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「左様なら」 [映画]

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〔2019年/日本〕


高校1年生の由紀は、
中学からの同級生・綾から、
引っ越す事を告げられる。


ところが、翌日、
綾が交通事故で亡くなる。
そして、それは事故でなく、
自殺だったのでは、という憶測が、
学校中に広がる。


クラスのリーダー格の女子・ユカが、
綾について、
酷い物言いをしているのを聞いた由紀は、
花瓶の水をユカにぶっかける。


その日から、由紀は、
クラスの中で浮いた存在になってしまう・・・。





試写会で観た。


ヒリヒリする。


学校という、狭い世界、
なんと難しく、息苦しく、大変な空間だったのだろうか、と、
今思うと、
よく自分は通えていたな、と、
本気で思う。


主人公の由紀は、
淡々とした性格の子で、
クラスで浮いた存在になってしまっても、
それほど気に病んでいるようには感じられない。
それが救い。


それに、何度も、
「私、ハブられてるから」と言うのだけれど、
クラス一丸となって無視されているわけでなく、
ライブに誘ってくれる男子もいるし、
告白してくる男子もいるし、
遠足で同じ班になる女子もいる。
ただ、リーダー格の女子に、
ちょっと目を付けられてるってだけで。


だから、いたたまれないというような
辛さはない。
ただ、心がヒリヒリするだけ。
大げさないじめなどがない分、
とてもリアル。


それに、リーダー女子だって、
席を外せば、仲間たちから悪口を言われている。
もう、それって、
職場でも、町内会でも、趣味のサークルでも、
さらには、おそらく老人ホームでも、
死ぬまで続く、人間関係なのだろう。


上映後、
石橋夕帆監督のトークショーがあった。

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原作は数ページの漫画だそうで、
それを膨らませて、
登場人物も増やして、
映画作りをされたのだそうだ。


解釈は、人それぞれでいいと話され、
リアルを感じる方もいれば、
こんな学校あるわけない、という人がいてもいい、
というお話しをされた。


監督さん、大丈夫です。
私は、本当にリアルだと思いました。
とてもいい映画です。
私はすごく好きです。


評価 ★★★★☆

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「ワンス・アポン・ア・ タイム・イン・ハリウッド」 [映画]

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〔2019年/アメリカ〕


1960年代。
テレビドラマの俳優で、
かつては人気者だった
リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)も、
今は落ち目。


最近は、悪役や、単発ゲストの仕事ばかりで、
今後の人生に、
不安と焦りを感じている。


そんなリックを、親友で、専属スタントマンでもある
クリフ・ブース(ブラッド・ピット)は、
支え続けてきた。


そんなある日、
リックの隣の家に、
映画監督のロマン・ポランスキーと、
監督の妻で女優のシャロン・テートが
引っ越してくる・・・。





この映画のニュースを聞いた時から、
このミーハーな心のときめきを抑える事ができず、
公開を楽しみにしてきた。


なんと、
私の王子・プリオと、
今まで肉眼で見たスターの中で
一番カッコいいと言い切れるブラピとが、共演。
 ↓
https://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2017-05-24
そりゃあ、ときめくな、という方が無理であろう(笑)。


さらに、監督がクエンティン・タランティーノ、
そして、扱うテーマが、
猟奇殺人に多大な興味を寄せる私が、
 ↓
https://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2019-06-25
詳しく知りたいと思っている、
シャロン・テート殺人事件ときた日には、
好きなおかずだけが乗った大皿を、
目の前に差し出された気分。


で、実際観た感想は、といえば、
期待通りで、面白かった。


さすが、映画の黄金期を描いた作品というだけあって、
実在のスター・スティーブ・マックイーンなどが出てくるんだけど、
特に、ブルース・リーには大笑い。


ヒッピー文化の最盛期という事もあって、
ヒッピーのコミューンの雰囲気も面白いし、
そこに、黄色いアロハを着て、
ずんずん入っていくブラピがまた、カッコいい。
なんか、好きなシーン。


