの大阪弁に、
ステレオタイプの大阪人気質、
2人が出てくる場面は、まるでコント(笑)。


私は、島ひろしさんも、ミス・ワカサさんも、
存じ上げないのだけれど、
大阪の芸人さんなんだろうか。


それから、
船越英二さんが、川崎敬三さんの、
会社の先輩の役で出てくるのだけれど、
ある日、船越さんは、
「実家の父親に勧められている見合いを断りたいから、
 若尾さんを恋人という事にして、
 親父に会ってほしい」と言ってくる。


で、レストランで、
若尾さんに会った父親は大喜び。
「これはいい!女優の若尾文子にソックリだ!」って(笑)。


1958年。
まだ、女性は、結婚したら
専業主婦になる人が殆どだったのだろう。
若尾さんが主張する、
「働く主婦」が、とても新しい事のように描かれる。
もちろん今だって、
結婚するとなれば、
色々迷いはあるだろうけど、
その意識は、全然違うもののように思える。
古い邦画を観ていると、
当時の日本人の考え方が伝わって来て、
面白い。


評価 ★★★☆☆





この作品で、
若尾文子さんの出演映画、163本中136本を観た事となりました。


(★は観た作品)


★春の雪 (2005)
★竹取物語 (1987)
★ある映画監督の生涯 溝口健二の記録 (1975)
★幻の殺意 (1971)
★男はつらいよ 純情篇 (1971)
★スパルタ教育 くたばれ親父 (1970)
★座頭市と用心棒 (1970)
★天狗党 (1969)
★千羽鶴 (1969)
★濡れた二人 (1968)
★積木の箱 (1968)
★不信のとき (1968)
★鉄砲伝来記 (1968)
★華岡青洲の妻 (1967)
★砂糖菓子が壊れるとき (1967)
★妻二人 (1967)
★夜の罠 (1967)
★雪の喪章 (1967)
 処女受胎 (1966)
★赤い天使 (1966)
★雁 (1966)
★氷点 (1966)
★処女が見た (1966)
★刺青 (1966)
★妻の日の愛のかたみに (1965)
★不倫 (1965)
★清作の妻 (1965)
★帯をとく夏子 (1965)
★女めくら物語 (1965)
★波影 (1965)
★花実のない森 (1965)
★幸せなら手をたたこう (1964)
 悶え (1964)
★卍(まんじ) (1964)
★獣の戯れ (1964)
★傷だらけの山河 (1964)
★「女の小箱」より 夫が見た (1964)
★温泉女医 (1964)
★新・忍びの者 (1963)
★越前竹人形 (1963)
★女が愛して憎むとき (1963)
★わたしを深く埋めて (1963)
★女系家族 (1963)
★八月生れの女 (1963)
★雪之丞変化 (1963)
★しとやかな獣 (1962)
★秦・始皇帝 (1962)
★瘋癲老人日記 (1962)
★その夜は忘れない (1962)
★やっちゃ場の女 (1962)
★仲よし音頭 日本一だよ (1962)
★閉店時間 (1962)
★爛(ただれ) (1962)
★雁の寺 (1962)
★家庭の事情 (1962)
★妻は告白する (1961)
★新源氏物語 (1961)
★銀座のぼんぼん (1961)
★女は二度生まれる (1961)
★女の勲章 (1961)
★東京おにぎり娘 (1961)
★好色一代男 (1961)
★お嬢さん (1961)
★婚期 (1961)
★花くらべ狸道中 (1961)
★銀座っ子物語 (1961)
 素敵な野郎(1961)
 鎮花祭 (1960)
★偽大学生 (1960)
★安珍と清姫 (1960)
★勝利と敗北 (1960)
★ぼんち (1960)
★からっ風野郎 (1960)
★女は抵抗する (1960)
★女経(じょきょう) (1960)
★初春狸御殿 (1959)
★浮草 (1959)
★実は熟したり (1959)
★美貌に罪あり (1959)
 花の大障碍 (1959)
★次郎長富士 (1959)
★氾濫 (1959)
★山田長政 王者の剣 (1959)
★薔薇の木にバラの花咲く (1959)
★最高殊勲夫人 (1959)
★あなたと私の合言葉 さようなら、今日は (1959)
★新婚七つの楽しみ(1959)
★母(1958)
★娘の冒険 (1958)
★夜の素顔 (1958)
 嵐の講道館(1958)
★一粒の麦 (1958)
★息子の結婚 (1958)
★口笛を吹く渡り鳥 (1958)
★愛河 (1958)
★忠臣蔵 (1958)
★螢火 (1958)
★東京の瞳 (1958)
 妻こそわが命(1958)
★青空娘 (1957)
★夕凪 (1957)
★誘惑からの脱出 (1957)
★永すぎた春 (1957)
★朱雀門 (1957)
★慕情の河 (1957)
 続銀河の都 (1957)
★スタジオはてんやわんや (1957)
 銀河の都 (1957)
 君を愛す (1956)
★四十八歳の抵抗 (1956)
★日本橋 (1956)
★涙 (1956)
 スタジオは大騒ぎ (1956)
★あさ潮ゆう潮 (1956)
★滝の白糸 (1956)
★処刑の部屋 (1956)
★新婚日記 恥ずかしい夢(1956)
★新婚日記 嬉しい朝(1956)
★赤線地帯 (1956)
★虹いくたび (1956)
★新妻の寝ごと (1956)
★花嫁のため息 (1956)
 薔薇の絋道館 (1956)
★弾痕街 (1955)
 七人の兄いもうと (1955)
★珠はくだけず (1955)
★長崎の夜 (1955)
★幻の馬 (1955)
 娘の縁談 (1955)
★薔薇いくたびか (1955)
★月に飛ぶ雁 (1955)
 幸福を配達する娘 (1955)
★螢の光 (1955)
 勝敗(1954)
 荒城の月 (1954)
★月よりの使者 (1954)
 緑の仲間 (1954)
★浅草の夜 (1954)
 慕情 (1954)
★舞妓物語 (1954)
★酔いどれ二刀流 (1954)
★或る女 (1954)
★心の日月 (1954)
★十代の誘惑 (1953)
 無法者 (1953)
★続続十代の性典 (1953)
 春雪の門 (1953)
★祇園囃子 (1953)
★続十代の性典 (1953)
★チャタレー夫人は日本にもいた (1953)
 怒れ三平 (1953)
★十代の性典 (1953)
 彼女の特ダネ (1952)
 街の小天狗 (1952)
 秘密 (1952)
★明日は日曜日 (1952)
★花嫁花婿チャンバラ節(1952)
★母子鶴 (1952)
★猛獣使いの少女 (1952)
★死の街を脱れて (1952)
 娘初恋ヤットン節(1952)
★長崎の歌は忘れじ (1952)
 生き残った弁天様(1952)

