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「ライジング・サン」 [映画]

risingsun.jpg
〔1993年/アメリカ〕


ロサンゼルスに進出した、
日本企業・ナカモトの超高層ビル。
ここの会議室で、
高級コールガールの絞殺死体が発見される。


刑事・ウェッブ・スミス(ウェズリー・スナイプス)は
ベテラン刑事・ジョン・コナー(ショーン・コネリー)と組み、
現場に出掛ける。
コナーは日本で暮らしたこともある
親日家で、
日本人の気質を知り抜いている。


ナカモトは最近、
アメリカの企業・マイクロコン社の買収に
乗り出していたが、
その交渉は難航していた。


殺害現場のディスクを手にいれたコナーが
それを再生すると、
そこには、
ライバル会社の御曹司・エディ・カサムラ(ケイリー・ヒロユキ・タガワ)が
映っており、
これで事件は一見落着に見えた。


ところが、そのディスクを解析すると、
何者かの手が加えられている事が分かり、
事件は振り出しに戻る・・・。





やっと観た。
悪評高い、この映画、
観たいと思いつつ、
中々機会がなくて。


アメリカで力を振るう、
日本企業のビルの中で起こった殺人事件。
「ライジング・サン」とは、
日出国(ひいずるくに)=日本
という解釈でいいのだろうか。


日本や、日本人の描き方が
めちゃくちゃなのは予想通りだけど、
アメリカ人が、日本という国に対して感じているであろう、
得体の知れなさや、
技術面での脅威などは
上手く描かれているように感じる。


それから、
大人しそうな顔して、
ある面では、大変に図々しく、
アメリカを乗っ取りかねない勢いで、
企業が進出し、
土地を買い漁ってビルを建てる、
日本人への揶揄も伝わってくる。


それにしても、
今の日本がこの映画を笑えるんだろうか。


1993年の頃には想像もしなかったような国が、
経済的に発展して、
日本と肩を並べたり、
ライバルになったりしているではないか。


私は日本が乗っ取られるのではないかと
心配でならないよ。
まるでこの映画のアメリカ人みたいに。
(これを書いたのは2016年。
 ずっと下書きに入っていました。
 世界の情勢は、3年前とはまた変わってきていますね)。


評価 ★★★☆☆

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「蛇にピアス」 [映画]

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〔2008年/日本〕


19歳の少女・ルイ(吉高由里子)は、
渋谷を根城にしているギャル。
ある日、彼女は、
クラブで知り合ったアマ(高良健吾)と
同棲するようになる。


アマは、顔中にピアスを開け、
龍の入れ墨を背負っているが、
極めつけは、「スプリットタン」。
「スプリットタン」とは、
先が二つに分かれた、
蛇のような舌の事だ。


ルイは、自分もアマのようなスプリットタンにしたいと
思うようになり、
アマの友達で、
地下で彫り師をしているシバ(ARATA)の所に連れて行かれる。


スプリットタンと同時に、
背中に入れ墨を入れようと決めたルイは、
シバの所に通うようになる。
シバはその報酬にルイの体を求め、
2人はアマに内緒で、
激しい性交に溺れてゆく。


そんなある日、
アマが行方不明になる。
彼はどこへ行ったのか。
なぜ消えてしまったのか・・・。





あれー、評価低いのねぇ。
どのサイトを見ても、
2点台のところが多い。


私は好きだけどな、この世界観。
渋谷で遊んでいる、
何のポリシーもない女の子が、
何となく同棲を始めた男に影響されて、
舌を二股にし、
背中に入れ墨を入れてしまうという、
めちゃくちゃな感じが。


だからといって、
その行為は、
男との愛を誓うためとか、
そういったものではなく、
彼女は簡単に別の男にも体を許す。
そんな無節操さが、
むしろ心地いい。


その主人公を演じる吉高由里子、
頑張ってるねぇ。
何度もヌードになり、
激しい性交の場面をこなす。
特に、ARATA演じるシバは、
吉高を後ろ手で縛って、
彼女が痛がって泣く事で、
性的興奮を得るようなサディスト。


