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「鯨神」 [映画]

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〔1962年/日本〕


九州のある漁師町で育ったシャキ(本郷功次郎)は、
「鯨神」と呼ばれる巨大な鯨に、
祖父・父・兄を殺され、
いつか必ず復讐したいと思っている。


村の長(志村喬)は、「鯨神」を殺した者に、
自分の娘・トヨ(江波杏子)と、
全ての財産を譲ると宣言する。


それを聞いて、心穏やかでないのが、
村の娘・エイ(藤村志保)。
シャキとエイは惚れ合っているが、
シャキが「鯨神」を倒したら、
シャキは、トヨの婿になってしまう。


「鯨神」の捕獲に、シャキ以外に名乗りを上げた者がいた。
それは、紀州(勝新太郎)という、
よそ者の荒くれ男。


ついに「鯨神」が
姿を現した。
漁師たちは総出で沖に向かうが・・・。





勝新太郎さんが出ているから、
観てみたんだけど、


なんと、原作者が宇能鴻一郎さんと知ってビックリ。


本当に、不勉強でお恥ずかしい話だけれど、
宇能鴻一郎さんって、
官能小説専門の作家さんじゃないんだ、と
軽くショック。


しかも、この「鯨神」は、
第46回芥川賞を受賞しているそうだ。
あぁ、本当に物を知らないって恥ずかしい。
よそで、余計な事を言わなくて良かった(笑)。


で、この映画、
勝新さんが主演だと思っていたら、
本郷功次郎さんが主演。


本郷さんは、見た目は
ちょっと可愛いっぽいけど、
中々男らしい男だ。


彼が「鯨神」を倒したいと思う心には、
一点の邪心もない。
褒美である、
村の長の娘と財産など、
彼にとっては関係ない。
とにかく、家族を殺した「鯨神」に
復讐したいだけ。


それと比べて勝新さんは、
目の前の欲望に勝てないようで、
本郷さんに恋い焦がれる藤村志保さんを
手籠めにするなど、嫌な役。


動物に復讐するお話の場合、
どんなに相手を憎いと思っていても、
ある種の、
尊敬と畏怖がなければ、
物語に深みは生まれないと、
以前、「マタギ」を観た時、思ったけれど、
 ↓
https://aomikamica.blog.ss-blog.jp/2016-09-30


この映画にも、
やはり、それに通じるものがある。
シャキは、どこか「鯨神」に対する
敬意の心があって、
ラストも中々深い。


評価 ★★★☆☆

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