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かわいい親子の大パンダメリー。 [できごと]

上野動物園でシャンシャンが生まれて以来、
その愛らしさに夢中になり、
このブログでも、
何度となく、パンダについてのレビューを書いているのですが、


そんな私に、
ブログのお友達のにゃごにゃごさんが、
レトロなパンダのおもちゃをくださいました。


家に帰って、
ゼンマイを巻いて、
ちゃぶ台の上で走らせてみましたら、







あまりの可愛さに、大爆笑。
人って、嬉しい時、楽しい時、
声をあげて笑うのは当然ですが、
可愛いものを見ても笑っちゃうものなんですね。


この可愛さ、面白さを、
にゃごにゃごさんや、友人たちにも見てほしくて、
動画に撮り、
youtubeを開設するほど、
熱が入ってしまいました(笑)。







にゃごにゃごさんに見ていただいたら、
やはり大笑いしてくださったとの事。


ならば、せっかくなので、
もっと多くのかたに見ていただこうと、
ブログに載せる事にしました。








このおもちゃは、
にゃごにゃごさんが、
お家の片づけをされていたら、
出てきたものなのだそうです。


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箱の写真と、実物とが、
微妙に違うところがまたいいですし(特に赤ちゃん)、
古いもの、和のものが大好きな私の家の和室の、
ちゃぶ台や、畳の雰囲気にも、
よく合っていると思いました。


こんな可愛い物をくださった事も嬉しかったですし、
ともすれば、沈みそうになるこんな状況の中、
私の事を思い出してくださったこと、
本当に嬉しかったです。


どうもありがとうございました。

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「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」 [映画]

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〔1984年/アメリカ〕


1933年。
間もなく、禁酒法が廃止されようとする中、
3人のギャング、
マックス(ジェームズ・ウッズ)、
パッツィー、
コックアイが、
密造酒を運搬中に、警察に射殺される。
密告したのは、仲間のヌードルス(ロバート・デ・ニーロ)。
組織は彼を探すが、辛うじて逃亡に成功する。


35年後。
何者かが、逃亡先のヌードルスの元に、墓地の管理者を騙って手紙を寄越し、
帰ってくるように仕向けた。
それが偽の手紙だと分かってはいたが、
ヌードルスは引き寄せられるように、故郷に舞い戻る。


懐かしいニューヨーク。
1920年代、
少年だったヌードルスは、
マックスら、仲間と共に、
小金を稼いでいたが、
それを快く思わないチンピラ・バグジーに襲われ、
彼を殺め、逮捕されたのだ・・・。





