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「プーサン」 [映画]

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〔1953年/日本〕


予備校教師の野呂(伊藤雄之助)は、
冴えない中年男。
彼は、税務署員・金森風吉(藤原釜足)の家に
間借りしている。


予備校では、威張りくさった経営者から、
昼間だけでなく、
夜の授業まで押し付けられ、
生徒からは軽んじられ、
それでも、何も言えない。


野呂は、金森の娘で銀行員のカン子(越路吹雪)に
片思いしている。
何とか彼女と結婚できないかと、
あれこれ画策する。


ある日、野呂は、
学生に誘われ、
デモに参加するが、
その姿が新聞に大きく載ってしまい、
予備校をクビになる・・・。





伊藤雄之助演じる、
冴えない中年男の日常を描いた物語だけれど、
これが、何とも不思議な味わいで、
どう説明したらいいのか分からないけど、
面白い。


元々は、
毎日新聞に連載されていた、
横山泰三さんの4コマ漫画「プーサン」を
市川崑監督が映画化したのだそうだ。


伊藤雄之助さんも、とっても良いのだけれど、
私の一押しは、
越路吹雪さん演じるカン子。
素晴らしすぎる。


と思っていたら、
この映画、
「プーサン」だけでなく、
同じ横山さんの漫画、
「ミス・ガンコ」のエピソードも加えられているそうだ。
やっぱり(笑)。


この、カン子、
お世辞にも美しいとは言えず(ごめんなさい(笑))、
ガサツで、
ガンコで、
めっちゃ変わってる。


銀行の勤めを終えて、
帰ってくるのが、毎晩22時過ぎ。
母親が心配して、色々尋ねると、
どうやら、もう一人残業している人と張り合っていて、
「負けるのが癪だから、1分でもあとから職場を出る」んだと。


ひゃ~、信じらんない(笑)。
しかも、手当はうどん一杯だけだという。
私も会社は大好きだけど、
いくら好きでも、
帰りにグズグズするのは嫌だよ。
時間になったら、とっとと帰りたい(笑)。


で、母親に頼まれた野呂が、
様子を見に行くと、
蛍光灯だけの、暗い銀行内で、
カン子と、もう一人の行員が、
相手の様子を伺いながら、
無理に仕事を作って、残業している。
そのシュールな絵面ったらない(笑)。


カン子と野呂が、
デートする場面がある。
行き先は、ストリップ。
しかもそれは、カン子の希望。


カン子は、無心にお菓子を食べながら(←ここが重要(笑))、
食い入るようにステージを観ている。
むしろ、男性の野呂の方が、
困っているようで、
周囲をキョロキョロと見回している。


50年代の風俗はよく分からないけど、
カップルで来ているのは
彼らだけでなく、他にも何組もいる。
ただし、カン子たちと違うのは、
他のカップルはピッタリと体を寄せ、
ストリップを媚薬にしているように、
見受けられる。
恋人同士ですらないカン子と野呂だけが、
場内でも浮いている・・・。


あぁ、この感じ。
私の文章力では表現できない面白さ。
どう書きゃいいんだ、
と思うけど、まぁ、仕方ない。
これが限界だぜ(と開き直る(笑))。


できれば、
カン子を主人公に一本映画を撮って欲しかった。
もちろん、カン子役はそのまま越路吹雪さんで。


あれ、主演の伊藤雄之助さんでなく、
越路さんの事だけで、
原稿用紙が終わってしまった(笑)。


評価 ★★★★☆

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「喜劇 泥棒大家族 天下を盗る」 [映画]

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〔1972年/日本〕


福岡の筑豊炭田のある集落。
貧しそうに見えるその村だが、
人々の生活はなぜか豊か。


それもそのはず、
この村は、
親分・猪狩時之助(植木等)を頭に、
全員が強い絆で結ばれた、万引き集団。
定期的に、全国の有名デパート行脚をし、
商品を大量に盗み出す。


村の入り口には、
交番があり、
若い巡査・藤山(米倉斉加年)は、
彼らを逮捕しない上層部に
苛立ちを募らせるが、
老巡査・森川(伴淳三郎)は、
「万引きは現行犯が全て。どうする事もできない」と言う。


しかし、森川も何もしていないわけではない。
あるきっかけで、
村人全員の集合写真を撮った彼は、
それを全てのデパートに送っていたのだ・・・。





何だかどこかで観たような話だな、と思っていたら、
以前に観た、
「白昼堂々」という、
渥美清さん主演の映画と同じネタなのだそうだ。


しかし、なぜだろう、
この「泥棒大家族」は結構面白く観たのに、
「白昼堂々」の方は、
よく覚えていない。
ネットの評価も悪くはないので、
悪い映画ではないと思うのだけれど、
私には合わなかったのだろうか。


