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「ブランカとギター弾き」 [映画]

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〔2015年/イタリア〕


フィリピンのストリートチルドレンの少女・ブランカは、
物乞いや、
時に窃盗やスリをしながら、
生きている。


ある日、ブランカは、
有名女優が孤児を養子にしたことを知り、
「子供を買えるなら、ママだって買えるだろう」と考える。


ブランカは、盲目のギター弾き・ピーターと知り合い、
2人で旅に出た先で、
「ママ買います」のポスターを街中に貼る。


路上で、
ピーターのギターに合わせて歌っていると、
その美しい歌声を聞きつけたレストランのオーナーが、
自分の店で歌ってみないかと声を掛けてくる・・・。





試写会で観た。


甘い。
甘いなぁ、自分は。
本当に甘さを痛感したよ。


それは、
ブランカが、見知らぬ中年女性に騙され、
何やら、怪しげな店に連れて行かれる場面。
「付いて行ってはダメ!
 そこは性的なサービスをさせられる店よ!」と
こちらは、ハラハラしながら観ている。


2人の後を付けていく、
ストリートチルドレン仲間の、
ちょっと意地悪な少年がいる。


私は、てっきり、
その少年は、
ブランカがいよいよ危なくなったら、
助けるつもりで、後を付けてくれているのだと思っていたのだ。


けれど、違ってた。
逃げ出したブランカを追いかける女性から、
「あの子を捕まえて」と言われた少年は、
ブランカを鳥小屋に閉じ込める。
彼は、最初から、
ブランカの事なんかどーでもいいし、
彼女が逃げ出す事を想定して、付いていっただけ。
捕まえた事によって得られる報酬の方が、
ずっと大切なのだ。


今までいろんな映画を観てきて、
予定調和というか、お約束というか、
「普段、意地悪な人間も、いざとなれば助けてくれる」
などという、
甘い刷り込みがある自分に気付く。
でも現実の生活に、予定調和など有りはしない。
私は本当の貧困など、分かっていない。


ギター弾きのピーターはとても優しく、
ブランカとは、
本当の親子のようにいい関係だ。


けれど、そんなピーターも、
一日中、路上でギターを弾いて、
人々から恵んでもらった金を、
夜、ストリートチルドレンに奪われてしまう。
「あの人は障害者だから」などという、
特別視は全くない。
目の前の缶に金が入っているから、奪う。
ただ、それだけ。
むしろ、追いかけてこないだけ幸いという感じで。


それから、
ハリウッド女優などが、
発展途上国から、養子を迎えるという行為には、
前から少し違和感を感じていたけれど、
やはりそれは、私が思っている以上に、
残酷な事なのではないかと思った。


そのニュースを見聞きしたストリートチルドレンは、
羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて、
「いつか自分も」と思う。
けれど、スターに引き取られる確率なんて、
宝くじが当たるより、有り得ない事だ。
大人なら、それが分かるけど、
子供は夢を見てしまう。


ブランカが、何度か、
道行く人の財布を盗む場面がある。
最初は、「それは駄目だよ」と思っていた私だけど、
一人の女性の、ヴィトンのバッグから財布を盗む時、
「ま、いっか。ヴィトン持てる人なんだから。
 財布の一つくらい盗まれたって、何とかなるでしょ」と
思ってしまった自分に少し笑った。
(笑っちゃいけないが)


評価 ★★★☆☆

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