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「夜のバラを消せ」 [映画]

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〔1966年/日本〕


オープンカーを飛ばし、
出会った女を全て虜にしてしまう、
徳川新六(石原裕次郎)。


彼は、政界を陰で牛耳る千成(東野英治郎)の指示で、
日本をダメにする大物たちに、
天誅を加えて回っているのだ。


現在のターゲットは、
政治家・津守(三島雅夫)、
洋品店主・中戸川(永井秀明)、
麻薬王・田門(清水将夫)。


新六は、まず、
津守の妻・高子(宮城千賀子)や、
中戸川の情婦・ゆかり(由美かおる)を篭絡し、
手懐ける。


その後、仕事は順調に進んだかに思えたが、
実はそこには罠があり・・・。





石原裕次郎がスポーツカーを操り、
モテモテで、
女の方から体を投げ出す役を
颯爽を演じている・・・のだけれど、


なんだかちょっと締まらない感じ。
体がモタモタしていて、
あまりカッコよく見えないからかもしれない(笑)。


ただ、言う事はご立派。
例えば、
モノにした高子が、
念を押すように、
「一夜限りの関係よ」みたいな事を言ったら、
「あなたの方が、僕を忘れられなくなったらどうします?」だと(笑)。


女にとって、
そこまで自信たっぷりな男って、どうなんでしょ?(笑)
「あなたが自分で思っているほど・・・」
という事にはならないのかしら?
想像するしかできないけど。


さらに、裕次郎さんは、
眠っている彼女の体に、
勝手に自分のイニシャルの刺青(?)を入れてしまう。
ひゃ~、
そんな事されたら、
今後の彼女の人生、めちゃくちゃだわ(笑)。


そんな裕次郎さんより、
女性たちの方が魅力的。


由美かおるさんは、
まだとっても若くて、
元気で、
小悪魔な感じがいい。


そして、素晴らしいのが芦川いづみさん。
全編、ほぼセリフ無しなのだけれど、
凄い存在感。
ラストの彼女は壮絶。


評価 ★★★☆☆

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「谷崎潤一郎『痴人の愛』より ナオミ 」 [映画]

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〔1980年/日本〕


貿易会社を経営する河合譲治(斉藤真)が、
ナオミ(水原ゆう紀)と出会ったのは、
彼の行きつけのスナックだった。
アルバイトとして働き始めたナオミを
譲治は一目で気に入り、
デートに誘い出す。


同棲を始めた譲治とナオミだが、
最初の一年間、
2人は一線を越える事はなく、
譲治はナオミを理想の女性にするべく、
大切に育てる。


一年目に二人は結ばれるが、
ある日、譲治は、
家の前で、ナオミが若い男・浜田と
一緒にいるのを見てしまう。


「浜田はテニスクラブのお友達」。
そう言い張るナオミの言葉を信じるしかない譲治だったが、
その後、ナオミが不特定多数の男たちと
関係を持っているとの噂を聞き・・・。





先日、
叶順子さんの「痴人の愛」のレビューの中で、
「谷崎潤一郎『痴人の愛』より ナオミ 」という映画があるらしいと
書いたのだけれど、
やっぱり気になってレンタルしてしまった。


今まで観てきた、
古い3本の「痴人の愛」のナオミが、
登場した時から、
譲治を翻弄していたのに対して、
この映画の彼女は、
最初は意外としおらしい。


なにせ、譲治が服を買ってあげると、
ショップに行った際、
言いにくそうに、
「欲しい服が2着あるのだけれど、 
 2着とも買っていいでしょうか」
みたいな事を聞く。
これが叶順子だったら、
そんな事確認もせずに、とっとと買っていただろう(笑)。


そう、この映画のナオミは、
最初はとっても可愛い子ぶりっ子(死語?(笑))だ。
1980年といえば、
可愛い子ぶりっ子の代表格・松田聖子がデビューした年か。
何となく、世の中に、
そういった女の子が受けるみたいな風潮があったのだろうか。


そんなナオミを、
理想の女に育てようと、
調教する譲治なんだけど、
なんだか、理想の女と逆の方向に行っちゃってる気が。


しおらしかったナオミは、
どんどん淫蕩で我儘で蓮っ葉な女になっていくじゃないの。
この教育は失敗じゃない?(笑)


最初は、服を2着買う事さえ遠慮していた彼女の
浪費っぷりも凄い事になる。
譲治が朝、生活費として40万を渡すと、
なんと彼女は、一日でそれを使い切る。
譲治のセリフによると、
「今月だけで、もう200万も使っている」らしい。


