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「再会」 [映画]

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〔1953年/日本〕


天涯孤独の娘・秋子(久我美子)は、
将校である叔父の家で育った。
従兄で憲兵の忠雄(三國連太郎)は、
いつかは秋子を自分のものにしようと、
狙っている。


ある日、秋子は、
日比谷公園の音楽堂で、
修(森雅之)と出会った。
互いに強く惹かれ合った二人は、
音楽会の度に会うようになる。


しかし、それを知った忠雄は、
裏から手を回し、
修は戦争に行くことになる。


時が経ち。
戦争は終わりを迎えるが、
修が死んだものと誤解した秋子は、
空襲で怪我をした、
親友の田鶴子の面倒を見ながら暮らしていた。


田鶴子の手術費用を捻出できず、
困り果てた秋子は、
街のボスの家を訪ね・・・。





ヴィヴィアン・リーの「哀愁」の
日本版みたいな物語なんだけど、


三國連太郎さん演じる忠雄の嫌ったらしさには、
虫唾が走るような思い。


なにせ、この男は、
ひとつ屋根の下で育った
美しい久我美子さんを狙っていて、
隙あらば、
襲い掛かろうと思っている。


で、久我さんと森雅之さんが
愛し合っている事を知るや否や、
憲兵という、自分の立場を利用して、
森さんに召集令状を。


さらに酷いのは、
森さんの上官に、
森さんの悪い噂を吹き込み、
森さんは戦地で、いわれのないリンチを受けたりして、
観ていて、
胸が悪くなる。


戦争って、
爆弾を落とされたり、
銃で撃ちあったり、
そんな場面を思い浮かべがちだけど、
それだけじゃない。


そんな風に、
なんの恨みもない人に対して、
普通に殴ったり蹴ったり、
精神的に追い込んだりできるようになるのも、
戦争という、異常な環境にいるからこそで。


それをしている人だって、
元は普通の人だっただろうし、
そしてまた日本に帰れば、
戦地で自分がしてきたことは、
封印して、
普通に暮らしてゆくのだろう。
戦争は狂気だ。


久我さんは、ずっと、
三國さんに幸せを邪魔されるのかと思って、
暗い気持ちになっていたら、
それからは解放される。
それも凄い出来事で。
不謹慎だけど、
胸がすっとする。


だけど、
久我さんの悲しい運命はこの先。
戦争さえなければ、
と思わずにはいられない。


評価 ★★★☆☆

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「ビースト」 [映画]

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〔2022年/アメリカ〕


医師のネイト(イドリス・エルバ)は、
亡き妻との思い出の地・南アフリカに、
2人の娘を連れてやってきた。


出迎えてくれたのは、
ネイトの旧友で生物学者のマーティン(シャルト・コプリー)。


翌日、4人は、
サバンナにドライブに出掛けた。
ネイトに反抗的だった娘たちも、
野性の動物たちには、
素直に感動している。


ところが、密猟者から生き延びた、
人間を憎む巨大ライオンが、
彼らに襲いかかり・・・。





南アフリカを舞台に、
人間への憎しみを募らせたライオンと、
それと闘う父娘の物語。


ストーリーは単純なので、
のんきに楽しめる。
いや、のんきというのは、
何も考えずに、という意味で、
内容はのんきなんてものじゃないが(笑)。


なにせ、狂暴なライオンがしつこい。
絶対に立ち去らない。
いなくなったか?と思っても、
必ず近くにいる。


そして、お約束の展開。
言う事を聞かないクソガキ(あえてそう言う(笑))、
エンコした車、
通じない無線機、
残り少ない水、
やって来る密猟者。
といった感じで、特に捻りはない(笑)。


そして、
ここに出てくる人々は、
なぜか「ドアを閉める」という事をしない。
「馬鹿の三寸 マヌケの開けっ放し」という、
日本の諺を知らないのか?
(知るわけないか(笑))。


この狂暴なライオンは、
すべてCGだと、どこかに書かれていたけれど、
不自然な感じはしなかった。
動物パニックものとして、
怖さは十分発揮していたと思う。


私が知りたいのは、
狂暴ライオンではなく、
一般(?)のライオンがCGなのか、そうではないのか。


というのも、
動物学者のシャルト・コプリーが、
ライオンの群れに近付くと、
ライオンたちが、彼に飛びかかってくる。
ひゃっ!と思うのだが、
彼は、その辺りのライオンとお友達らしく、
それは、挨拶というか、じゃれついているだけなのだ。


