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◆細雪◆ [本]


細雪(上) (新潮文庫)

細雪(上) (新潮文庫)

  • 作者: 谷崎 潤一郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1955/11/01
  • メディア: 文庫



細雪(中) (新潮文庫)

細雪(中) (新潮文庫)

  • 作者: 谷崎 潤一郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1955/11/01
  • メディア: 文庫



細雪 (下) (新潮文庫)

細雪 (下) (新潮文庫)

  • 作者: 谷崎 潤一郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1955/11/01
  • メディア: 文庫


今更、私なんかが言うまでもない事だが、
谷崎潤一郎先生は、本当に凄いと痛感した、
「細雪」。


上中下巻の、
長い物語だけど、
飽きることなく、一気に読んだ。


登場人物たちが、
まるで実在するかのように、
リアルに描かれている、
大傑作だと思う。


大阪・船場の旧家の四姉妹、
鶴子
幸子
雪子
妙子。


物語は主に、幸子の主観で描かれるのだけれど、
話しの流れで、
その時その時の主人公が変わっていく。
その描き方が、本当に自然で、
気が付くと、登場人物の誰かが
クローズアップされる。
こんな転調の仕方をする小説、読んだ事がないってくらいだ。


その場の状況説明が、
くどくどしいのも、いい(笑)。
そのおかげで、
登場人物たちの心情が、
とても良く分かる。
一見、矛盾しているかのように見える行動も、
説明が丁寧なので、理解しやすい。


「細雪」は、今まで3度映画化されていて、
3本とも観ているけれど、
今、作るとしたら、
女優は誰がいいだろう、と考える。


どちらかというと地味で、
和風な顔つきだという雪子役は、黒木華さん、
自由奔放で、男出入りの絶えない、
妙子役は、長澤まさみさん、
というのはどうだろう。


ただ、幸子役は、
私の中では、京マチ子さんしか考えられないんだよなぁ。
鶴子役は、小暮実千代さんとか?
・・・って、それじゃ、
女優さんたちの世代が違いすぎてて、映画化できないじゃん(笑)。


私は、この物語の映画化は、
何も殊更に美しく描く必要はないと思う。


文芸大作だからと気負う事なく、
俗っぽくていい。
時々書いているけれど、
「戦争映画だからと、しゃっちょこばる必要はない」
というのと同じ。


だって、ラストの2行には脱力よ。
この長い物語が、
どんな風に終わるのかなぁ、と楽しみにしていたら、


『下痢はとうとうこの日も止まらず、
 汽車に乗ってからもまだ続いていた』
だと(笑)。


え!?こんな終わり!?
と思ったけど、
これこそが、
気乗りのしない結婚をするために
大阪から東京に向かう雪子の心情を描いた、
谷崎先生の最大限の表現方法なんだろうと、
納得したりもして。

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コメント 10

リュカ

むかしむかし読んだのですが
その頃はわたしはまだ子供すぎてよく分からなかったんです。
今なら読めるかしら!
by リュカ (2019-07-31 13:46) 

青山実花

リュカさん
コメントありがとうございます。

リュカさんも、きっと今なら楽しめる気がします。
私も、若い頃はピンとこなかった
三島由紀夫さんの「肉体の学校」に
大感動しましたので^^
ぜひ、読んでみてくださいね。

by 青山実花 (2019-07-31 16:33) 

きよたん

最後の二行
谷崎先生凄いです。
心境を読者に実感させる描写 さすが

by きよたん (2019-08-01 00:06) 

旅爺さん

楽しい本は読んでると自分が主人公になった気分で、
一気読みしてしまいますね。
by 旅爺さん (2019-08-01 08:33) 

青山実花

きよたんさん
コメントありがとうございます。

そうなんです。
雪子が、結婚にいかに気乗りがしていないか、
そして、
その結婚の未来を暗示しているような終わり方、
谷崎先生は天才ですね(お前に言われたくないよ、って(笑))。
by 青山実花 (2019-08-01 10:38) 

青山実花

旅爺さんさん
コメントありがとうございます。

本は、自分の頭の中で、
想像しながら読むので、
映画とは違う面白さがありますね。
by 青山実花 (2019-08-01 10:39) 

mitu

映画3本見て原作も読んで・・・すごいなぁ\(◎o◎)/!

by mitu (2019-08-01 17:21) 

青山実花

mituさん
コメントありがとうございます。

いえいえ、趣味がそれしかなくて^^;

私ははmituさんに憧れます。
植物をあんなに綺麗にお手入れなさって、
鳥さんまで呼び込めるなんて、
私には天才としか思えなくて^^
by 青山実花 (2019-08-02 13:15) 

裏・市長

あぁ、やはり3作ともご覧になられているのですね。
さすが「趣味がそれしかない」青山実花さん。

いえ、けなしているのではありません。
むしろ褒めているのですよ。…多分。

それしかない、ということは、
ひとつ事に長く、飽きもせずに、
ひたすら打ち込んでいるということ。

なにもないボクからすれば、
ひとつであろうと、それしかなかろうと、
「誇れる」ものがあるということが素晴らしい。

歴史というものは、ひとつの事に打ち込んだ、
いわば「オタク的」な人種が積み上げてきた
ものなのです。

3作目、1983年版の「細雪」では、
主演に山本富士子さんを…と考えていたところ、
「…ほそゆき?なにそれ?おいしいの?」と、
断られてしまい、困り果てた市川崑監督が、
当時、パリで若いツバメとアバンチュールを
楽しんでいた岸恵子さんに国際電話で、
「仕方ないからあんたに」
「ミスキャストだけど」
「惠子ちゃんの関西弁ヘタなんやけど」
とお願いして出てもらったという。

どう、この信頼関係。

普通、ウソでも
「最初からアナタに決めてました!」とか言うで。

それを憎まれ口叩きながら依頼。
向こうもそれを快諾。

本気でいがみあっているボクたちも、
少しは見習わないといけないと思いませんか?。

少しは反省せぇよ!青山実花!。
by 裏・市長 (2019-08-04 04:06) 

青山実花

裏・市長さん
コメントありがとうございます。

いえいえ、裏・市長さん、
とんでもございませんわ。

わたくし、映画をたくさん観ている事を、
決して誇っているわけではありませんのよ。

人様からの、
「こいつ・・・暇か?」という、声にならない声に、
耐えて耐えて耐えて耐えて、
ブログを書いているのでございます。

そういえば、ソネットには、
メインブログの他に、
アニメ専門のサブブログをされている方もおられるとか。
世の中、上には上がいるものですわね。


市川崑監督ったら、
そもそも最初から、
美しい女優さんを狙いすぎるから、
そういった間違いが起こるんですわ。

鶴子の役を、
最初から、
樹木希林さんとか、京唄子さんとか、
ミヤコ蝶々さんとか、清川虹子さんなどにしておけば、
そのような争いごとは起こらなかったのでございます。

原作では、鶴子の出番は大変に少なく、
しかも6人の子持ちという設定。
岸惠子さんや、山本富士子さんが
6人の子持ちに見えますか?
キャスティングが間違っているのでございます。

そういえば裏・市長さん、
今度、わたくしが作る映画の主演を、
斎藤工くんに断られてしまったのですが、
代わりに出演しませんか?

OKならLINEでお返事ください。

by 青山実花 (2019-08-11 08:49) 

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