まぁ、「白昼堂々」はさておき、
この映画、
集落の全員が泥棒という大変な村が舞台。
なんと、実話だというから驚く。


いかにも貧しそうな家々が並び、
全員が生活保護を受けているというのだけれど、
家の中はビックリ。
当時としては、
豪華な家電やベッドがあり、
とても金が無いとは思えない生活っぷり。


そりゃそうだ。
それもこれも全部、
村人が万引きをして、
それを売って稼いだ金で買ったものだもの。
その収益を税務署に届けるわけがないものね(笑)。


そして、警察や民生委員が村に入ってくると、大変。
各家の中には、
歯車があり、
それを動かすと、壁が回って、
家電やソファーが隠れ、
貧しそうな、家具が現れるという仕組み。
からくり屋敷みたいでワクワクする。


っていうか、
派手な家電なんかより、
古い家具の方が、
21世紀のこの時代、
レトロモダンで、
私にはずっと素敵に思えるんだけど(笑)。


それから、村人たちの、
万引きのテクニックが凄い。
連係プレーとは、この事か、と。
どんな犯罪も、共犯者が多ければ多いほど破綻しやすいと、
今まで思ってきたけれど、
彼らの絆は、
共犯者などという言葉では片付けられない。
村全員の問題なので、
チャッチャと事が運ぶ。


狭い集落にありがちな、
男女問題の複雑さも、
またすごい。


現在ムショに入っている犬塚弘さんが出所するまで、
嫁にあてがう男を選ぶというのだが、
犬塚さんが、
ある条件を出し(どんな条件かは私には書けない(笑))、
それに従って、
あるものの品評会が行われる(それが何かも私には書けない(笑))。
村中が兄弟姉妹かよって(笑)。


ラストもシャレている。


評価 ★★★★☆

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「喜劇 負けてたまるか」 [映画]

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〔1970年/日本〕


大学を中退し、就職もできず、
日々の暮らしに困っていた寺川友三(谷啓)は、
作詞家先生・奥田斗志夫に弟子入りすることになった。


しかし、奥田からはロクな扱いをしてもらえず、
さらに、
奥田の事務所で働く
寺川良子(浜美枝)と、
一線を越えてしまい、
強引に結婚させられる。


その後、奥田から破門を言い渡された友三は、
CM会社を作り、
これが軌道に乗る。
しかし、この会社は、
良子の元の夫に乗っ取られてしまう。


ひょんなことから、
深夜の生CMに出演した友三は、
アドリブが受け、
一躍大スターになるが・・・。





友人が送ってくださるDVDの中に、
クレージーキャッツの映画が沢山あり、
ここの所、立て続けに観ているわけだけれど、
その殆どが
植木等さん主演の、
出世もの。


それに対して、
本作は谷敬さん主演。


植木さんが、失敗も少なく、
とんとん拍子に出世街道を進んでゆくのに対して、
この映画の谷敬さんは、
失敗の連続。
上手くいきかけると、失敗、
そして、それをバネに成功して、また失敗、
の繰り返し。


でも、それがいい。
おしゃれでダンディな植木さんも大好きだけれど、
まん丸で、人の好さそうなお顔、
小太りな谷敬さんは、
植木さんより身近にいそうで、
親近感いっぱい。


それに、こんな彼でも、
結構女性にモテる。


浜美枝と、初めて一夜を明かした時、
谷敬さんは酔っぱらっていて、何も覚えていない。
で、恐る恐る、
「僕は昨日、失礼な事をしませんでしたか?」と
尋ねた時の、
浜さんのセリフが、
めっちゃ気に入った。


「据え膳食わぬは男の恥というけれど、
 お膳を据えたのに、食べてもらえないのは女の恥ですものね」と。


男の側からの「据え膳」云々は、
普通に聞く事だけど、
それを女の立場で言うのは、
初めて聞いたから。
「私に恥をかかせないで」くらいだったら、
よくあるけど、
ここでのキーワードは「膳」だから(笑)。


谷さんったら、
作詞家の嫁とも、
いい雰囲気になってるし(笑)。
ああいった容貌の男性には、
女もつい油断するのかもしれない(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「JKニンジャガールズ」 [映画]

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〔2017年/日本〕


忍者の末裔で、現役女子高生の4人の少女たちは、
「JKニンジャガールズ」として、
日々、訓練に余念がない。


そんな中、関西から、
これまた忍者の末裔である、
4人のオッサンたち「忍者オヤジーズ」が、
やって来る。


「忍者オヤジーズ」は、
東京タワーを消滅させ、
首都を大阪にしようと計画している。
彼らは、一般の女子高生に憑依し、
「JKニンジャガールズ」と同じ高校に入ってくる。