あれらのライオンが、
動物事務所から借りたものなのか、
CGなのか、すごく気になって。


シャルト・コプリーといえば、
以前、イベントで握手した事があって、
 ↓
https://aomikamica.blog.ss-blog.jp/2011-02-08
以来、映画に出てくると、
「お」と脊髄反射してしまう。


この映画での彼は、
とってもいい人だったけど、
活躍する場面が少なくて残念。
もう少し、
そのお姿を見ていたかった、個人的に。


評価 ★★★☆☆

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23区内全駅制覇・見沼代親水公園駅 [23区内全駅制覇]

【23区内全駅制覇・各駅編】


第80回目の掲載は、
 ・日暮里・舎人ライナー
「見沼代親水公園駅」です。


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路線図を見ていると、
「見沼代親水公園」という、漢字のみ7文字の駅名は、
23区内では、
たった1駅だけだと思うのですが、
どうでしょう。
6文字の駅は結構あるのですが。
(西新宿五丁目、荒川区役所前、など)
もちろん、
漢字 + カタカナ、などの駅名では、
もっと長いものが沢山ありますが。


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この「見沼代親水公園駅」は、
日暮里・舎人ライナーの終点でもありますね。
走行路が高い位置にあるので、
分かり易いです。


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今までに何度か、
東京都と埼玉県の、
陸の境界線を、
歩いて越えてみたいと書いてきましたが、
 ↓
https://aomikamica.blog.ss-blog.jp/2021-10-25
https://aomikamica.blog.ss-blog.jp/2022-08-08
今回、やっとそれが実現しました。


埼玉県草加市へ。
そして、県境にあるマクドナルドに入ります。
これがアメリカなら、
州境のダイナーに入るようなものか、と、
気分はすっかり旅人です(笑)。


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今回マクドに入ったのは、
ブログのお友達のわたしさんから、
優待券をいただいたからです。


マクドはもともと大好きな上に、
優待ですので、
嬉しさも倍増です。
せっかくですので、
期間限定の
「ハワイアン チーズロコモコ」、
「マンゴー果肉入り マックフロート トロピカルフルーツ」、
そして、ポテトはLにしました(笑)。


この「全駅制覇」の遊びは、
駅周辺の散策と同じくらい、
毎回のお食事が楽しみです。


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お食事を終えて、
東京に戻り、


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駅名になっている、
「見沼代親水公園」を散歩します。


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こちらは、
縦に長い公園で、


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名前の通り、
綺麗な水が流れていますね。


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子供さんたちが、
ザリガニや虫を捕まえていました。


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こんな可愛い橋もあります。


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さらに行くと、
小さな「舎人氷川神社」が。


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のどかで、いい所だな、
と思っていたら、
あ・・・・・・
このようなお悩みがあるとは・・・。


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古家ならぬ、
古倉庫。


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こちらは閉店した、
布団屋さんのようですね。


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このブロック塀は、
いくらなんでも、危ないのでは。


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貸自転車というのは、
見た事がありますが、
折り畳まれた、貸しバイクというのは
初めて見ました。
ヘルメットの用意もあるのですね。





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※今まで行った駅のリンク集です。
 ↓
https://aomikamica.blog.ss-blog.jp/2010-09-22-13

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※以下に、このカテゴリーの1回目に書いた文章を
 貼り付けておきます。


2018年の4月から12月まで、
「23区内全駅制覇」というカテゴリーで、
 ↓
https://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2010-09-22-12
路線ごとに、駅名表示板を並べて、
掲載していたのですが、
次は「2周目」という事で、
今度は各駅の周辺を、もう少しゆっくり歩いてみたいと思います。


条件は特にないのですが、
駅周辺の雰囲気や建物を見たり、
それから、お食事かお茶ができればいいな、
と思っています。

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◆デンジャラス◆ [本]


デンジャラス (中公文庫 (き41-2))

デンジャラス (中公文庫 (き41-2))

  • 作者: 桐野 夏生
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2020/06/24
  • メディア: 文庫


文豪・谷崎潤一郎の、
妻・松子の妹・重子が一人称で語る、
谷崎の素顔。


重子は、
谷崎の小説「細雪」で、
三女・雪子のモデルと言われている事が自慢で、
自分は、
谷崎にとって、特別な人間だという自負がある。


2年半ほど前に、
「細雪」を読んだばかりなので、
 ↓
https://aomikamica.blog.ss-blog.jp/2019-07-31
まだ記憶に新しく、
この小説は大変に興味深く、
そして面白かった。