羨ましいような話だわ(笑)。
たとえ、1日で40万を使えと言われたとしても、
貧乏性の私には、恐ろしくてできない(笑)。
そんな事がいとも簡単にできる女だからこそ、
魔性の女なのでしょうね。


そしてそれは、
他の映画と違って、
譲治が結構金持ちっぽい設定だから、
そんな場面が成立するのかも。


彼がナオミと暮らすために買った家も、
めっちゃ豪邸。
私は一日40万円を使う事はできないけど、
豪邸は大好き(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「だまされて貰います」 [映画]

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〔1971年日本〕


東北のある村に、伊賀良太郎(植木等)という男がやって来た。
政治家の秘書を名乗る良太郎は、
村の男・忠作(加藤茶)と、
忠作が惚れているハーフの娘・花子(小山ルミ)に、
「ここの村に、近いうちに新幹線が通る」と言い、
さらに、村人全員もそれを信じる。


良太郎が東京に帰った後、
騙されている事に気付いた村人たち。
しかも彼は、花子に、
「一緒に父親を捜してやる」と言い、
連れていってしまう。
忠作は怒り、2人を追いかけて、
自分も東京へ行く。


良太郎は、発明家・早川源内(谷啓)と知り合い、
源内が、
「ガソリンによる公害をなくす薬」の
研究をしている事を知る。
良太郎は、それを、
「水をガソリンに変える薬」だと勝手に吹聴し、
それを聞きつけたアメリカの企業から、
契約の話が持ち上がる。


アメリカに飛んだ良太郎、
アメリカに父を捜しに行った花子、
花子を追いかけて、これまたアメリカに行った忠作。
ハワイ、ニューヨークを舞台に、
ドタバタドタバタ・・・。





クレージーキャッツの映画も、
後半になると、
植木等さんが主役なのは変わらないけど、
もれなく加藤茶が準主役で出てくるという、
クレージーからドリフへシフトしようとする、
時代の流れ(単にナベプロの思惑か(笑))がよくわかる。


ただ、植木さんが、どんなに過剰な演技をしても、
どこかスマートに見えるのに対して、
加藤茶の演技は、ひたすらくどい(笑)。
世間がそういうものを求めた時代だったのか。
2人の質感が違うので、
同じ画面に収まっていても、
ピッタリ息が合っている・・・というほどではない。


他の、植木・加藤のコンビ映画では、
加藤が故郷を捨て、上京し、
植木さんがそれを追いかけるといったパターンが多いけど、
本作では逆。


さらに、物語は進んで、
ハワイ→ニューヨーク→ラスベガスへ。
本当に当時のナベプロは勢いがあったのね。
めっちゃ贅沢。


そして、広いアメリカで、
加藤茶は、
探している植木さんを必ず見つけるという(笑)。
有り得ないけど、
まぁ、こちらも、最初からそんなものだと思っているので、
特に文句はない(笑)。


加藤茶は、恋焦がれている小山ルミとも、
ニューヨークの公園でバッタリ再会。
その後、互いの気持ちを確認し合った2人が可愛かった。


クレージーキャッツの映画を観るようになった時、
個人的に、
メンバーの中で石橋エータローさんが一番気に入って、
彼を観るのが楽しみだったのだけれど、
70年に脱退してしまったのが残念。
喧嘩別れなどではなく、
病気が理由だそうだ。


評価 ★★★☆☆

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「君の膵臓をたべたい」 [映画]

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〔2017年/日本〕


母校の高校で教師をしている僕(小栗旬)は、
図書室の本の整理をしながら、
生徒と話すうちに、
高校時代のクラスメイト山内桜良(浜辺美波)と過ごした、
数か月の出来事を思い出す・・・。


内気な高校生の僕(北村匠海)は、友達もなく、
一人で過ごすのが好きだった。
ある日、僕は病院の待合室で、
「共病文庫」とタイトルされた、
日記を拾う。


数行読んだそこには、
「自分は、膵臓病でもうすぐ死ぬ」と書かれており、
驚いていると、
持ち主が、クラスメイトの桜良だと知り、
さらに驚く。


以来、2人は友達になり、
デートするが、
桜良は入院。
そして一時退院して、
待ち合わせている時・・・。





試写会で観た。


この衝撃的なタイトルの本は、
以前から知ってはいたけれど、未読。


読んでから観るのも、
観てから読むのも、
その辺のこだわりは私にはないけれど、
(こだわりがあったとしても、
 すべてがそんなに上手くタイミングが合うわけないし)
これは、読んでから観た方が、
より楽しめるのではないかと思われる。
今回は仕方ないけど。


