「台所太平記」

〔1963年/日本〕


小説家・千倉磊吉（森繁久彌）と、妻・賛子（淡島千景）の家には、
常時に3人の女中が雇われている。


その中の一人・初（森光子）は、
薬局の若旦那（山茶花究）との縁談がまとまりかけるが、
自分勝手な姉が持ってきた結婚話を断れず、
故郷に帰ってしまい、千倉夫妻をガッカリさせる。
初と同郷の梅（乙羽信子）は、
初の弟（フランキー堺）との結婚が決まる。


駒（京塚昌子）はグラマラスな女だったが、
キスをすると子供ができると思い込んでいるような
おぼこな所があり、
長く千倉家で働いていたが、
ペンフレンドの男と結婚する事になる。


陰気な小夜（淡路恵子）は、
どうしても磊吉とソリが合わず、
賛子の知り合いの家に行ってもらう事で
話がつく。


百合（団令子）は派手好きで、
女中仲間の銀（大空眞弓）の恋人に手を出すが、
磊吉に頼み込んで、
映画スターの付き人の仕事をもらい、
千倉家を出てゆく・・・。





谷崎潤一郎原作小説の映画化。


おそらく主人公の磊吉は、
谷崎潤一郎自身であろうし、
彼の家にいたお手伝いさんが
モデルになって書かれた物語なのだろうと思う。


そう、めちゃくちゃ大きいというわけでもない家に、
（それでも庶民からしたら、大きな家だが）
常にお手伝いさんが3人もいて、
その殆どが若い娘なのだから、
そりゃあ、事件が起こるに決まっている。


しかも、各人のキャラクターは十人十色。
派手な子、地味な子、
真面目な子、奥手な子、発展的な子、と、
磊吉先生も飽きる事はなかっただろう。


もちろん、それだけ色々な女の子が、
入れ替わり立ち替わりやって来るのだから、
中には、「この子はちょっと・・・」という女の子もいる。


その代表が淡路恵子さん演じる小夜。
淡路さんの不気味演技が凄い(笑)。
正直、私も、この小夜が同じ家にいるかと思うと、
ちょっとゾゾっとするかも。
女性にはストライクゾーンの広そうな（勝手なイメージ(笑)）
谷崎先生が受け付けなかったのだから、
実際の小夜も、
相当に変わり者だったのではないかと想像する。


お手伝いさんを、
若い女の子で揃えたというのは、
磊吉の希望だったのだろうか(笑)。
家事だけをしてほしいのなら、
ベテランの婆や的な人を雇った方が、
効率がいいと思うのだけれど。


女の子の意識が、
時代と共に変化してゆく過程も面白い。
最初の頃に出てくる女の子たちは、
みんなおぼこで、
お見合いしても、
畳に「のの字」を書いているような感じなのだけれど、


時代が進むにつれ、
婚前交渉する子や、
芸能界に憧れる子などが出てくる。


ラストの中尾ミエさんなどは、
あっけらかんとした現代っ子で、
恋人と同じゴルフ場で働きたいからと、
あっけなく千倉家を辞めてゆく。


原作は、以前、読もうと思って
図書館から借りたのに、
時間がなくて手つかずで返却してしまった。
映画を観たから、
今度は本も入りやすいだろう。
今度こそ読んでみようと思う。


評価　★★★☆☆





今年も今日で終わり。
毎年の事ですが、
1年が経つのがあっという間で、
心も体もついていけていない気さえしています。


今年は私にとって、
大きな変化の多い年でした。
その殆どは楽しく、前向きな事柄で、
それは私の力ではなく、
私を助け、支えてくださる全ての皆さまのおかげだと
心から感謝しています。


こんな私にも、
優しく、親切に接してくださったり、
声を掛けていただけることが
どれほど幸せな事かを
身に沁みて感じております。


昨年も書きましたが、
「我以外、皆、師なり」
の言葉をいつも心に置き、
来年も、この映画のタイトルのように、
太平で、のんきで、穏やかに、
過ごせていけたらと思っています。
皆さま、良いお年をお迎えください。

コメント 26

今年一年ありがとうございました(^O^)
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
良いお年をお迎えください(^^♪
by ニッキー (2015-12-31 13:32) 

今年1年お付き合い頂き有難うございました。
来年も宜しくお願いします。
佳いお年をお迎えください。

by sarusan (2015-12-31 15:36) 

映画の中に入り込むと、疑似体験ができますので、
人生の見識まで深くなった気がします。
来年も、たくさんの映画に出会えますよう。
よいお年をお迎えください。
by とし＠黒猫 (2015-12-31 17:38) 

毎日毎日映画を見続けることだけでもすごいことなのに、それをブログにするという熱意には圧倒されてしまいます。それもロートルも知らないような映画の方が多く、いつも教えられています。今年1年ありがとうございました。どうぞ良いお年をお迎えください。
by sig (2015-12-31 17:45) 

ブログのタイトル、「映画太平記」と言うのもいいですね('_')
楽しい解説、ありがとうございました。
２０１６年も、たくさんの映画と出会ってのんびりブログ綴ってくださいね・・・♪
by mitu (2015-12-31 21:54) 

こちらこそ、いつもご来訪＆NICEありがとうございした。
来年も宜しくお願い致します。
良いお年をお迎えください(○´∀｀○)
by ピコ氏 (2015-12-31 22:08) 

いつもありがとうございます。
今年１年お世話になりました。
これからも仲良くして下さいね。
来年もよろしくお願いします。
良いお年をお迎え下さい。

映画は楽しいね。私も大好きです。

by hatumi30331 (2015-12-31 23:18) 

