SSブログ

「声優夫婦の甘くない生活」 [映画]

seiyufufunoamakunaiseikatsu.jpg
〔2019年/イスラエル〕


1990年。
ロシアからイスラエルに移民した、
ヴィクトルとラヤ夫妻。


2人は共に、
ロシアで声優として活躍していた
過去がある。


しかし、新天地に声優の仕事はなく、
ラヤは、ヴィクトルに内緒で、
テレフォンセックスの仕事を始め、
また、ヴィクトルは、
海賊版レンタルビデオショップで、
違法な声優の仕事に就く。


しかし、ある日、
ラヤの仕事が、
ヴィクトルにバレてしまい・・・。





試写会で観た。


コミカルで、
ちょっとビターな、
大人のための映画。


ロシアから、イスラエルに、
希望を持ってやって来た
声優夫婦なのだけれど、
仕事がなく、
背に腹は代えられないってんで、
妻のラヤが、
電話を掛けてくる男性相手にエロトークする場面が可笑しい。


なにせ、ラヤは62歳だというのに、
22歳という設定で、電話の向こうの男性のお相手を。
声優なのだから、
声を作る事などお手の物。
男性たちは、
彼女が62歳だとは想像もしていないようで(笑)。


その後、夫のヴィクトルに、
仕事の事がバレてしまうんだけど、
それはヴィクトルが、
新聞広告で見た、
ラヤの番号に電話をし、
声の主がラヤだと気付いたから。


で、ヴィクトルは激怒するんだけど、
それってちょっと変じゃない?
だって、ラヤは、
仕事でやってるだけよ、
生きるためなのよ。
でもヴィクトルは、
明らかに性的目的で電話をしたわけで、
怒っていいのは、ラヤなのでは。


それから、この映画、
女性の老いって哀しいな、と、
思わされる場面がある。
もちろん、老いは、
男性にも女性にも、
平等にやって来るのは分かってるんだけど、
やっぱり、何かと年齢で判断されたり、
揶揄されやすいのは女性の方だものね。


イスラエルという国の、
政情の不安定さが、
想像以上で、ちょっと驚いた。
空襲警報が鳴り響いて、
さらにショックなのは、
その瞬間、
人々が全員、迷う事なくガスマスクを着けた事。
化学兵器に対する恐怖が
かなり強い事が見て取れる。


全体的に、
映画への愛に溢れているのがいい。


主演の夫婦が、
元声優というのが大きいけど、
何本も、
実在する映画のタイトルが出てくる。
特に、フェデリコ・フェリーニ監督への愛が強く、
映画、「8 1/2」のエピソードは感動。
大昔に「8 1/2」をビデオで観た時、
理解しきれなかった私は、
もう一度、観てみたくなる。


評価 ★★★★☆

nice!(114)  コメント(16) 
共通テーマ:映画