そして、最大のみどころ。
いよいよ、シャロン・テートの事件が起こるか!?
という場面。


これがまた、
興味深くて。
うん、そうか、なるほどねと、
思わされる場面。


プリオとブラピのコンビもいい。
人気低迷に泣くプリオを、
ブラピが、よしよしして、
サングラスを貸してやるシーンなんか、
別に変な意味じゃないのに、
なんか、ときめくー(笑)。
いい男が2人揃うって、
なんて気分がいんでしょ(笑)。


評価 ★★★★☆

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「孤狼の血」 [映画]

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〔2017年/日本〕


1988年。
広島・呉原市。
街は、古くからある暴力団・尾谷組と、
新興組織・加古村組とが、
一触即発の状態だった。


そんな中、
呉原東署に、
広島大学を卒業した、
エリート新米刑事・日岡(松坂桃李)が赴任、
ベテラン刑事・大上(役所広司)と組むことになる。


大上は、
暴力団との癒着や、
強引な捜査など、
黒い噂が絶えない男で、
日岡は、早速、彼のペースに巻き込まれてゆく。


そんなある日、
加古村組の系列企業の経理担当が失踪。
大上は日岡を引き連れ、捜査を開始するが・・・。





出だしから、
激しい暴力シーンで、
目を背けてしまう。


豚小屋での、
あんな事や、そんな事。
ゲロ吐きそうなシーンの連続。
人って、拷問しようと思えば、
どんな場所でも、
どんなものでも使えるって事なのね。


役所広司演じる刑事が、
正義の味方なのか、
悪徳警官なのかが分からなくて、
その演技に圧倒されながら、観る。


現実に彼のような刑事がいるかどうかは分からないけど、
世の中の、
想像を絶するような
悪人と対峙するには、
悪人より、さらに上をいく迫力を持ってしか
立ち向かえないだろうから、
あれくらいの刑事はいるのかなぁ、とも思う。


実際、刑事の集団と、
ヤクザの集団って、
見分けがつかないとも聞くし。


それにしても、
この原作を書いたのが、
女性というのが、
何より凄い。


この発言が、性差別になるとしたら、
申し訳ないのですが、
女性があんな激しいバイオレンスを描くとは、
私の中に、無いイメージだったから。


続編も準備中という事で、
楽しみだ。


特に、エリートの松坂桃李君が、
どんな刑事になってゆくのかが、
ものすごく気になる。


本作の彼は、
役所広司の暴れん坊っぷりに唖然とし、
それを止めるという役だったけど、
今後、どういう人間に成長してゆくんだろう。


エリートを貫くのか、
役所さんのやり方を踏襲するようになるのか。


評価 ★★★★☆

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「エセルとアーネスト ふたりの物語」 [映画]

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〔2016年/イギリス〕


1928年、ロンドン。
牛乳配達のアーネストと、
メイドのエセルが出会い、
恋に落ち、
結婚する。


ウィンブルドンに家を買った2人の間に、
息子・レイモンドが生まれ、
幸せな家庭生活だったが、
第二次世界大戦が勃発。


レイモンドだけが疎開し、
激しい戦火の中でも、
笑いを忘れない2人。


戦争が終わり、
レイモンドも成長し、
エセルとアーネストにも、
老いが忍び寄り・・・。





試写会で観た。


イギリスのイラストレーター、
レイモンド・ブリッグズが、
自分の両親の一生を描いたアニメ。


特別な事は、何も起こらない。
平凡という言葉が、
これほどしっくりくる夫婦はいない、というくらい、
普通で、
でも、平凡で、平穏に暮らせることが、
どれほど幸せな事か、と教えてくれる。


