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「西陣の姉妹」 [映画]

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〔1952年/日本〕


西陣織の織元・大森孫三郎は、
莫大な借金を苦にピストル自殺を遂げた。


残されたのは、妻と、
長女・芳江、
次女・久子、
三女・富子。
そして、孫三郎が囲っていた妾の芸者・染香(田中絹代)。


子供時代から大森屋で奉公していた、
番頭の幸吉(宇野重吉)は、
必死に金策に走り回るも、
上手くいかず、
いよいよ、大森家の高価な家財道具まで
売らざるを得なくなる。


染香は、大森屋の窮状を見兼ね、
家を売って、
その現金を渡すが、
そんなものも、焼け石に水。


高利貸しの、
あまりに無慈悲な態度に、
幸吉は怒りに震え、
日本刀を持ち出し・・・。





呉服関係の仕事に就いている者なら、
知らない者はいない、と言われる、
西陣織の名家・大森屋が潰れ、
その後の借金をどうするのか、
を描いた映画。


とにかく、最初から最後まで、
金の話ばかりで、
気が滅入る。


大森家の妻と、娘たちは、
今まで、店の経営は父親に任せきりで、
世間知らずの、
箱入りばかり。


なので、いきなり、
「どうにかしろ」と言われても、
成すすべもなく、狼狽えるばかり。


そんな中、唯一頼りになるのが、
番頭の幸吉。
彼は、本当に一生懸命だ。
子供の頃から世話になっている、
という恩もあろうが、
実は彼は、
久子に惚れている。


ところが、この恋の顛末も悲しい。
久子は幸吉に、
「芳江と結婚してやってくれないか」
と幸吉に頼むのだ。


久子も、幸吉を憎からず思っているけれど、
三姉妹の中で、
一番世間知らずの長女と幸吉が
結婚するのがベストと考え、
それは、涙を隠しての決断。


田中絹代さん演じる、
芸者の染香の気風も、
見ていて気持ちがいい。


彼女は妾という立場だけれど、
家族は公認していたようで、
その代わり、
家族が困っている時は、
ポンと金を出す。
カッコいい場面だった。


ご都合主義の映画なら、
土壇場になって、
借金の肩代わりをしてくれるヒーローが
現れるのであろうが、
そのような事もなく、
映画は、フェイドアウトしていった。
栄枯盛衰という言葉が浮かぶ。


評価 ★★★☆☆

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