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「とむらい師たち」 [映画]

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〔1968年/日本〕


ガンメン(勝新太郎)は、
どこかの家に死人が出ると、
乗り込んで行っては、
デスマスクを作っている。


ガンメンは、
霊柩車の運転手・ラッキョウ(多賀勝)
役所の戸籍係・ジャッカン(藤村有弘)
整形外科医・センセイ(伊藤雄之助)
を仲間に引き入れ、
「国際葬儀社」、略して「国葬」を立ち上げる。


「国葬」では、あらゆる死に関する仕事、
例えば、
死者への美容整形、
遺言の吹き込み、
堕胎した水子の慰霊祭などを手懸け、
さらに、テレビにまで出演し、
その名は、全国に広まってゆく。


しかし、「国葬」が
あまりにビジネスに走りすぎ、
死者に対する敬意を失った事に
嫌気が差したガンメンは、
仲間たちと別れ、独自の道を歩み始める・・・。





「人間にとって100%と言い切れるのは、死ぬことだけ」


これは、よく耳にする言葉だけれど、
勝新太郎さん演じるガンメンも、
その発想があったらしく、
最後は誰でも葬儀社の世話になるという考えで、
死をビジネスにしてゆく。


といっても、暗いというわけでなく、
俳優さんたちは大真面目なのに、
観ているこちらは笑ってしまうという、
ブラックで、
不思議な味わいの映画。


まず、ガンメンのデスマスク作りの儀式(?)が凄い。
亡くなった人に対して、
石膏を叩きつけるように塗りたくり、
遺族はその横で、泣いている。
現実に、あんなことがあったら、
不謹慎だけど、
私は、笑いをこらえるのに必死になるだろう(笑)。


とにかく、全編、
死に関する場面ばかりだけど、
圧巻は、
水子の霊の慰霊祭の場面。
この慰霊祭に、身に覚えのある女性たちが、
多数集まってくるのだけれど、
そこで、ガンメンは、
物凄く不気味な胎児が描かれた看板を披露し、
現場は大混乱。
賽銭ザクザク(笑)。


ガンメンが実在の人物だとしたら、
今の、
簡素化された葬儀、
「家族葬」や
「直葬」などを見て、どう思うのだろう。
いや、私は、
冠婚葬祭は、できるだけ簡素がいいと思う方なので、
今の世の中の方が好きだけど。


そして、ラスト。


まさか、こんな最後だとは、
観ている人は、誰も思いつかないのではないか。


金儲けに狂奔した人間たち。
天罰とも言えるようなショックな終わり。
コロナにやられている今だから、
余計心に突き刺さる。
このラストは、笑えない、シャレにならない。


評価 ★★★☆☆

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