でも、平凡な中にも、
もちろん、家族だけの
小さなドラマがある。


レイモンドが生まれる時、
とても難産で、
高齢出産のエセルは、
2人目の子供は無理だと医者に言われたり、


レイモンドが一人で疎開する時、
エセルが泣き崩れたり、


せっかく入れた、レベルの高い学校を、
レイモンドが中退し、
美術学校に入ってしまい、
ガッカリしたり・・・


・・・って、殆どのエピソードが、
レイモンド絡みね。
子供が家庭の中心になって、
喜びや希望、時に失望をもたらしてくれるのは、
どこの国も同じなようだ。


どこの国も同じ、といえば、
エセルと、隣の家の主婦が、
子供の事で、何かと張り合うのも、
人間はどこも同じだなぁと思う。


エセルが、レイモンドが優秀な事を
自慢げに話したり、
その後、レイモンドが悪さして、
警察車両で帰ってきた時、
隣の主婦が探りを入れてきたり(笑)。


それから、
エセルが、
レイモンドのお嫁さんを
ちょっと気に入らなかったり、
2人の子供について口にしたり、
レイモンドたちが買った家に文句を付けたりなど、
面倒くさいなー、と思う部分もあった(笑)。


いや、それは仕方ない。
レイモンド・ブリッグズさん自身が、
現在85歳。
つまりエセルは、
1890年頃、生まれたという事で、
今とはモラルも感覚も、
全然違っていたのでしょうね。


評価 ★★★☆☆

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「セカイイチオイシイ水 マロンパティの涙」 [映画]

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〔2019年/日本〕


女子大生の明日香(辻美優)は、
友人から、
フィリピンにボランティアに行かないか、と誘われる。
気乗りがせず、断るも、
「素敵な出会いがあるかも」
「就職にも有利」などと説得され、
渋々、承知する。


ところが、当日、友人がインフルエンザで渡航不可能に。
仕方なく、一人で、
マニラから300キロ南にある村・パンダンに行った明日香は、
ボランティアのリーダー・岩田(赤井英和)の指導の下、
地面に、水道を引くための穴を掘る作業をする事に。


パンダンには水道がなく、
人々は、濁って、塩分含んだ水を飲むしかない。
明日香のホームステイ先の、
10歳ほどの少女・アミーは、
その水のせいで、腎臓病を患っている。


アミーとすっかり仲良しになった明日香は、
活動に力が入るようになり・・・。





試写会で観た。


フィリピンの貧しい村に、
水道を引くために、
一生懸命になる女子大生の物語。


観ていて、気持ちがいい。
なぜだろう、と考えてみたら、
気乗りがしないまま、パンダンの地にやって来た、
主人公の明日香だけど、
穴を掘る作業を、
一度でも、
「手が汚れる」とか、
「服が汚れる」とか、
「日に焼ける」とか、
「疲れた」とか、
言わないからだと気が付いた。


たとえ不本意であっても、
一度やると決めたからには、
不平不満を言わない。
そんな姿勢がいいし、
私も見習いたいところだ。


明日香は、このプロジェクトに最後まで関わっていたいと
思うようになり、
その後、何度もフィリピンに通うようになる。


私が、このようなボランティアに携わることは、
おそらく一生ないだろうけど、
明日香の気持ちは、理解できる。
少しでも、工事に関わった人なら、
水道が完成した瞬間の達成感は、
何にも代えがたいし、
その場に立ち会いたい、
と思うのが人情なのではないだろうか。


上映前に、
赤井英和さん、辻美優さん、目黒啓太監督による
舞台挨拶があった。

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辻さんは、アニー役の少女と、
折り紙を介して、
交流を深めたり、
赤井さんは、
現地のエキストラの方の親切に感動したなどの
お話しをされ、
和やかな舞台挨拶だった。


辻さんがとっても綺麗で、
ブルーグリーンのワンピースが、
似合っていて、素敵。


赤井さんが、
普通のおじさんみたいに、
緊張しながらお話しされているのも、
面白かった。


評価 ★★★☆☆

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