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「泣く子はいねぇが」 [映画]

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〔2020年/日本〕


秋田県男鹿市で暮らす、
たすく(仲野太賀)とことね(吉岡里帆)夫婦。
子供を産んだばかりのことねは、
もうすっかり母の顔になっているが、
その分、
父親になりきれないたすくには、
苛立ちを隠せないでいる。


今夜、たすくは、地元の伝統行事「ナマハゲ」に参加する予定だが、
出掛ける前、ことねから、
「酒を飲まない事」
「途中で帰ってくる事」の2つを、釘を刺される。


しかし、結局、泥酔してしまったたすくは、
「ナマハゲ」の面を着けたまま、
取材に来ていたテレビカメラの前で、
全裸になって駆け回るという失態を演じ、
その様子が、全国放送されてしまう。


「ナマハゲ」の名前を傷つけ、
組合の長(柳葉敏郎)は怒り心頭、
そして、ことねからは愛想を尽かされ、離婚。
たすくは、男鹿から逃げるように、
東京に引っ越す。


2年後。
久し振りに男鹿に帰ったたすくは・・・。





タイトルから、
「ナマハゲ」をテーマにした、
緩いご当地映画なのかと思っていたけれど、
企画に是枝裕和さんが関わっていると知り、
一筋縄ではいかない映画だろうと予想し、
観に行った。


そしたら、やっぱり。
八方塞がりで、
何をやっても上手くいかない主人公のたすくに、
息苦しくなる。


酒に酔うと、
調子に乗ってしまう人がいるのは分かるけど、
全裸になって、それがテレビ放送されてしまうなど、
言語道断。
そりゃあ、関係者は怒るだろう。
それでなくても、後継者問題で困っているらしいのに。
女性に抱きついたり、
女湯に乱入しなかっただけマシか、とも思ったけど、
今の時代、たすくのした事は笑い話で済まされない。
「ナマハゲ」ってそういうものなのか、と印象付けてしまった
罪は重い。


たすくは一度は東京に逃げるけど、
どうしてもことねが忘れられなくて、
男鹿に戻ってくる。


なんとかして復縁できないか。
頑張って働くから。
大人になるから。
やっと探し出したことねに、
縋りつくような思いだけど、
女は、
一度気持ちが離れてしまうと、
元に戻るのはもう無理なようで。


それに、実際、
たすくは2年前と何も変わっていないもの。
定職に就いているわけでもなく、
ヘラヘラしているのは相変わらず。


そして、一念発起して
金を稼ごうとするも、
それって犯罪じゃん?って事を。
方向性、間違ってるでしょ。


ラストにタイトルの意味が分かる。
辛く、悲しく、切なく、
でも、ちょっぴり嬉しくもある、複雑な場面。
たすく君、
頑張ろう。
頑張って生きていこう。
あなたよりずっと年上だけど、
私も未だに迷っているよ(笑)。


評価 ★★★★☆

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