そんな場面を堂々とこなす吉高の潔さを私は買いたい。
激しいベッドシーンだというのに、
頑なにヌードにならない女優より、
よほど自然で、むしろ安心して観られる。


それから、
吉高が舌にピアスを入れる場面の
痛そうな事ったら、
直視していられなかった(笑)。
実際、めちゃくちゃ痛いらしい。
何か面白そうな事をしてみたいという気持ちは
分からなくはないけれど、
痛いのだけは嫌だ。
私には無理だ(笑)。


原作は金原ひとみの同名小説。
彼女がこの小説で芥川賞を取った時の事は
今でも鮮明に覚えている。


2004年のある朝、
2人の可愛らしいお嬢さんの写真が、
ツーショットで新聞に載っていた。
金原ひとみと綿矢りさ。
この2人が今回の芥川賞の受賞者だと、
新聞の見出しにあった。


すぐに読んだ。
年齢は共に20歳の2人だったけれど、
見た目も、
生き方も、
作風もまるで違っており、
私は、小説だけでいえば、
圧倒的に金原ひとみの方が面白いと思った。


その後、彼女の出す本は
5冊ほど必ず読んだけれど、
どれも私が体験した事のない内容ばかりで、
いい意味でも、悪い意味でも、
大変に刺激的だったことを思い出す。


あれからもう15年か。
時間が経つのは早いものだ。


評価 ★★★☆☆

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「永遠に僕のもの」 [映画]

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〔2018年/アルゼンチン〕


1971年。
17歳の少年・カルリートス(ロレンソ・フェロ)は、
罪悪感というものがなく、
金持ちの家に忍び込んでは、
窃盗を繰り返している。


ある日、学校で、
ラモン(チノ・タリン)と知り合ったカルリートスは、
ラモンと、ラモンの父親の3人で、
猟銃店や、宝石店に
盗みに入るようになる。


やがて、カルリートスは、
窃盗だけでなく、
人殺しをするようになり、
その数はどんどん増えてゆき・・・。





試写会で観た。


これは、1970年代に、
アルゼンチンで実際に起こった事件を描いた実話だそうで、
連続殺人をしていたのが、
17歳の少年、
それも、とびきりの美しい少年だったことから、
国中が大騒ぎになったという。


それにしても、
犯罪を繰り返す、カルリートスの、
罪悪感の無さには驚く。


窃盗にしても、殺人にしても、
物怖じするという事がなく、
まるで日常の事のように、普通にやってのける。
相当な悪だと思われる、
友人のラモンの父親がビビるくらいに。


少し前に、
松本人志氏が、
ある事件の犯人について、
「人間の不良品」云々と発言して、
物議を醸したけれど、
まぁ、不良品という表現はともかく、
この映画を観ると、
生まれながらのモンスターというか、
サイコパスというか、
そういう人が一定数輩出されてしまうのは、
仕方がないのかも、と思わされる。


親の、子育ての問題でもなさそうだ。
カルリートスの両親は、
大変に真面目で、
カルリートスの事を、
とても気に病んでいる。
あんないい両親から、
なんであんな息子が、と不思議なくらい。
母親の胎内で細胞分裂している段階から、
そういう子が育っていたとしか思えないような感じ。


で、内面が、
そんなとてつもないモンスターだというのに、
見た目は、
まるで天使のようなカルリートス。
なにせ、この映画の原題は、
「THE ANGEL」よ。


で、そんな天使のようなカルリートスを演じているのが、
アルゼンチンの新人俳優・ロレンソ・フェロ。


うーん、確かに可愛い。
クルクルの巻き毛に
ベビーフェイス。
私好み(笑)。


ラストは衝撃。
モンスターには、
モンスターなりの対応をしなけりゃ
駄目って事なのでしょうね。


評価 ★★★☆☆

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「火口のふたり」 [映画]