やっぱり今年のシメは森繁ね！。

思えば昔は年末年始の深夜などは、
駅前シリーズとかドリフターズ映画が
定番でしたが最近は・・・。
時代が違うと言われればそれまでですが。

暖冬とは言われつつも、
やはり大晦日。それなりに寒さを感じるようになりました。

本年も大変お世話になり、
ありがとうございました。
あと6分後、どうぞ良いお年をお迎えください。

by 裏・市長 (2015-12-31 23:54) 

我以外、皆、師なり、、、
ステキな言葉がいっぱい。自分を思い返したら
恥ずかしいくらいに幸運に慣れるともっともっとと
求めて上手くいかないと拗ねてしまったりする姿を
認めてしまいます…^^;;;;;。
僥倖を当たり前と思わず、常に初心で
仕事にもなににも当たりたいです(=´∀｀)人(´∀｀=)。
by すーさん (2016-01-01 00:48) 

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。


by ねじまき鳥 (2016-01-01 01:52) 

今年もよろしくお願いします。
by にゃごにゃご (2016-01-01 05:07) 

明けましておめでとう御座います。
２０１６年が素晴らしい一年になりますようお祈り致します。
by reorio (2016-01-01 12:14) 

ニッキーさん
コメントありがとうございます

こちらこそありがとうございました。
今年も宜しくお願いします。
by 青山実花 (2016-01-01 21:32) 

sarusanさん
コメントありがとうございます

こちらこそ、ありがとうございました。
今年も宜しくお願いします。
by 青山実花 (2016-01-01 21:34) 

とし＠黒猫さん
コメントありがとうございます

仰りたい事、分かります。
映画ばかり観て、疑似体験が増えると、
例えば、
「強盗に入られたら、私だったらこう対処する」、みたいな事を
すぐ考えてしまいます＾＾；
もちろん、現実は映画のように上手くはいかないほでしょうが＾＾
by 青山実花 (2016-01-01 21:36) 

sigさん
コメントありがとうございます

いえいえ、sigさんのような大先輩に
そのような事を言われると恐縮してしまいます。
私などは、ほんのひよっ子。
底の浅い人間です。
こちらこそ、これからも色々教えてくださいね。
by 青山実花 (2016-01-01 21:38) 

mituさん
コメントありがとうございます

「映画太平記」いいですね！
mituさんだったら、
「豆ちゃん太平記」ですかね＾＾；
どちらも、のんきな感じがいいですね。
by 青山実花 (2016-01-01 21:40) 

ピコ氏さん
コメントありがとうございます

こちらこそ、1年間ありがとうございました。
今年も宜しくお願いします。
by 青山実花 (2016-01-01 21:41) 

hatumi30331さん
コメントありがとうございます

こちらこそ、
ぜひ末長いお付き合いをお願いします。
hatumi30331さん、
お体だけは大切にして下さいね。

映画はいいですね。
現実逃避できる、私の唯一の手段かも＾＾；
by 青山実花 (2016-01-01 21:42) 

裏・市長さん
コメントありがとうございます

それが・・・
最後は若尾さんで〆たかったのですが、
30日、31日と謎のめまいに襲われ、行く予定だった若尾さんの映画に
行けなかったんですよ。
なので、急遽、予定投稿していた森繁さんのレビューになって
しまったというわけで＾＾；
私は長い休みに入ると、体調不良になりやすいのですが、
それは張っていた気持ちの糸が、緩むからだと思っています。

年末の深夜、古い映画を放映してほしい～。
もう絶対に観るんだけどなぁ。

新年6分前のコメント、ありがとうございます。
その時間、私は、
ジャニーズのイケメンを堪能しながら、
カウントダウンを待っていました＾＾；
めまいがしても、イケメンの事だけは絶対に忘れないという＾＾；

今年も宜しくお願いします。
by 青山実花 (2016-01-01 21:53) 

すーさんさん
コメントありがとうございます

いえいえ、
私はまったくもって未熟な人間で、
すぐに調子に乗ったり、
今の自分があるのは、自分だけの力だと
思ってしまう所があるのです。
なので、自分を戒めるためにも、
そういった言葉を常に心に置かないと駄目なんですよ。
もっともっと精進しなければ。

by 青山実花 (2016-01-01 21:58) 

ねじまき鳥さん
コメントありがとうございます

明けましておめでとうございます。
こちらこそ、
今年も宜しくお願いします。

by 青山実花 (2016-01-01 21:59) 

にゃごにゃごさん
コメントありがとうございます

明けましておめでとうございます。
2月のぼんぼちさんのオフ会には行かれるのでしょうか。
by 青山実花 (2016-01-01 22:00) 

reorioさん
コメントありがとうございます

明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いします。
by 青山実花 (2016-01-01 22:01) 

私もブログをやることでパワーをたくさんもらっている
ような気がします。
青山美香さんのブログは、年下ながら
教えられることが多くて、映画のセレクト、見方、感じ方、
毎回楽しみにしています。
そして文章に端正なお人柄が現れていると思います。
これからもおつきあいよろしくお願いします。
by su-nya (2016-01-02 05:16) 

su-nyaさん
コメントありがとうございます

私も、ブログを書くために映画を観ているわけではないのですが、
ブログをしていると、
「この面白い作品をどう伝えよう」と考えるようになり、
なんとなく張り合いがあるのは確かです。

それから、なんだかとっても恐縮してしまいます。
私の書く物など、まったく内容が薄く、
映画に詳しいかたが読んだら、
意味わからん、と言われている気がします＾＾；

su-nyaさんのカメラ目線でのブログは
視点が面白くて大好きです。
こちらこそ、これからも宜しくお願いします。
by 青山実花 (2016-01-03 17:42)