3時間半近い、とても長い映画だけれど、
面白くて、
繰り返し観てしまった。
納得いかない場面や、
確認したい場面は早戻ししたりもして、
映画の世界観を堪能した。


物語は、3つの時代から成り立っている。
ロバート・デ・ニーロ演じる、主人公のヌードルスの、
少年時代、青年時代、そして、初老となった現在。


時間は前後するが、
話がしっかりしているので、
混乱することなく、
見入ってしまう。


少年時代、
のちに仲間となる、マックスとの出会い。
ヌードルスとマックスの関係は、
とても複雑で、
親友なんだけど、
互いに、どこか心を許していないように見える。
ハリネズミ同士みたいな。


そして、初恋。
ヌードルスは、ギャング仲間の妹・デボラに恋していて、
彼女がダンスの練習をするのを、
いつも、壁の穴から覗いていた。


ヌードルスは出所後、
デボラと再会、
彼女のために、海辺の高級レストランを貸し切り、
2人だけの食事を。


でも、この2人の会話もまた、
緊張感でいっぱいで。
「あなたの事は好きだけど、あなたは私を束縛するわ」と
言ったデボラは、
「女優になるために、明日、ハリウッドに行く」と宣言。


その後のヌードルスがしたことは最低だけど、
2人の微妙な関係を表しているとも言えて、
必要な場面だったのかも、と思う。


デボラの少女時代を、
ジェニファー・コネリーが演じているのだけれど、
その美しさったらない。
ヌードルスでなくても、
誰でも恋してしまうだろう。


その後、互いに初老になった彼女との再会と、
その後の顛末は、
観ているこちらも、ショックで呆然としてしまう。


ロッカーのカギ、
鞄に入った現金、
墓に刻まれた名前、など、
ミスリーっぽさもあって、
大変に面白い一本。


評価 ★★★★★

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「みをつくし料理帖」 [映画]

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〔2020年/日本〕


享和二年・大阪。
共に8歳の澪と野江は、
とても仲の良い幼馴染であったが、
大洪水が町を襲い、
離れ離れになってしまう。


10年後。
孤児になった澪(松本穂香)は、大阪の料亭の女将(若村麻由美)に引き取られ、
江戸に移住し、
蕎麦屋「つる家」で、
料理人として働く事になった。


澪の料理は、
大阪風で、江戸っ子の口には合わず、
悩んでいたが、
試行錯誤の末、
評判の料理を作り出すことに成功する。


そんなある日、
吉原から、又次(中村獅童)という使いの者がやって来る。
まぼろしの花魁と呼ばれる、
あさひ太夫のために、
料理を作ってほしいと言うのだ・・・。





試写会で観た。


映画の試写会で、
ゲストが出演される時は、
私の場合は、
あくまでも、映画に添えられたイベント、という気持ちでいるのだけれど、
今回は、超特別(笑)。


なんと、上映前に、
ユーミン様がご登壇されたのです。

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昔、乙女だった人、
今、乙女の人、
そして、
昔、乙女だったけど、今でも乙女だと言い張っている人 ← 私だ(笑)
そんな多くの女性たちが(もちろん男性もですが)
きっとユーミンの事を大好きであろうし、
私にとっても教祖様。
永遠の憧れ。


ステージに登場されたユーミンは、
黒のお着物で、それはもう素敵。
さすが、呉服店のお嬢様だけの事あって、
裾さばきも慣れておられるし、
何より、座り姿が大変に綺麗。
「そっか、着物で椅子に座る時は、足をああすればいいんだ」と
勉強させていただきました。


この映画は、
角川春樹さんの監督作品という事で、
角川さんとユーミンの、
1時間のトークショーがあったのだけれど、
やはり、角川映画とユーミンは、
切っても切れない関係。


「ねらわれた学園」の主題歌「守ってあげたい」や、
「時をかける少女」で、原田知世さんに提供した同名曲。
この曲をユーミンがライブで歌う時、
自ら、「時をかけるババア」と紹介された事もありました(笑)。


で、この「みをつくし料理帖」の主題歌を、
ぜひ作ってほしいと
角川さんが依頼され、
出来上がった素晴らしい歌「散りてなお」を歌われたのが、
手嶌葵さん。


手嶌さんも、リモートでご出演なさって、
「散りてなお」をフルで歌ってくださった。


映画は、大阪から江戸にやって来た、
松本穂香さん演じる澪が、
数々の困難を乗り越え、
女料理人として成長してゆく物語。


ポスターのお名前を見ると分かるように、
出演陣も、大変な豪華さ。
角川映画でスターになった、
薬師丸ひろ子さんや、渡辺典子さんが登場した時は、
顔が勝手に笑っちゃった。


御年78歳の角川春樹さんは、
この作品で、映画監督は最後と仰っておられたけど、
今どき、78歳なんて、まだまだ若い。
これからも、いい映画を作ってほしいなぁ。


評価 ★★★☆☆

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