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〔2019年/日本〕


永原賢治(柄本佑)は、
従妹・直子(瀧内公美)の結婚式に出席するため、
秋田に帰省する。


数年ぶりに再会した賢治に、
直子は、
2人が全裸で絡み合った写真を見せる。
そう、かつて2人は恋人同士だったのだ。


直子は、結婚前に一度だけ、
賢治と性交したいと懇願し、
賢治はその願いに応える。


けれど、
濃密に絡み合った日々が
記憶から蘇り、
一度だけの関係だったはずが、
直子の婚約者が出張から帰るまでの5日間、
2人はずっと抱き合う事に・・・。





試写会で観た。


人間の三大欲、といえば、
食欲、性欲、睡眠欲だと言われているけれど、
この映画こそ、
この3つだけで成り立っている映画。


なにせ、余計な贅肉が削ぎ落されたように、
登場人物は、
2人だけ。
あとは、電話での声と、
通行人のような人たちが出てくるくらい。


私は数えていなかったけど、
どうやら性交の場面は14回あるらしい。
確かに、観ている間、
柄本さんも瀧内さんも、
殆ど服を着ていなかったような(笑)。


あとは、いつも何か食べている。
そして、眠っている。
欲望に忠実って、こういう事か(笑)。


ラスト近くで、
日本の将来にも関係するような、
とても大きな出来事が起こるんだけど、
私に言わせると、
結果的に、それって、
2人にとって、
めちゃくちゃハッピーエンドじゃない?


その出来事が、
直接2人に関係するわけじゃないけど、
「風が吹けば桶屋が儲かる」的に。
あれで、もう、2人はずっと一緒にいられるじゃん。
羨ましいような流れだわ。


上映後、
柄本佑さん、瀧内公美さん、荒井晴彦監督による
舞台挨拶があった。

kakonofutari (2).jpg

あれだけ性交のシーンが多いと、
撮影している時、
一体どんな感じなのかと、
とても気になったけど、


脚本には、
「ここで手を回す」とか、
「ここでキスをする」などと、
細かく指示が書いてあったそうで、
なんだか、ホッとする。
あぁ、あれは演技だったのね、と。
(当たり前だ(笑))。


それから、
柄本さんは、この映画と、
「アルキメデスの大戦」の撮影が平行して行われたせいで、
 ↓
https://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2019-07-17
坊主頭になっており、


劇中、坊主頭にした理由を、
瀧内さんに説明するセリフを考えねばならず、
「戦艦大和の映画のエキストラをするため、というのはどうだろう」
という案が出たけれど、
「いくらなんでも、それは駄目だろ」という結論になったと話され、
大笑いだった。


内容が内容だけに、
いつまでも余韻の残る映画。


評価 ★★★★☆

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「シャッフル」 [映画]

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〔2007年/アメリカ〕


サンドラ・ブロックは、
夫と、2人の幼い娘がいる、
幸せな専業主婦。


ところがある日、
夫が交通事故に遭い即死したとの連絡を受ける。
気が動転し、
どうする事もできない。
しかし、葬儀の準備をしなくてはならない。


ところが、翌日、目を覚ますと、
夫は生きており、
何事もなかったかのように出勤していく。
そうか、あれは夢だったのか。


ところが、また翌日目覚め、パジャマのまま階下に行くと、
人々が喪服を着て集まり、
気の毒そうにサンドラを見る。
母親から、早く着替えるようにと促され、
混乱するサンドラ。


何かがおかしい。
サンドラはふと、
この一週間の曜日が、
シャッフルされている事に気付く。
それならそれを逆に利用して、
夫を死を阻止せねば・・・。





一週間の曜日がシャッフルされてしまうという、
不思議な物語。


けれど、これは、
どのジャンルにも当てはまらない気がする。
SFでもない、
オカルトでもない、
スリラーでもない。
強いて言うなら、夫婦の再生物語?


しっかし、
突然、夫が死んだと知らされ、
翌日には普通に生きていた、となると、
私なら、
自分が認知症か何かになったのではないかと、
そちらの方に不安を覚えるだろうなぁ(笑)。


だって、夢にしては、
昨日の出来事はあまりにリアルで、
記憶もハッキリしている。
それなのに、死んだはずの人が生きていたら、
いよいよ自分も駄目か、と、
絶対思うと思う。


この映画の好きなところは、
この現象に、
悪魔を持ち出さなかったところ。


洋画で悪魔を持ち出されると、
悪魔の概念のない私には、
なんだか釈然としないというか、
全てをそれで解決しないでーと言いたくなるので。


もちろん、「エクソシスト」みたいな、
悪魔映画の大傑作もあるので、
全部が悪いわけではないのですが。


評価 ★★★☆☆

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