本来は敵同士である、
「JKニンジャガールズ」と
「忍者オヤジーズ」だが、
それぞれのグループのメンバー、
霧隠ノエル(浜浦彩乃)と、
大野ノゾミ(井上玲音)が、
親友同士となってしまい・・・。





試写会で観た。


試写会でなかったら、
おそらく、TVで放映されても観なかったであろう(笑)。


しかも、劇場は銀座で、
土曜日で、
集合時間が朝の8時半。
普段の土日なら、朝ごはん食べたあと、
二度寝しようとしている時間だわ(笑)。
そんな早朝、銀座に行くなんて、
まずない事なので、
人や車の少ない通りが珍しくて、
なんだか楽しい体験だった。


主演の8人の女の子たちは、
「こぶしファクトリー」という、
ハロプロのグループなのだそうだ。


以前、つんく氏のファンだった頃、
私は「女のモーオタ」というくらい、
ハロプロのユニットには詳しかったけれど、
最近の事は全く分からない。
このグループも初めて知った。


ただ、
若い女の子たちが集団で何かするって、
やっぱり可愛いな、華やかだな、好きだな、と思う。
この映画も、
馬鹿馬鹿しいながらも、
飽きる事はなく、観てしまう。


そうか、
関西のオッサンたちは、
関東に嫌がらせにやって来るのか。
なるほど(笑)。


しかも、オッサンのくせに、
JKに憑依するとは図々しい(笑)。
「JKニンジャガールズ」に近づくにしたって、
教師とか、用務員さんとか、
他に、何にだってなりようがあろう。


「JKニンジャガールズ」の総監督みたいな役を、
浅野ゆう子が演じているのだけれど、
役名が、「ユリちゃん」(笑)。
緑色の服着て、
都民ファーストだと。
苗字は小池か?(笑)。


評価 ★★★☆☆

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◆アキラとあきら◆ [本]


アキラとあきら (徳間文庫)

アキラとあきら (徳間文庫)

  • 作者: 池井戸潤
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2017/05/17
  • メディア: 文庫


父の経営する町工場が潰れ、
一家で、母の実家の世話になるしかなかった、
山崎瑛(やまざき・あきら)。


海運会社の御曹司として、
帝王学を身に付けた、
階堂彬(かいどう・あきら)。


2人の出会いは、小学5年生。
彬が乗っている高級車に、
瑛が轢かれそうになった時。
車の窓越しに見つめあった2人が、
将来、どのような形で再会するのだろうと、
ワクワクしながら読み進める。


2人は共に、東大を卒業し、
同じメガバンクに就職する。
2人が初めて会話をする場面は、
私が期待していたような、ドラマティックなものではなく、
意外とあっさりしていた(笑)。
でも、
展開が大変にドラマティック。
2人のアキラの優秀さを描くのに、
これ以上の場面はあるまいと思うくらいに。


物語は、
彬の実家の、
会社経営がメインなのだけれど、
この一族の兄弟間の軋轢には、
胸が悪くなりそうだ。


彬の父・一磨と、2人の叔父たち、
そして、彬と弟の龍馬。
叔父たちは一磨に、
龍馬は彬に、
何をしても敵わないことで、
ライバル意識に燃え、
それだけをエネルギーに生きている。
そして、その意識が、
経営に悪影響し、
想像を絶する負債を抱える事になる。


それに比べて、
瑛は、妹の千春(ちいちゃん)を気にかける、
とてもいい兄だ。
アキラとちいちゃん。
名前からして、なんか可愛い。
いいコンビっぽい(笑)


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小説は途切れなく読んでいる方だと思うのだけれど、
池井戸潤さんの作品は初めて。
今や、大人気の作家さんだけど、
何となく、手に取らずに今まできた。
読み応えがあって、とても面白かった。


ところで、この小説、
昨日、読了したので、
こうして感想を書いているわけだけれど、
どうやら、今夜からWOWOWで、
ドラマが放送されるらしい。
あらゆる媒体で広告を見るので、
かなり力が入っているのが分かる。


このタイミングだと、
私まで、宣伝に一役買っているようだけど、
私は有料放送とは無縁なので、
決して宣伝などではないです(笑)。


この本を買ったのも、
タイトルに惹かれただけで。


ドラマの宣伝写真を見ると、
向井理くんと、斎藤工くんが、
両アキラを演じるようだけれど、
とちらが、どちらのアキラの役なのだろう。
ドラマ自体に、それほど強い興味はないけど、
それだけ気になる(笑)。

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