タイトルから、
おそらく難病ものかと想像がついたけれど、
やはり主人公の少女・桜良は、
膵臓に、重い病を抱えている。


そして言う。
体のある部分が悪い時は、
同じ部分を食べるといいらしい、と。
だから私は、
「君の膵臓をたべたい」と。


ラスト近くの桜良の、
「人が今ここにいるのは、
 運命でもない、必然でもない、
 自分で選んで、流れてきたんだ」
というセリフは、
なんとなく私が普段から思っている事と似ている気がして、
肯いてしまう。


僕と桜良は、
恋人同士というわけではない。
桜良は、僕を、
「仲良し君」と人に紹介する。


ほんっとにいい年して
笑われてしまうけど、
私は「仲良し」って言葉の語感や、
「仲良し」としか言いようのない関係が
とっても好きで、
自分も誰かと話している時、
よく、この言葉を使ってる気がする。


「恋人」や「友達」という言葉には、
何か含みがある場合も多いけど、
「仲良し」と言ったら、
それ以上でも、それ以下でもなく、
ひたすら
いい関係が連想されて。


場内は、泣いているかたが結構いるように
感じられた。
それから、隣の若いカップルは、
手を繋ぎ合って観ていたようだ。
いや、決してジロジロ見ていたわけじゃないです。
そんなもん、チラっと見ればわかる(笑)。
そして、この映画は、
そんな風にして観るのが、
正しい鑑賞法なのかもしれない(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「痴人の愛」 [映画]

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〔1960年/日本〕


河合譲治(船越英二)は、
職場で、「堅物」「君子」とあだ名される、
真面目で融通の利かない中年男。


しかし彼には、
誰にも話していない秘密があった。
池袋のアルバイトサロンで一目惚れした
若い女・ナオミ(叶順子)を引き抜き、
部屋に住まわせ、
譲治の理想の女として育てているのだ。


ナオミに英語やピアノを習わせ、
教養を身に付けさせようとする譲治だが、
彼女は、そのようなものには全く身が入らず、
ピアノ教室で知り合った男たち(田宮二郎・川崎敬三)と
遊び回っている。


「男たちとは遊ぶだけで、肉体的接触はない」と言う、
ナオミの言葉を無理矢理信じていた譲治だが、
ある日、
決定的現場を見てしまう。


怒り狂った譲治は、
ナオミを家から追い出すが・・・。





現在、角川シネマ新宿で開催されている、
「おとなの大映祭」。

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ラインナップの中に、
3回映画化された「痴人の愛」の、
ソフト化されていない、
叶順子版が入っていたので、
「やった!」と思い、早速出掛けた。


いいねぇ、
譲治とナオミのコンビは(笑)。


譲治はナオミを飼って(人間に使う言葉じゃないが)、
自分の思う通りの女にさせようとしているけれど、
実は、ナオミに翻弄され、
いいように扱われている。


譲治が仕事から帰ると、
家の中はぐちゃぐちゃ。
どんなに疲れていても、
お片付けする(笑)。


そして、
「ねぇぇ~、パパ~、お車買ってぇ~」と甘えられ、
最初は突っぱねても、
結局、買ってやる。


いや、彼が英語を教える場面などは、
結構、厳しいのだよ。
ただ、ナオミは全くやる気がない。
ナオミは、最初から、
譲治の思う通りの女になろうなんて気は
さらさらないし。


実際、譲治は、
ナオミにどうなってほしいのか。
教養を身に付けた、
貞淑な女?


でも、本当は彼は、
奔放な彼女に翻弄されている自分を
喜んでるんだよね?
もしナオミが、
貞女になったりしたら、
一番困るのは譲治なんじゃないかしら(笑)。


叶順子さんが、ナオミの突き抜けていている感じを
上手く演じている。
彼女は、ボーイフレンドたち全員と
関係しているけれど、
それを、
譲治に対する裏切りだとかは、
まるで思っていない、というか、
裏切りなんて概念さえないようで、
とにかく享楽的に生きているだけ。
羨ましく思う人も、実は多かったりして(笑)。


京マチ子さん版を観た時、
ラストが原作と違う気がしたけど、
こちらは近いかな。


さきほど、
「痴人の愛」は3度映画化されていると書いたけれど、
調べてみると、
どうやらもう1本、
「谷崎潤一郎『痴人の愛』より ナオミ 」という、
エロ映画っぽい作品が、
80年に劇場公開されているようだ。


これも観た方がいいんだろうか。
迷うけど、
観ないと、
「痴人の愛」を制覇したとは言えない気がするしなぁ(笑)。


評価 ★★★☆☆

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