私がとても気になった「細雪」のラスト、
『下痢はとうとうこの日も止まらず、
 汽車に乗ってからもまだ続いていた』
が、この本でも触れられていて、


重子の夫、田邊は、
「なんやねん、あのラストは。
 あれではまるで、
 雪子の結婚が不幸になるのを予言しているみたいやないか」
と言っているのが可笑しい。





不思議な均衡を保っていた谷崎家に、
波紋が広がるのは、
松子の連れ子と結婚した千萬子を
谷崎が大層気に入り、
舅と嫁、という関係以上の親密さになった事。


千萬子は、気位が高く、
松子や重子のような古臭い考え方をする女と違い、
いかにも現代風で、小生意気な、
可愛げのない女で、
でも、谷崎の目には、
それがとても新鮮で、
面白い女に写る。


松子と重子は、
谷崎が千萬子に夢中になっていく様子を
傍からやきもきしながら見ている。
あたかも、それは、
今まで主役だった自分が、
脇役に降格されたかのような、失望感。


それでも重子は、
谷崎の新作小説「鍵」で、
 ↓
https://aomikamica.blog.ss-blog.jp/2015-09-26
密かに、これは自分がモデルだと考え、
内心小躍りしたり。


他にも、
千萬子をモデルにして書いたと言われているのが、
「瘋癲老人日記」。
 ↓
https://aomikamica.blog.ss-blog.jp/2013-06-17


谷崎の家には、
常に女中を数名置いているのだけれど、
彼女たちの日常を描いた小説が、
「台所太平記」。
 ↓
https://aomikamica.blog.ss-blog.jp/2015-12-31


などなど、
多数の谷崎作品のタイトルが出てきたのが
面白くて、
夢中で読んだ。

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「女の意地」 [映画]

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〔1971年/日本〕


銀座でクラブを経営する久美(浜木綿子)と、
その店で、アルバイトをする淳子(松原智恵子)は、
父親違いの姉妹。


ある日、淳子が男と同棲しているという
噂を聞いた久美は、
淳子のアパートを訪ねた。
すると、淳子の恋人というのが、
二年前に別れた男・修平(中尾彬)だったことに驚く。


久美は修平に金を渡して、
淳子と別れさせるが、
それに怒った淳子は、
自分に言い寄ってきている中年(殿山泰司)に
金を出させ、
新しいクラブを開店させる。


しかし、
開店間もなく、
淳子は、
自分が妊娠している事に気付き・・・。





数カ月前に、友人からもらったこのDVD、
タイトル以外、
内容に関する予備知識ゼロで、
デッキにセットして観始めた途端、
浜木綿子さんが銀座のママを役をしていて、
あまりのタイムリーな感じに、
笑ってしまった。


いや、笑い事ではないけど。
浜木綿子さんも、
まさか自分がママを演じた銀座を舞台に、
51年後に、
最愛の息子が
不祥事を起こすとは想像もしていなかっただろう。


本当に残念です。
ネットの噂が本当とするなら、
香川照之氏は、
あの騒動の前から、
西麻布辺りの店は全て、
出禁になっているという。
店が客を出禁にするなど、
よくよくの事だし、
今まで、どれだけの狼藉を働いてきたのかと思うと、
大好きな俳優さんだっただけに、ガッカリな思いがします。


多くの店から出禁になっているという事実から、
香川氏自身も、
「自分の振る舞いは、世間の常識とはかけ離れている」
「大変な迷惑をかけている」
という事を、知っていたはずで、
行いを律するチャンスは、
何度もあったと思うのに、
それをしなかった、という事になる。


香川氏が有名になってきた頃、
「東大卒なのに、偉ぶった所がなく、大変に腰が低い」
「すごくいい人」
と聞いた事があって、
立派だな、と思っていたのに、
あの噂はなんだったのか。


私は浜木綿子さんを、
とても尊敬していました。
女手一つで立派な息子を育てて、
素晴らしいな、と思っていました。


浜さんが今、どう思われているのか、
ショックを受けているのか、
突き放した感じなのか、
私には分からないけれど、
高齢になった今、このような事が起こって、
とても気の毒な気がします。
未成年なら、「親の育て方のせい」とも
言えるでしょうけれど、
もうそんな理由は通らないくらいの、
大人がしでかした事ですしね。


いやいや、私も、
人様の行動を咎められるほど
立派な人間じゃないわ。
調子に乗ると、トンデモ行動に出てしまうところがある。
気を付けよう。


なーんて、スキャンダルより、映画映画(笑)。


銀座を舞台に、
父親違いの姉妹が、争うって話だけど、


松原智恵子さんが、
決定的に、ホステスの役が合わない。
なんだろうな、綺麗は綺麗なんだけど。


人って不思議だ。
美醜とは関係なく、
水商売が合う合わないって、ある。
何が違うのか。
育ちなのか、
雰囲気なのか。


評価 ★★★☆☆

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